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May 01, 2007

国際政治学の教科書

■ どの世界でも「教科書」を書くのは、斯界の第一人者の証明である。たとえば、国際政治学の世界であれば、次の三つは間違いなく当代の「教科書」である。
① ジョセフ・S・ナイ・ジュニア、 『国際紛争―理論と歴史』(田中明彦・村田晃嗣共訳)
② 中西寛、『国際政治とは何か―地球社会における人間と秩序』(中公新書)
③ 藤原帰一、『国際政治』(日本放送協会出版)

 ①は、邦訳書であるけれども、原典が改訂されるたびに邦訳も改訂されている。故に、ジョセフ・S・ナイという国際政治学者の「最新の思考」に触れることができる。それは誠に意義深い。
 ②は、初めて読んだ折、高坂正堯門下の「ブラームスの交響曲第一番」であると直感した。確かに、この書は、中西教授の師、高坂正堯教授の香りを伝えているけれども、それでも「冷戦後」の時代状況に即した中西教授の思考が瑞々しく反映された書である。ブラームスが「古典派」の香りを引き継ぎながら、ロマン主義の作品を残したように…。
 ③は、雪斎が今までに読んだ「教科書」の中でも、最も滑らかに知識が整理、確認された書である。元々、放送大学大学院のテキストとして執筆された故に、「教科書」としての王道を歩んだ書であるといえよう。こういう「教科書」にこそ、「官学アカデミズム」のプライドが感じられる。
 巷は連休中である。連休中であればこそ、余計な雑音に気を散らされることなく仕事が出来るというものである。そして、連休が終われば…。「ポスト・シラク時代」を迎えたパリの空が待っている。
 出発の準備は、ほとんど終わっている。


■ 今夜の一枚
 「ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集」 から
 ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」
 ゲルハルト・オピッツ
 マレク・ヤノフスキ/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

本日③を書店でみつけて早速読み始めました。書き出しのところから面白く感じています。よい本をご紹介いただきどうもありがとうございました。

Posted by: 通りすがりの勘助 | May 03, 2007 at 11:46 PM

雪斎さん

本日、帰省してまいりました。

①に関しては、言うまでもなく、名著、名訳(先生が仰ってました)ですね。

②に関しては、高坂先生のテイスト(権力、富、価値の位相)を分析視角として、継承しながら、中西先生のご見解がヒストリカルな要素も取り入れつつ、垣間見れる良書ですね。

③に関しては、最も平易な文体で、わかりやすく、国際政治の古典的命題(永久の命題)の本質に迫る、素晴らしい本だと思いました。

斉藤眞先生に関しては『アメリカとは何か』、個人的には、大好きです。

Posted by: forrestal | May 04, 2007 at 11:04 PM

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