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March 30, 2007

500回目のエントリー

■ 本エントリーが通算500回目のエントリーである。累計アクセス数は、この土曜、日曜の頃に二百五十万を越える雰囲気である。色々な意味で「節目」が来ている。

■ その記念すべき500回目のエントリーには、何を書くのか。

 昨日夕刻以降、東京財団「若手安保研」最終報告会に加わる。
 最終報告会での議論の一つの焦点は、「パブリック・ディプロマシー」の意義である。最近の「従軍慰安婦」案件の沸騰は、安倍晋三総理の「ワード・ポリティックス」の失敗の結果であったことが、如実に判る話であった。
 言葉を操るのは、実際にはかなり難しい。、
 雪斎の言論における作法として位置付けているものは、次のようなものである。一度、紹介したことがあるけれども、確認のために記しておく。
 ① 言葉は「説得」の道具であると厳格に位置付けて執筆に臨む。
  / ③とも関連するけれども、言葉によっては他人を殺すことはできない。その意味では、「ペンは剣よりも強し」という言葉は、実態としては嘘である。結局、言葉の効果は、それによって他人の「共感」を得るか「反感」を得るかの何れかしかない。そうであるならば、どのように言葉によって他人の「共感」を得ていくかということに精力を傾注するのが有益というものである。「他人を論破した(言葉で殺した)」という自意識ぐらい、有害なものはない。
 ② 自分の論稿は、後に「翻訳される」ことを見越して書く。
  / 日本語は、非論理的な言語であるという印象があるけれども、実際は、そうではない。日本語の文章は、気を付けて書けば比較的に容易jに英文に置き換えられるというのが、雪斎の理解である。もし、英文で英語圏の人々を説得できる文章を書く充分な能力を有すれば別であるけれども、そうでないないらば、せめて翻訳家に無用な負担をかけない論稿を残すことが大事になる。
 ③ 特定の個人名を名指しして批判しない。
  / こうした「特定の個人名を名指しして批判する」言論は、書いている方と読んでいる方の「感情」を満足させるための「自慰」言論でしかない。雪斎は、こうした言論の槍玉に上げられることがあるけれども、基本的に相手にはしない。 無論、雪斎は、こうした言論に走る御仁にも、関わりを持たない。
 ④ 「政治活動家」の言論とは一線を画する。
  / 「可能性の芸術」である政治を論じる際には、その「可能性」を狭める一切の事柄に警戒の眼差しを向ける必要がある。政治活動家は、自分の大義を押し通すことを習性としているので、政治家とは本質的に異質の存在なのである。安倍晋三総理や下村博文官房副長官の「歴史認識」発言が波紋を投げ掛けているのは、彼らの発言に保守「政治活動家」の色調が濃厚に塗り込められているからである。そして、一部の論壇誌に充満しているのも、そうした「政治活動家」の言論なのである。
 他にも、雪斎における言論の「掟」がある。そうした「掟」の中で言論を展開するのは、かなり難儀なところがある。だが、こうした難儀さを背負わない限りは、他人を説得するに足る言論を展開するのは難しいであろう。
 「我が上なる星空と我が内なる道徳律」 と書いたのは、イマニュエル・カントであった。カントの言葉の持つ意味は重い。

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

私の考えは少し違います。
アメリカ人のみならず、欧米人は人の話を聞きません。思い込んだら、それ以外には認めません。そして手遅れになってから公開する。ベンジャミン・フルフォードからブッシュ大統領までそう。彼らは相手が自分の意見にYESかNOかでしか判断しない。アメリカ人と話をしてもこれは痛切に感じます。「まさに感情こそ勘定」の民であり、中国・韓国を操るためには悪の国・日本が必要であり「親米」をいくら掲げてもアメリカが「親日」になることなど無い。利用できるコマのひとつでしかない。あくまでその範囲内での「友好」でしかない。

私は安部首相の政策には反対なので彼を弁護する気はなれません。しかしすべてを安部首相の責任に矮小化するのはおかしい。世界で韓国・中国が「反日」で連携し、共通の敵を作り出す政策を取るなか、アメリカにしても血を流せる韓国・中国の方が日本より魅力的なのは当然。一方戦争犯罪国家であり、血を流す事にためらいを感じる日本がアメリカから評価されないのは当然。長いスパンでみれば韓国・中国人の方が利用価値が高いと考えた彼らが慰安婦法案でそれを示そうとしているのであり、法案は安部首相がどうあがこうが可決される。日本は用済みという事が理解できない日本の親米派は何とも情けない。

では反米はどうかというとこんなもの愚の骨頂。日米安保をきったりしようものなら東京がバグダッドになりかねない。回教圏との戦争など日本に一利も無い戦いにのめりこむアメリカに対し、距離を置きながらついてゆくのが一番よいでしょう。「警米」こそがこれから需要であり、親米も反米も時代遅れになったという事です。

Posted by: ペルゼウス | March 30, 2007 at 10:09 AM

雪斎さん

500回目、おめでとうございます。何事も継続することは、大変です。私も雪斎からのコメント(アドヴァイス)などがなければ、ブログは、辞めていたと思います。(意志が弱くてすいません)

私のみならず、雪斎さんのブログは、読み手にとって、大変、貴重な言論です。

今後も、お忙しいと思われますが、継続されることを願っております。
これからも、未熟者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: forrestal | March 30, 2007 at 10:31 AM

>ペルゼウスさん
脇から言葉を挟んで恐縮ですが、いろいろ御高説がおありなのであれば、他人のブログのコメント欄で長々と御意見御披露なさるよりも、御自分でブログを開設されて御自分の意見を御開陳なさってはいかがでしょうか?

Posted by: 通りすがり | March 30, 2007 at 12:01 PM

500回おめでとうございます。
今回のエントリーは、自分にとって保存すべき内容と思います。何回も読み返して、そのつど自戒するように努めたいと思います。

Posted by: Taro Reimon | March 30, 2007 at 12:46 PM

今の日本の言論では、「主張」はできていても「説得」はできていない人が多いんでしょうね。
左右を問わずマルクス主義の影響が強かったこの国では、相手を説得することよりも、論破して政治的に排除することの方が重要視されたんでしょうか?

Posted by: Baatarism | March 30, 2007 at 01:09 PM

雪斎さん

お詫び すいません、コメントの中に、「さん」をつけてない、ご無礼な箇所がありました。申し訳ありません。

Posted by: forrestal | March 30, 2007 at 01:45 PM

ネットに文章を書くための基本姿勢になるほどと感服しました。小生もその姿勢を守って発言していきたいと思います。

Posted by: sal | March 30, 2007 at 02:42 PM

500回ですかぁ・・。おめでとうございます。
恥ずかしながら、言葉を「説得する」手段としてどれだけ真剣に用いて来たのかと・・ハッとさせられました。500記念ということでしょうか。こちらの山桜が一気に咲いておりますよ。

Posted by: SAKAKI | March 30, 2007 at 03:15 PM

500回目エントリー、おめでとうございます。
累計アクセス数が250万とはすごいですね。

Posted by: うみおくれクラブ・ゆみ | March 31, 2007 at 12:11 AM

500回目、おめでとうございます。
言論の作法、なるほどと思いました。
これからも楽しみにしております。

Posted by: 西田瓜太郎 | March 31, 2007 at 01:16 AM

 500回目のエントリー、おめでとうございます。
 自分の中に「掟」を作る事の大切さを最近身に沁みて感じます。

Posted by: ささらい | March 31, 2007 at 01:22 AM

 500回、おめでとうございます。

やはり、自分を律することのできる人々は違うと、
私のような自堕落人間は思うところです。

 「作法」をまた拝見して、前首相の事をふと思い出しました。

雪斎殿は、政治を十二分に意識され、目的の一つとした活動をされてきたわけですが、
やはり、「学」の世界の方なのだと感じた次第です。

Posted by: MUTI | March 31, 2007 at 07:58 PM

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