« アイディア・ブローカーの肖像 | Main | 鈍感力 »

February 21, 2007

アイディア・ブローカーの肖像 続

■ 昨日、東京・虎ノ門界隈は辻という辻に警察官の姿が目立った、次のような報道が為されていたとあれば、当然であろう。夕刻以降、その界隈のビルの一室で定例の安全保障研究会に加わる。
 

□ チェイニー米副大統領が来日、日米豪の連携確認へ
              2月20日20時14分配信 読売新聞
 米国のチェイニー副大統領が20日、来日した。
 21日に安倍首相、麻生外相らと会談し、アジア太平洋地域での日米同盟の重要性や日米豪3か国の連携強化のほか、北朝鮮の核問題解決に向けての日米の緊密な協力を確認する。
 22日には拉致被害者の横田めぐみさんの両親と会談し、ブッシュ政権として拉致問題解決を重視する姿勢に変わりはないことを訴える。離日後、豪州を訪問する。
 副大統領の来日は、米議会の休会期間を利用したもので、アジア太平洋地域で「最も信頼する同盟国」と位置づける日豪を訪問することで、日米豪3か国の連携を強める狙いがある。安倍首相との会談では、ブッシュ米大統領と小泉前首相が築き上げた信頼関係を維持していく姿勢を印象づけたい考えだ。

 ところで、最近、「雪斎」で検索すると、やたらにヒットの件数が増えた。NHK大河ドラマ『風林火山』の影響であろう。このブログを開設した頃は、「太原雪斎」はマイナーな存在であったことを思えば、「『雪斎』の名前も有名になったものよ…」と思う。もっとも、このブログで雪斎が書いていることは、結局、「武藤敬司」が「ザ・グレート・ムタ」としてやっている「毒霧」攻撃パフォーマンスの類のものでしかない。だから、活字メディアに出す原稿では怖くて書けないようなことも、平気で書いていたりする。この扱いの違いがわからない人々が結構、いるようであるのは、いささか残念ではある。
 「溜池通信」を主宰するエコノミスト、T・Y氏が「黒田官兵衛」から名前を借りて「かんべえ」と名乗ったのに倣って、政治学者であるJ・Sは、「雪斎」と名乗った。これが、当ブログの始まりである。勘助でも半兵衛でも小十郎でもよかったのであるけれども、結局、「雪斎」に落ち着いたのである。「雪斎」というハンドル・ネームは、「かくありたい自分」の投射である。要するに、自らの「智謀」によって誰かの「軍師」になって天下の趨勢に影響を与えてみたいということである。だから、かんべえ殿も雪斎も、「軍師」に自分を仮託した点で、基本的には似たタイプの人種である。昨日の会合で、かんべえ殿と話をしたら、「純然たるアカデミズムの世界で活躍する才能とアイディア・ブローカーとして活躍する才能は、同じではない」ということで認識が一致した。昨日の会合で集まってきたのは、その程度の差はあれ「アイディア・ブローカー」の気質を持った人々なのである。
 そういえば、雪斎が高坂正堯教授に憧れたのは、教授の学術上の業績というよりは、教授が中曽根康弘内閣のブレーンとして活躍していた姿であった。今にして思えば、雪斎は、高坂教授の「保守性」などよりも、その「実践的な活動」に惹かれたのである。長らく自民党政権が続いた日本の政治体制の下では、ロレンツォ・デ・メディチ(ウルビーノ公)に『君主論』を献じたニコロ・マキアヴェッリのように振る舞えば、誰であれ、「保守的」にして「体制に近い」ように見えたということなのであろう。近代政治学の始祖と評されるマキアヴェッリの書は、五百年後には「アーミテージ・ナイ・レポート2007」のような政策文書の源流となっている。
 日本では、こういう「智謀」には、中々、カネが支払われない。だから、「アイディア・ブローカー」の社会は決して広くない。何らかの政策研究会合に出れば、そこには必ず「よく見た顔」がある。内心、「それでいいのか…」と思うのであるけれども…。
 もっとも、こうした「実践的な思索」を続けると、古典を読むのが楽しくなる。
 ということで、書を紹介しよう。
 『歴史』(トゥキュディデス著、藤縄謙三訳、京都大学学術出版会)  
 国際政治学の文献(たとえばスタンリー・ホフマン)には、トゥキュディデスが、近代におけるマキアヴェッリ、現代におけるマックス・ウェーバー、ハンス・ヨアヒム・モーゲンソーに連なる「現実主義学派」の源流であると位置付ける記述がある。この京都大学学術出版j会刊行版は、ページごとに付されている解説が丁寧で理解しやすい。こういう書は、確かに「一家に一冊の書」だと思うのであるけれども、どうであろうか。加えて、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』も、トゥキュディデス以来の「現実主義」思惟の系譜に連なるものとして位置付けられていたはずである。

|

« アイディア・ブローカーの肖像 | Main | 鈍感力 »

「学者生活」カテゴリの記事

Comments

>「武藤敬司」が「ザ・グレート・ムタ」としてやっている「毒霧」攻撃パフォーマンス

大笑いしました。
実は僭越ながら、私めもブログを始めようと思いたった頃、「雪斎」の名を拝借しようとしました。
少年徳川家康のアニメや、NHK大河ドラマの「徳川家康」での禅僧「雪斎」の凄さは、やはり忘れられません。
本ブログは、管理人の雪斎殿にとっては「毒霧」攻撃かもしれませんが、我らにとっては「宝」です。

Posted by: SAKAKI | February 21, 2007 at 09:14 AM

・SAKAKI殿
褒めすぎですよ〈笑〉
ただし、こういうプロレス・ネタは、わかる人とわからない人の差が極端なのですな。

Posted by: 雪斎 | February 23, 2007 at 09:05 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/13992336

Listed below are links to weblogs that reference アイディア・ブローカーの肖像 続:

» 日本版NSCに対する雑感 [forrestalの回顧録]
■日本版NSCの構図が、見えてきたようである。官邸機能強化、情報分析官新設などを [Read More]

Tracked on February 28, 2007 at 11:35 PM

» 新説チェーザレ・ボルジア伝 [新説チェーザレ・ボルジア伝]
ここの蕎麦は、つなぎにオヤマボクチという植物繊維だけを使う。 作者の惣領冬美が、まだ翻訳が出ていない『サチェルドーテ版チェーザレ・ボルジア伝』を精査。 このイタリア語原著は、世界的に最も定評があるものらしい。 しかも、新鋭ダンテ学者の原基晶がこの漫画を監修している。 ... [Read More]

Tracked on March 11, 2007 at 09:07 PM

« アイディア・ブローカーの肖像 | Main | 鈍感力 »