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February 13, 2007

「6ヵ国協議」は決着したのか。

■ とりあえず、決着したというところか。
 

□北、支援増で「解体」同意=インタファクス
            2月12日17時0分配信 時事通信
 【北京12日時事】ロシアのインタファクス通信は12日、北朝鮮が6カ国協議で「重油200万トンと電力225万キロワットの年間供与」を条件に、核施設の「解体」を受け入れる立場を示したと報じた。北朝鮮はこれまで核施設「凍結」の見返り支援として、重油50万トンと200万キロワット相当のエネルギーを要求していた。

 □ 核施設閉鎖・リスト提供に同意=北朝鮮、見返り実施条件に-中国次官・6カ国協議
            2月12日23時0分配信 時事通信
 【北京12日時事】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で議長を務める武大偉中国外務次官は12日午後、北京の釣魚台迎賓館で額賀福志郎前防衛庁長官と会談、北朝鮮はエネルギー支援など見返り措置が実行されることを前提に、同国が取るべき初期段階措置として寧辺の核施設閉鎖と、ほかの核施設のリスト提供に同意していると述べた。同協議で5つの作業部会設置で合意していることも明らかにした。
 武次官は最終局面を迎えた6カ国協議に関し、「今がヤマ場だ」と指摘。「北朝鮮への支援規模や、ほかの5カ国で支援をどう調達するかが焦点だ」と明かしつつ、エネルギー支援の数字は「流動的だ」と述べた。支援規模に関しては「科学的根拠を集めて算定しなければならない」と述べた。 

 北朝鮮がどのような「見返り」を手にするのかは、はっきりしていない。核施設の「解体」と「停止」とでは、だいぶ、ニュアンスが違うけれども、それでも前進であることは間違いない。
 ただし、此度の「見返り」を手にしたとしても、それは、あくまでも「一時金」である。普通、誰でも、200万円くらいの札束を置かれれば驚くであろうけれども、これが年収だと思えば、落胆するであろう。「これからずっと毎月、三十万円が提供される」契約と「一時金で千万円をもらう」契約とを比べれば、インパクトがあるのは後者であろうけれども、実質を伴っているのは前者である。
 振り返れば、金正日の先代、金日成は、「瓦ぶきの家に住み、絹の着物を着、肉入りのスープと白い御飯を食べる」生活を人民に与えることを執政の目標にした。金正日が、先代の方針を受け継いでいるかはともかくとして、こうした方針を建前でも堅持できなければ、主権国家の指導層とはいえない。ただし、重油百万トンを手にしたところで、「瓦ぶきの家に住み、絹の着物を着、肉入りのスープと白い御飯を食べる」生活に近付くのは、無理である。もし、北朝鮮が「瓦ぶきの家に住み、絹の着物を着、肉入りのスープと白い御飯を食べる」生活を人民に与える方針を貫徹しようとするならば、早晩、現在のような「低成長」経済の構造を転換せざるを得ないであろう。事有る度に、駄々っ子のように支援と援助を手に入れるスタイルでは経済成長を続けるのは難しいであろう。北朝鮮がが「瓦ぶきの家に住み、絹の着物を着、肉入りのスープと白い御飯を食べる」生活を実現させようとすれば、外からの継続的な「投資」が行われる環境を整える必要があるのである、故に、中長期のスパンで考えれば、北朝鮮は、「日本からの投資」を当てにせざるをを得ない。そのときに、日本がどのような条件を吹っ掛けられるlかが問題であろう。その条件のj中に「拉致」落着が入るのは、いうまでもないことである。
 「きくらげの細切りのような前菜ならば幾らでも食わせてやれ。ただし、あわびの煮込みやふかひれのスープが食いたければ、こちらの言うことを聞いてもらう」。雪斎が抱く対朝政策のイメージは、このようなものである。寧辺核施設「閉鎖・解体」が決まったのであれば、その見返りとして「きくらげ」など幾らでも食わせてやればいいのである。核施設閉鎖まで歩み寄ったしい北朝鮮に対して、「きくらげも食わせない」というのでは、外交にはならない。此度の「六ヵ国協議」の結果による対朝支援の規模がどの程度のものなるかは、ともかくとして、日本にとっては、「全く何もしない」という選択は、他の4ヵ国との関係上も具合が悪いことであろう。「きくらげを食わせる」とは、そういう趣旨のことなのである。
 この国の対朝強硬論者は、多分に「金正日がニコラエ・チャウシェスクのような末路を辿る光景」を見たいのかもしれない。だが、金正日とのその後嗣を首領として戴き続けるかどうかなどは、北朝鮮人民の決めることであって、日本の与り知らぬことである。北朝鮮が日本にとって「無害な存在」でありさえすれば、北朝鮮国内でどのような「非道の統治」が行われたとしても、日本にとっては、本来はどうでもよいことである。「六ヵ国協議」なるものは、北朝鮮を「無害な存在」にするためのステップでしかない。雪斎は、「六ヵ国協議」では「核」だけを論じよと書いたけれども、北朝鮮の「害」が一つ一つ除去できれば、それでいいと考えたからに過ぎない。要は、その「害」が本当に除去されるかということでしかないのである。

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Comments

問題は、北朝鮮が約束を破って
再び核武装宣言をしたような場合に
どのような制裁措置を課すのか?ということについての取り決めが、どのぐらいまで具体化されているのか?ということでしょう。

食料や石油をもらったら「はい、おしまい」という居直り詐欺を
認め許すための六カ国協議ではない、ということを証明しておかなければならないはずです。

せめて日米間だけでも、裏切りに対しては、最後には武力制裁だぞ、という合意はあるのでしょうか?

北朝鮮に関する限り、
違反に対する制裁措置が不明瞭な合意に意味などあるのでしょうか?
あるとは思えません。

Posted by: 妖怪 | February 13, 2007 at 03:25 AM

今のところは筋書き通りのお芝居と結末に終わりそうです。山崎拓様、汚れ役ご苦労様でした。今回の会議で6ヶ国の代表全員が署名権を持つ全権代表か、事後の批准を必要とするのかは明らかではありませんが、今回の場合はいずれ短時間で同意事項は発効すると予想されます。

ところで、北朝鮮はすでに10個ほどの核爆弾を隠蔽していることでしょう。これらをボロ漁船に積んでテロ攻撃の脅しを掛ける選択肢は消えた訳ではありません。一方、アメリカは北朝鮮の核施設をピンポイント攻撃できるミサイルをすでに配備し、増強中でしょう。ミサイルを搭載する艦艇はすでに近海に配備され、攻撃機は沖縄にあります。沖縄にはステルス機まで配備中です。これらを両者が暗黙の内に十分理解し、ある種のパワー・バランスが継続するでしょう。こうした事柄は条約に明文化できないのは当然です。

北朝鮮が各国から支援を受けて立ち直り、自立できるかは金正日次第でしょう。かっての大戦後、徹底的に破壊されたドイツと日本が戦勝国の援助を受け、戦勝国を上回る強力な国家に育ったのは歴史的事実であり、アフリカの諸国の多くが独立後、各国の援助を受けても立ち直れないどころか、内戦などの混乱が絶えないのも事実です。

人種として朝鮮人は日本人と殆ど変わりないと言えましょう。政権さえ悪くなければ自助努力が実を結ぶでしょう。人民が困窮の極にあり、賃金が他国と比較すればゼロに近いということは、それ自体が大きな競争力だと言うことは自明です。問題は、金正日が昭和天皇ほどに国民の敬愛を受けるか、という点に掛かっているといえましょう。

小生は、随分無茶をした金日成に比べ、金正日はなかなか現実的に物を考える人物だと見ています。ヒットラー、ムッソリーニ、チャウシェスク、といった独裁者の末期は日本の天皇に対比して良くお分かりのことでしょう。

ソ連の支援を受けていた金日成の北朝鮮も昔は元気でした。困窮の中にあった韓国を尻目に、アフリカの国々では大規模水田の援助を行ったりしていました。集落も作り、小さな水力発電所も建設していました。小生もそこに泊めてもらったことがあります。こうした間に国を立て直さなかった為に、北朝鮮大使館員が資金作りに象牙や麻薬を密輸出して逮捕されるような情けない状態に転落してしまいました。金正日がこうした事実を良くかみ締めてそれを二度と繰り返さないことを願うばかりです。

Posted by: 赤堀篤良 | February 13, 2007 at 09:49 AM

「あわびの煮込みが食いたければ、言うことを聞け」。日本はそうやって、戦後アメリカからララ物資を貰って生き延びたのですね。団塊の世代のわれわれは、特にそうです。
みんな偉い人の言うことを聞かなくては、生きていけないのですね。
アメリカが、世界でやろうとしていることですね。世界は、こうなっていくのですね。

Posted by: 野茂ファン | February 13, 2007 at 12:15 PM

きくらげをたっぷり食わせるのは仕方ないですが、問題はそのきくらげを誰が用意するかですよね。
どうも麻生大臣のテレビでの発言なんかを見ていると、安部政権の存続のためにも、このきくらげの用意も渋りたいというか、渋って見せる必要があるような風に言っていますね。

日本と仲良くすれば、ふかひれどころか、満漢全席だって食べられようになるかもしれない。
そんな御馳走用意できるのは、日本だけだぞ、きくらげなんかでほんとに良いのか??
ただ、仲良くなるためには拉致を解決してもらわないと、日本としてはきくらげの提供どころか、せいぜい調理の手伝いか給仕くらいの協力しか出来ませんよ。

そんな風に発言していたようですが、これくらいでないと北朝鮮はがっつくばかりでちっとも素行がよくならないですよね。
国内事情を盾に、皿の上げ下げだけで核廃棄の実利を得て、中の食べ物はみんなでお出しなさいってのは、ちょっとがめつい考え方でしょうか。

Posted by: horten | February 13, 2007 at 02:52 PM

北朝鮮の場合、一般の人民があわびの煮込みやふかひれのスープの味を覚えてしまうと、指導者層は困るのではないでしょうか?
だからきくらげだけ与えられる状態は、支配層にとってはちょうど良い状態なのかもしれませんね。

脱線しますが、フランス革命のとき「平等パン」なるものが作られ、そのあまりの美味しさを忘れられなかった民衆は、パンを求めてその後も何度も革命を起こした…という話もあるそうです。どこまで本当かは分かりませんが。w
http://www.siraisi.co.jp/oyakudati/sekai/fura/fr.html

Posted by: Baatarism | February 13, 2007 at 04:17 PM

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