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January 22, 2007

福澤諭吉の言葉

■ 「外交の事態いよいよ切迫すれば、外交の事を記し又これを論ずるに當りては自から外務大臣たるの心得を以てするが故に、一身の私に於ては世間の人気に投ず可き壮快の説なきに非ざれども、紙に臨めば自から筆の不自由を感じて自から躊躇するものなり。苟も国家の利害を思ふものならんには此心得なかる可らず」。
   ―福澤諭吉 「新聞紙の外交論」『時事新報』(明治三十年八月)社説
 この福澤の言葉には、政治評論の「作法」の総てが詰まっている。要するに、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」という姿勢を貫かないと、政治や外交を論じる資格はないということである。

 実際は、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」という姿勢に裏付けられない議論がはびこっている。、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」とは、現実の外務大臣の思考が及ばないような事柄をも考えるということである。当然、そこでは、「政策選択の可能性」と「様々な現実の拘束」のせめぎ合いが生ずる。そのせめぎあいのなかで、実現可能な様々な政策オプションを考えるのが、政治・外交評論の責任なのである。
 そういえば、二コロ・マキアヴェッリも、都市国家フィレンツェの外交書記官であった。国策を論じるのに、「道徳」と「利害」をごちゃごちゃにした議論が多すぎる。「北朝鮮を懲らしめよ」という議論も、その類であろう。
 雪斎の言論のスタンスも、そうしたものである。そういえば、次のような記事が配信されている。
 

□ 米朝、核放棄協議開始で合意か
【ソウル21日時事】韓国の通信社・聯合ニュースは21日、複数の外交消息筋の話として、ベルリンで行われた米国と北朝鮮の6カ国協議首席代表による会談で、2月上旬にも再開される見通しの同協議の際、核放棄に向けた実質論議を開始することで合意したと報じた。
 北朝鮮は昨年12月の6カ国協議では金融制裁の解除を要求し、核問題に関する交渉を拒否していた。
 一方、韓国の首席代表を務める千英宇外交通商省朝鮮半島平和交渉本部長は23日ごろ、同協議議長を務める中国の武大偉外務次官と協議再開時期などについて意見交換する見通し。 (時事通信)
 国際政治の潮流は、突如、変わる。「北朝鮮を懲らしめよ」という類の議論は、たんなる「感情」の表出であって、外交評論ではない。日本の右派系人物の中には、「脱亜論」に言及する人々は多いけれども、この「新聞紙の外交論」に想いを入れる人々は決して多くはない。何故であろうかと思う。

■ 宮崎県知事選挙は、そのまんま東氏が当選である。こうした事態は、首長制の選挙には、「よくあること」である。それにしても、得票率4割で、25万票獲得である。天晴れと評すべきであろう。安倍総理にも、「これぞ、まさしく再チャレンジの体現だ」と気の利いたことを言ってくれれば、いいと思うのだが…。自公両党推薦候補の得票は、全投票数の僅か2割である。そして、三位に甘んじている。、これは…と思う。

■ NHK大河ドラマ『風林火山』では、昨日放送分から伊武雅刀さん演じる「太原雪斎」が登場である。「太原雪斎」は、雪斎がサイバー空間上での名前を借りたす駿河今川家の軍師である。
 それにしても、この伊武さんが演じる「雪斎」は、胡散臭さが充満している。
 政略・軍略の中心にいた人物であるから、そうした性向も当然であろう。
 雪斎は、この「雪斎」の演技のほうを楽しみにしている。雪斎と伊武・雪斎と「太原雪斎」の共通項は、何か。
 それは、坊主頭ということだな。

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Comments

 宮崎県知事選は、自公公認候補も、本命と目された保守系候補も、あまりタマとしては良くありませんでした。自公公認候補に至っては、様々な事情があるとはいえ、衆院選で2回連続で落選していますからね…。
 地元事情最優先で候補者選定をしていた時点で、東氏勝利の蓋然性は高まっていたというべきでしょうか。

Posted by: talleyrand | January 22, 2007 at 07:48 AM

「朝鮮半島の非核化」はモロに利害の話であって(目的)、それを実現する為の手段として「徹底的な圧力かける」を主張するのは、感情論では無いと思いますが?

Posted by: ペパロニ | January 22, 2007 at 12:21 PM

首相、ほんとにおっしゃられたようで。
>
>「再チャレンジに成功」=そのまんま東氏当選で-安倍首相
>http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070122-00000210-jij-pol

Posted by: bo | January 23, 2007 at 12:10 AM

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Tracked on January 22, 2007 at 04:11 PM

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