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January 10, 2007

山崎拓氏訪朝の意味

■ こういう話の「裏」は、傍目からは判らない。
 

□<山崎拓氏訪朝>政府・与党、距離置く姿勢目立つ
1月9日20時4分配信 毎日新聞
 自民党の山崎拓前副総裁の北朝鮮訪問を受け、政府・与党からは9日、「望ましいことではない」(塩崎恭久官房長官)などの批判が相次いだ。北朝鮮のミサイル発射や核実験で国際社会が圧力を強める中の訪朝は、成果に懐疑的な見方も強いだけに、距離を置く姿勢が目立っている。
 
 山崎拓という政治家は、雪斎には、「永田町」で最も親近感のある人物の一人である。この訪朝の報が流れたとき、雪斎は、「何かがある…」と反応した。
 

 そもそも、政治家とは、何らかの「成算」を見込まなければ、実際の行動には移さない。山崎氏の訪朝を「スタンドプレー」、「パフォーマンス」と評する向きもあるけれども、これから名を上げようという若手・中堅の政治家ならばともかくとして、既に党副総裁まで務めた重鎮政治家が、そうした「スタンドプレー」、「パフォーマンス」に走ることに然程の意味があるとは思われない。
 故に、山崎氏も、合理的な算段の上に立って、此度の訪朝を決めたことであろう。問題は、その算段の根拠となっているものが何かということである。雪斎には、色々な「算段の可能性」が思い浮かぶのであるけれども、何れも推測の域を出ない。
 この件に関して、、安倍総理以下の日本政府が、「無関係」という姿勢を採っているのは、当然のことである。また、自民党内でも、山崎氏の訪朝に首をかしげる雰囲気が濃い。ひととおり閲覧したブロガーの世界でも、「何をやってんの…」という意見が支配的である。
 山崎氏の訪朝に関して確実にいえることは、北朝鮮政府中枢と与党・自民党の間に「非公式のパイプ」が維持されることには意義があるということである。政治は、「「人間関係」の産物である。現在、日本国内では対朝強硬論で横溢しているけれども、その裏で、どれだけの対朝「人間関係」が築かれているのかは定かではない。人間の心理からすれば、誰でも、自分に対して厳しく接する人物には近寄り難い。北朝鮮政府の立場からしても、今の安倍総理以下の日本政府とは、付き合い難いという心理は働いているであろう。故に、現在の状態が続いている限りは、日朝間の「人間関係」が細ってくるのは間違いない。だが、そういう状態では、今後の北朝鮮に対する働きかけなど、上手くいくはずはないのである。故に、北朝鮮との「人間関係」の維持を引き受ける人々は、どのように考えても必要である。もっとも、そうした人々は、日本国内では「国賊」、「売国奴」呼ばわりされるのであるけれども・…。だから、普通の政治家は、そうした役回りを引き受けない。対朝強硬論を唱えているほうが楽だからである。山崎氏訪朝に関する唯一の難点は、山崎氏が、そうした役回りを演じるのには、「目立ち過ぎる」ということにあるのであろう。
 それにしても、山崎氏という政治家は、小泉純一郎前総理の時代から「損な役回り」ばかりを引き受けてきた感がある。あれだけ「非情」のイメージで語られた小泉前総理が山崎氏とは酒を酌み交わしているのであるから、山崎氏という政治家がどういう人物かは判るであろう。実際、山崎氏は、誠実な政治家である。ただし、此度の訪朝に、具体的な成果が、あるとは考えにくい。「成果」があったとしても、それが見えて来るのは、暫く後のことであろう。

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Comments

>今の安倍総理以下の日本政府とは、付き合い難いという心理は働いているであろう。故に、現在の状態が続いている限りは、日朝間の「人間関係」が細ってくるのは間違いない。

政治家や外交官は中学生ではありません。イヤな奴と正対出来なければ大人のプロとは言えません。山崎氏の行動を語るロジックとしては、ナイーブ過ぎます。
むしろ「二人奪還」がなったとしても国内世論が「それ見た事か!」と再沸騰するリスク発生確率を、山崎氏は低く見積もったのではないでしょうか?

どだいコネクションで北朝鮮の核武装政策を破棄させる事は不可能だと思います。

Posted by: ぺパロニ | January 10, 2007 at 10:46 AM

今回の訪朝って山崎氏が一人で動いてるんでしょうか?どうも誰か後ろ盾がいるような気がするんですが。
最大の候補は小泉氏でしょうが、今回の件で外務省が静かなことを考えると、麻生氏が噛んでいる可能性も考えられますね。

Posted by: Baatarism | January 10, 2007 at 01:00 PM

雪斎さん

こんにちは

政府間の足並みが揃っていないとはいえ、北朝鮮と、2国間のパイプを持つことは、重要ですね。バイとマルチで、交渉した方が、実現可能性は、高まるでしょう。

むしろ、拉致問題は、6カ国協議などよりも、2国間で、交渉した方がいい。

私は、2月か6月ごろに、安倍総理の援護射撃で、前小泉総理が訪朝するのではと推測していましたが。。。

非協調的なゲームでも、連続して繰り返せば、協調的になる。ロバート・アクセルロッドのゲーム理論のひとつですが、まず、日朝がゲームを始めなければいけません。

Posted by: forrestal | January 10, 2007 at 01:16 PM

山崎氏の北朝鮮訪問を知って第一に頭に浮かんだのは拉致被害者の身代金でした。数年前、小泉前首相が訪朝して数名の拉致被害者帰国が実現した時、払われた裏金は一人当たり10億円と聞きました。これは、拙著を通して知り合いになった衆議院議員OBの情報で、この方は7回当選し、引退してからも自民党とのコネは強く、時々、裏話を教えてくださいます。金大中韓国大統領が北朝鮮を訪問した時、金正日総書記は数億円相当の金を受け取ったそうですから、意外な金額ではありません。

ただ、これは違うだろうとすぐ思いました。お金のない北朝鮮のこと故、被害者が残っていれば、とっくに換金(?)した筈です。もう、被害者は亡くなってしまったのでしょう。まことにお気の毒ですが・・・。

次に考えたのはアメリカが凍結したマカオかどこかの外貨口座です。この金を日本が裏で立て替えれば、これは魅力的でしょう。この取引で阿部首相か小泉前首相がリーダーシップを取って6カ国会議を再開すれば、凋落しつつある阿部首相の人気も少しは改善するのではないでしょうか。

核兵器開発を取りやめれば、桁の違うお金を裏と表で約束するなどということも考えられます。もっとも、これが実現すれば、裏であろうとなんであろうと、結果良ければ全て良し・・・ということになり、悪いことではありませんが。

いずれにせよ、山崎氏の訪問はその目的から結果まで、誰一人本当の事を言わない筈です。新聞やテレビで山崎氏が空振りで帰ってきた、などと報道しているのを見ると、日本人の国際感覚が見えた感じで、がっかりしました。このサイトでお見受けするご意見には、そうした程度の悪いものはありませんでしたが。

赤堀篤良

Posted by: 赤堀篤良 | January 17, 2007 at 04:51 PM

赤堀殿
実際のところ、この訪朝の「裏」が明らかになることは当面、ないだろうと思います。北朝鮮は、外交交渉の相手である「主権国家」であっても、犯罪集団でもなければテロリスト・グループでもない。この意味が判らない人々が多すぎますな。

追記、
 「きこり」なる人物のコメントが付されていましたが、他人の家に上がりこんで狼藉を働くようなコメントであったので、過去の総てのコメントを削除した上で、アクセス禁止と致しました。
 残念なことではありますが、読者諸賢の御諒承を頂きます。

Posted by: 雪斎 | January 17, 2007 at 07:29 PM

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