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January 23, 2007

安倍晋三総理の三題噺

■ 雪斎が昨日、書いたことを安倍晋三総理が語っていたようである。
 

□ 「彼は再チャレンジに成功した」 宮崎知事選で首相
2007年01月23日01時33分
 安倍首相は22日夜、首相公邸で岡崎久彦・元駐タイ大使や北岡伸一・東大教授ら外交専門家と会食し、意見交換をした。首相は、東国原英夫(ひがしこくばる・ひでお)(そのまんま東)氏が宮崎県知事選で当選したことに触れ、「彼は再チャレンジに成功したんだ」と言及。不祥事から芸能活動を謹慎し、その後早大で学び直した東国原氏の経歴を念頭に、自ら看板に掲げる再チャレンジ政策の申し子だという認識を示した。

 こういう話もある。
 

□ 米俳優スミスさんと再チャレンジ談義 安倍首相
                      2007年01月19日
 主演映画「幸せのちから」の宣伝のため来日中の米国の俳優ウィル・スミス氏が18日、首相官邸に安倍首相を訪ねた。
 映画は、子連れホームレス暮らしから脱して証券マンとして成功する実話をもとにしている。再チャレンジ政策や教育再生を看板政策に掲げる首相に対して、スミス氏は「首相が唱えていることと合致している。一番貧しいのはアイデアがないことだ。何をしたい、何になりたいかが重要だ」と説明。首相は「素晴らしい考えだ。その考え方こそが人を挑戦させる」と応じた。
 
 過日、この映画のモデルになった人物にインタビューした米国ABC制作のドキュメンタリーをNHKが放送していた。ウィル・スミスが自ら映画化を望んだ話だったようである。
 この人物の証言に関して印象的だったのは、二つである。
 ① 「(家族に銃も向けた)親父のようにはならない」と誓って、息子を徹底的に護った。
 ② 「どんな状況でも、(証券取引の)勉強をした」。
 加えて、この人物の成功は、「証券マン」になったことが鍵であろう。金融資本主義の世界ならば、才能と努力と幸運とが重なれば、「人生の大逆転」は充分に可能である。以前のエントリーでも書いたように、たとえ諸々のハンディキャップがあっても、その世界ならば、一気に富を築くことは可能なのである。ただし、その「一気に稼げる」という劇的な性格の故に、日本では、金融資本主義の世界は、「賭博場」のようなものと認識されてきたのである。雪斎が十数年に渡り営々と貯蓄した「富」が、投資に回した二年半で既に二倍強くらいにはなっている。これが「現実」である。昨日の株式相場でいえば、鉄鋼株と銀行株が高騰したお陰で、雪斎の資産は、前日比3.5%プラスである。1000万円投資していれば35万円、2000万円ならば70万円、3000万円ならば105万円が増えたという計算である。無論、一日で3%プラスというのは滅多にないことであるし、その逆の3%マイナスという時もある。冷静に考えれば、「怖い世界」であるけれども、この怖さを受け容れることが「リスクを採る」ということの意味なのである。安倍晋三総理の「再チャレンジ政策」の成否は、「リスクを取る」という発想が、どれだけ受け容れられるかに掛っているといえるであろう。東国原英夫新宮崎県知事の政治家転身も、「リスキーな選択」には違いなかったはずであるからである。
 もっとも、安倍総理を取り巻く状況は、厳しい。「40%」の防衛線が遂に破られた。
 
□ 安倍内閣の支持率続落、39%に 政策、国民感覚とズレ
                     2007年01月23日00時27分
 朝日新聞社が20、21の両日実施した全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は39%で、前回06年12月調査の47%から下がり、初めて4割を切った。不支持は37%と前回の32%から上がった。20~40代や大都市部での支持の落ち込みが目立つ。安倍首相は国民の感覚から「遠い政治家」と見る人が50%を占め、安倍内閣が重視する経済成長と民主党が訴える格差是正のどちらが優先される方がよいかと聞くと、経済成長30%、格差是正45%となるなど、国民感覚との「ずれ」が支持低下の背景にある様子も浮かぶ。安倍内閣の支持率昨年9月の発足直後、63%だった内閣支持率はその後、じりじりと低下。4カ月弱で不支持と伯仲する水準まで下がった。以下、略。

 ただし、この調査結果は、冷静に考える必要がある。「大都市・若年層」の離反と「格差是正」の要求は、必ずしもイコールではない。「大都市・若年層は、格差是正を要求している」という命題は、果たして成り立つのか。雪斎は、どうも違うと思うのだが…。

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Comments

阿部総理にとっては、厳しい局面ですね。
何よりマスコミの作戦方針転換が効いているのでしょう。

即ち、「政策批判」では無く「支持率が下がった事」に重点を置いて報道する事。加えて「プラス面は絶対に報道しないこと」の2点が実施されており、政権にダメージを与えていると言って良いでしょう。
インド首相、ベトナム首相の国会演説がGTのTVニュース番組で見事にスルーされたのを見てもわかります。

Posted by: ペパロニ | January 23, 2007 at 09:21 AM

そもそも「経済成長か格差是正か」という問い自体がミスリードなんでしょうね。
競争に敗れた弱者層を救済するには経済成長による原資が必要なので、「経済成長なくして格差是正なし」というのが本当なのですが、「格差是正」を「富裕層vs貧困層」の闘争と捉えるマルクス主義的な誤った考え方が、マスコミには根付いてしまっているのでしょう。

Posted by: Baatarism | January 23, 2007 at 01:26 PM

若年層の離反についての「格差是正」の影響は二次的なものであると思います。
根本原因は「安倍総理の国民との対話能力が低いことへの失望」ではないでしょうか?
「痒いところに手が届かない総理だ。もっと話のわかる男だと思ったのに・・・」というような「意思疎通の失敗」が最大原因であると思います。
マスコミはもはや国民の意見を代弁しておらず、誰にも代弁されないことの不満が世論には重積していると思います。
安倍政権も古い自民党も(民主党などの野党ももちろん)、マスコミを経由して世論を把握しようとしすぎている。そのことに対するイライラではないでしょうか?
安倍政権は大枠では支持されていながら、個別の案件については、世論と噛みあうこおがなく上滑りし続けている。そんな気がします。
マスコミの代弁しない国民の本心、微妙なニュアンスを上手に把握すること。国民からのニーズに対してもっと敏感になること。安倍政権にもとめられているのはこういうことだと思います。

Posted by: 犬 | January 23, 2007 at 02:23 PM

国民は安倍政権を大枠では支持しつつも、同時にデリケートな調整がなされることを要求しているように思えます。
マスコミはこうした「微妙なニュアンスの不一致」からくる、世論と政権のすれ違いを、「大枠や基本路線が支持されていないからだ」と乱暴で粗雑な総括・分析を、あるいは意図的なミスリーディングをしています。
改革路線は、安保・外交についてはもちろんのこと、成長重視政策の面からも支持されているとは思います。しかし、国民は、とりわけ内政政策に関しては「改革プラスα」を望んでいるように思えます。この「プラスα」の修正が出来るかどうか、「プラスα」の微妙なニュアンスを把握できるかどうか。
これが国民との対話が成功するかどうかのキーポイントではないでしょうか?
少なくとも、国民はマスコミがはやしたてるほど、格差是正が単純似解決できそうな問題ではないということは、薄々とはわかっていると思うのです。

Posted by: 犬 | January 23, 2007 at 02:35 PM

>「大都市・若年層は、格差是正を要求している」という命題は、果たして成り立つのか。

私は案外成り立つと思います。小泉政権時において、大都市・若年者層が首相に拍手喝采を送ったのは「恵まれている人」の取り分を破壊することによって、「自分たちに取り分がまわってくる」ことに期待感と、それにともなう相対的格差縮小ではありませんでしたか?
「俺たちにも分け前くれよ」、という願望成就にとっては、パイの拡大でもパイの切り分け方変更でもどちらでもいいのですから。

>マスコミには根付いてしまっているのでしょう。
マスコミだけでなく、政治家にも根付いている、もしくは利用している、と思います。小泉政権時においてもその実は「比較的富裕な層vs貧困層」ではなかったでしょうか?

Posted by: ゆーき | January 24, 2007 at 12:55 PM

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