正月三日目
■ あけましておめでとうございます。
■ 雪斎は、越年執筆作業の果てに、元旦の朝を迎えた。取り組んでいたのは、昨年内に脱稿しているはずの「朝日新書」原稿である。「新書」という体裁は、書く中身の「絞り込み」が難しい。ちょっと、詳しく突き詰めて書こうとすると途端に紙幅が膨れ上がるから、厄介なのである。これは、本当に苦労するのだな…。
■ 今年、最初のBGMは、次の二つであった。
① ベートーヴェン 交響曲第7番 (オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団)
② 寺尾聡 『Re-Cool Reflections』
寺尾さんの新作アルバムは、率直に「お薦め」である。「ルビーの指輪」が流行っていたのが、1981年である。当時、雪斎は、田舎の高校生であった。寺尾さんの歌の醸し出す雰囲気は、「都会の男のカッコよさ」に対する憧れを植え付けてくれた。それから、四半世紀の歳月が経った。
「都会の男のカッコよさ」ということでいえば、四半世紀前の当時三十歳代半ばの頃よりも、現在の還暦手前の寺尾さんのほうが、断然、「カッコよい」と思う。
雪斎は、どこまで憬れていた「都会の男のカッコよさ」のイメージに近付けたであろうか。そういえば、東京に出てきて、もう14年である。
■ 正月二日午後以降、東京・歌舞伎座で「平成十九年寿初春大歌舞伎」初日、夜のプログラムを観る。プログラムは、下の通りである。午後四時半から午後九時半過ぎまで掛った。
一、廓三番叟(くるわさんばそう)
傾城千歳太夫 雀右衛門
番新梅里 魁 春
新造松ヶ枝 孝太郎
新造春菊 芝 雀
太鼓持藤中 富十郎
二、祇園祭礼信仰記 金閣寺(きんかくじ)
松永大膳 幸四郎
雪姫 玉三郎
十河軍平実は佐藤正清 左團次
松永鬼藤太 彌十郎
山下主水 桂 三
内海三郎 吉之助
戸田隼人 種太郎
春川左近 由次郎
慶寿院尼 東 蔵
狩野之介直信 梅 玉
此下東吉 吉右衛門
三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
小姓弥生 後に 獅子の精 勘三郎
胡蝶の精 宗 生
同 鶴 松
老女飛鳥井 歌 江
局吉野 歌女之丞
用人関口十太夫 猿 弥
家老渋井五左衛門 芦 燕
四、処女翫浮名横櫛 切られお富(きられおとみ)
お富 福 助
井筒与三郎 橋之助
穂積幸十郎 信二郎
赤間女房お滝 高麗蔵
蝙蝠の安蔵 彌十郎
赤間源左衛門 歌 六
雪斎は、歌舞伎の舞台を通しで観たことはない。上京以来、「一度、通しで観たい」と思っていたのであるけれども、中々、機会が得られなかった。母親がとある宝飾会社の顧客になっているので、その会社からのイヴェント案内に便乗したのである。
此度のプログラム中、メイン・ディッシュに当たるのが「金閣寺」、定番スープに「春興鏡獅子」という按配なのであろう。 だから、客席での拍手が一番大きかったのは、「定番」の「春興鏡獅子」であった。
「春興鏡獅子」では、「小姓弥生後に獅子の精」として中村勘三郎、「胡蝶の精」として中村宗生(橋之助Jr)と中村鶴松の子役二人が登場した。勘三郎さんの「獅子」の演技には、前の席の外国人客がえらく喜んでいた。流石、国際的な知名度随一の歌舞伎役者だけのことはある。
「金閣寺」に関しては、何もいうこともない。幸四郎、吉右衛門、左團次、玉三郎…と来たら、雪斎ごときが云々する話ではない。
ということで、「こいつぁ、春から…」ということで、滅多にやらないことをやってしまった。
今年、雪斎は、「滅多にやらないこと」を頻繁にやることになりそうである。
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Comments
あけましておめでとうございます。
今年が素晴らしい年でありますように。
本年もどうぞ、よろしくお願いします。
Posted by: forrestal | January 04, 2007 05:38 AM