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January 11, 2007

武大偉次官の意図

■ 昨日のエントリーの続きである。
 

□ 米朝が金融制裁で会合へ、中国外務次官が山崎氏に表明
 【北京=末続哲也】北朝鮮核問題をめぐる6か国協議議長の武大偉・中国外務次官は9日朝、自民党の山崎拓・前副総裁と北京で会談し、米朝間の金融制裁問題に関する専門家会合を21日か22日から米ニューヨークで開く方向で調整していることを明らかにした。
 武次官はさらに、「(米朝間で)合意が得られれば、6か国協議が再開されるだろう」と述べた。
 山崎氏が9日午前、同日からの北朝鮮訪問を前に、北京空港で報道陣に明らかにした。山崎氏はまた、自身の北朝鮮訪問について、「(北朝鮮に対する)対話と説得の努力が必要だ」と強調した。山崎氏はこのほか、9日朝に、中国共産党対外連絡部の劉洪才副部長とも会談した。
 山崎氏は、9日に平壌入りした後、13日まで北朝鮮に滞在し、同国高官との間で日朝関係打破の糸口を探る予定。(2007年1月9日12時39分 読売新聞)

□ 中国外相、2月に訪日へ・次官が公明代表に表明
 【北京=久門武史】中国訪問中の公明党の太田昭宏代表は9日午前、武大偉外務次官と北京市内で会談した。武次官は李肇星外相が2月中旬に訪日すると表明。4月に予定される温家宝首相の日本訪問に向けた準備のためとみられる。日本の谷内正太郎外務次官と中国の戴秉国外務次官による日中総合政策対話を1月末に開くことも明らかにした。
 会談で太田氏は日本の国連安保理常任理事国入りについて中国の支持を要請。武次官は「すべての加盟国で決める問題で、中国一国の態度で決めることはできない。他の多くの国に働きかけるようお願いしたい」と述べるにとどめた。日本経済新聞1月9日(13:50)

 この二つの記事を照らし合わせて浮かび上がるのは、次の二つである。
 ① 九日、武大偉次官は、朝に山﨑拓氏、午前に太田昭宏代表と相次いで会談した。
 ② 武次官は、「米朝交渉再開」情報を山﨑氏には伝えた。太田氏にも伝えたかは定かではない。
 国際政治全般の流れからすると、武次官が山崎氏に伝えた「米朝交渉再開」情報の方が、「六ヵ国協議」再開にも結び付く故に、重要度の高い情報である。武・太田会談で出された話は、総て日中二国間関係に関する話である。武・太田会談の様子を伝える記事を可能な限り漁ったところ、「米朝交渉再開」情報についての記述は見つからなかった。武・太田会談に関して一番、詳しそうなのが、10日付「公明新聞」記事である。
 

□ 日中連携のテーマ 武大偉外務次官と会談
 党訪中団公明党訪中団の太田昭宏代表(団長)、高野ひろし国際委員長(参院選予定候補=埼玉選挙区)、赤羽一嘉国際局長、高木陽介広報局長は9日午前、北京市内の中国外交部を訪れ、武大偉外交部副部長(外務次官)らと会談した。
 席上、武副部長は、8日に唐家セン国務委員が公明党訪中団に表明した李肇星外交部長(外相)の訪日について、2月中旬に予定していることを明らかにした。また、谷内外務次官と戴秉国外交部副部長(外務次官)との日中戦略的対話が今月末にも行われるとの見通しを示した。
 また、太田代表が戦略的互恵関係について、省エネや環境問題、農業分野で日中が連携する必要性を訴えたのに対して、武副部長は、「環境保全、省エネは戦略的互恵関係の重要テーマだ」と述べ、太田代表の考えを日中戦略的対話の団長を務める戴副部長に報告する考えを示した。
 太田代表は、日本の国連安保理常任理事国入りへの支持を求めた。

 因みに、10日「産経」が次のような記事を配信している。
 
【ワシントン=有元隆志】リービー米財務次官(テロ・金融犯罪担当)は9日の記者会見で、金融制裁問題をめぐる米国と北朝鮮の協議について、「1月末に向けて、暫定的に協議の日取りを決める方向で検討されていると聞いている」と述べた。
 リービー次官は昨年12月に行われた米朝協議について「ビジネスライクだった」と指摘。次回協議でも、北朝鮮が麻薬取引などの不法行為のために、国際的な金融システムを組織的に悪用していることに対し、懸念を伝える考えを示した。
 同協議をめぐっては、6カ国協議の議長を務める中国の武大偉外務次官が自民党の山崎拓前副総裁に対し、22日にもニューヨークで開かれるとの見通しを示している。以下、略
 
 武次官が山崎氏に伝えた「米朝交渉再開」情報は、22日という日付はともかくとして、決して根拠のないものではないのであろう。
 さて、ここからが本題である、
 何故、武次官は、こうした重要情報を山崎氏に伝えたのか。
 雪斎は、案外、此度の「山崎訪朝」に期待しているのは、実は中国政府なのではないかと勘繰っている。
 来年以降、北京オリンピックのような国際イヴェントを控えている中国政府にしてみれば、たとえば「六ヵ国協議」関係各国の中でも、緊張状態が解けることが望ましい。日中関係、日韓関係の「雪解け」が始まっていることを考えあわせれば、残るは、日朝関係ということになる。対朝二国間交渉を拒絶したはずの米国政府も、金融制裁解除を軸として微妙にスタンスが変わってきている。ヒラリー・クリントンに代表される民主党筋には、対朝直接交渉を求める向きがあるから、米国政府も、そうした声を無視できなくなっている。対朝強硬論で自縄自縛になっている日本だけが北朝鮮との「雪解け」を果たし得ていないけれども、それでは困るというのが、中国政府の本音なのであろう。
 だとすれば、山崎氏を「応援」する形でも日朝二国間対話に向けた雰囲気を作っておいたほうが、中国政府の考える「国益」には合致するであろう。
 北朝鮮政府の出方は、判らない。もし、山崎氏が北朝鮮で「厚遇」されるようであるならば、北朝鮮政府の「意図」は、だいぶ、見えてくる。おそくは、その「厚遇」は、中国政府に対する配慮という意味合いがあるし、日本に対しては対朝強硬論一辺倒になっている感がある安倍晋三総理周辺に対する牽制の意味合いもあろう。もし、山崎氏が「冷遇」されるようであるならば、北朝鮮政府の対日敵愾心は、既にイデオロギーの域に達していると判断したほうがいいかもしれない。山崎氏も、きちんとした「対話のチャンネル」構築に踏み出すことができれば、政治家としては一仕事をしたということになるであろう。
 こうして考えれば、「山崎訪朝」という一件だけを巡っても、かなりの思惑が錯綜している風情が伝わってくる。国際政治は、「複雑怪奇」である。

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