男だったら 一つにかける
■ 「さもありなん…」という話である。
□ 安倍政権の方向性、「分からない」7割…有識者アンケ
1月9日21時51分配信 読売新聞
国の政策評価などを議論する「言論NPO」(工藤泰志代表)は9日、安倍政権発足から100日間の評価に関する有識者らの緊急アンケート調査結果を発表した。
「安倍政権がどんなことを目指す政権か」という質問に対し、69・4%が「分からない」と回答し、「分かった」は25・4%にとどまった。
アンケートは昨年12月下旬、電子メールで実施し、<1>新聞や放送局の記者、編集幹部<2>大学生<3>企業経営者、学者など有識者――各100人と官僚50人の計350人から回答を得た。
安倍政権の支持率は24・0%。支持率が最も高かったのは官僚の44・0%で、有識者26・0%、大学生25・0%と続いた。記者は11・0%で最も低かった。
ふと、『銭形平次』の主題歌を思い起こす。
男だったら 一つにかける
かけて もつれた謎をとく
誰がよんだか 誰がよんだか 銭形平次
花のお江戸は 八百八町
今日も決めての 今日も決めての 銭がとぶ
歴代の内閣には、「ひとつに賭けた」政策というものがある。濱口雄幸における「金解禁」、吉田茂における「講和」、岸信介における「日米安保改定」、佐藤栄作における「沖縄返還」、小泉純一郎における「郵政民営化」といった具合である。
安倍晋三総理の場合、その「ひとつに賭けた」政策が何なのかが、はっきりしない。それが「方向性が判らない」という評の背景にある。無論、安倍総理の口から、「うつくしい国」とか「戦後レジームからの脱却」という言葉が出ているけれども、それは、あくまでも抽象的な「ヴィジョン」でしかない。
雪斎は、安倍総理が「うつくしい国」とか「戦後レジームからの脱却」という言葉を口にする毎に、「おいおい…」と反応してしまう。
「うつくしい国の実現」とか「戦後レジームからの脱却」というのは、何らかの政策が断行されたあとに浮かび上がる風景である。後世の史家が、「あの時、安倍が断行した政策によって、日本が『戦後レジーム』から脱却し、『美しい国』とした脱皮した」と書くことを期して、黙々と一つ一つの政策を断行するというのが、政治家として相応しい姿である。
安倍総理には、今月召集の通常国会冒頭の施政方針演説に際しては、「うつくしい国」とか「戦後レジームからの脱却」という言葉を用いずに、「これだけは一命を投げ打ってでも断行する」政策の中身を示してもらいたいものである。抽象的な「ヴィジョン」を語って悦に入っているのでは、昔日の「進歩主義者」と大差がない。
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Comments
丹念に安倍総理の発言を追っていけば優先順位は理解できると思いますが・・・
ザックリ言って「教育改革」と「憲法改正」で、前者が優先。
私見ですが、マスコミも小泉内閣との闘いで学んだのか、肝心の部分を一切報道しなくなりましたな。
そしてその作戦は今の所成功していると言って良いでしょう。
Posted by: ペパロニ | January 12, 2007 10:17 AM
>ペパロニさん
安倍内閣が教育改革を最優先課題としているのは確かなのでしょうが、安倍総理が教育を具体的にどのような姿にしようとしているかが見えないと思うんですよ。
小泉内閣が行った郵政改革や道路公団改革で、「民営化」という目標が明確に示されていたのとは対照的です。
だから教育再生会議も議論がまとまらず、迷走している印象になってしまうんでしょうね。
Posted by: Baatarism | January 12, 2007 12:28 PM
Baatarism殿
御説、同意。
教育改革の「柱」は、公教育の「建て直し」なのか「限界の認識、縮減」なのか。これだけでも、かなり様相が変わってきます。
「何とかしたい…」と思っているのは、確かなのでしょうが、それだけでは「願望」であって、「政策」ではないのです。
案外、安倍総理の教育「改革」というのも、付け焼き刃のような印象が残っている。この点は、小泉前総理の時とは、だいぶ違います。
Posted by: 雪斎 | January 12, 2007 01:21 PM
>雪斎さん
「教育基本法改正」や「愛国心教育」、「いじめ加害者処罰」などは「建て直し」の方、「教育バウチャー制」や「学校自由選択制」などは「限界の認識、縮減」の方に属する政策なんでしょうね。
この2つの要素がごちゃ混ぜになっているのも付け焼き刃のような印象を与える一因なのでしょう。
Posted by: Baatarism | January 12, 2007 01:38 PM
教育などというものは かならずしも 国家の固有の任務ではないので 国民的合意の作りづらいところです 崩壊してゆく現状は共有できるのですが さてどのようにつくりかえるかとなるといろいろな価値観もあり 郵政とちがうのは利害関係者も多くまた多くの国民があたかも専門家として関与可能であるかのように錯誤しやすい課題でもあり そこを主戦場に選んだのは政権の若さでしょう 老練を欠く政権運営は国論の分裂の因となり 短命を運命付けられるのでしょう 理念保守の若手政治家が保守政治の手法を見失う時 国民のもつ平衡力に理念ごとおしつぶされる懸念があります
Posted by: Ld.Ryu | January 12, 2007 03:27 PM
安倍政権の出だしは、40年前の佐藤政権の出だしを思い出します。佐藤政権の当初、汚職や不祥事で、政権の求心力が落ち、短命政権かといわれた。佐藤さんも、最初は人づくりということで教育を口にしたが、これは、保守政治家が、政策目標を見出せない時の常套フレーズで、そのままうやむや。結局、翌年(1965年でしたか)沖縄を訪問し「沖縄が日本に帰らないうちは戦後は終らず」の名文句が出て、政権の柱ができた。おそらく、ひめゆりの塔などに参拝されて、佐藤さんの心になにかがひらめいたのでしょう。政治家としての力はそういうところにある。佐藤政権は、ご存知のようにあのような長期政権となった。安倍総理には、そのひらめきを望みます。
Posted by: M.N.生 | January 12, 2007 05:39 PM
上で出ているように、賭けているのは教育再生と憲法改正なのは、見ていてなんとなくわかります。ただ、それが国民から積極的に支持されてないんじゃないか。いや、やろうとしていることはわかるけれども、もっと他にやることあるだろうと。
それと目先の支持率に一喜一憂しすぎて、付け焼刃にあちこち手をつけるから散漫な印象を与えてしまってると思います。
本人の性格的なものもあるんでしょうが、もっと「スルー」を覚えていただきたいものです。「荒らし」というものは、ターゲットが過剰反応するのを楽しんでいるのですから。
Posted by: さのよいよい | January 12, 2007 06:05 PM
雪斎さん
おはようございます。
安倍内閣のグランド・デザインは、なんとなくわかる気がします。
いわゆる「普通の国」へということでしょう。もちろん、この「普通の国」というのも、具体的なわかりやすい説明がありませんから、一般論、もしくは、私の個人的見解になりますが。。。
ただ、そこに至るプロセスが不透明かつ、曖昧なわけで、政策として、具体的なものがあがってこない。それゆえ、必要な国民へのより丁寧なアカウンタビリティができない。政策調整もままらないということでしょうか。
Posted by: forrestal | January 13, 2007 09:47 AM
一つにかけた政策ってそもそも必要なんでしょうか。郵政民営化って小泉政権が一つにかけるほど重要だったのか?
政界には中庸の精神も必要では?
Posted by: じょう | January 13, 2007 12:13 PM
こんにちは。
通りすがりに失礼いたします。
小泉さんの「郵政民営化」のように、明確な目標をあげることは、政治に無関心と言われた有権者を「どうして小泉さんはそんなに郵政に拘るのか」「もっと小泉さんの言うことを聞いてみたい」という気にさせていたように思います。そして小泉さんは、その関心に応じるように、様々な場所で何度もメッセージを発していたし、改革の必要性そのものを浸透させた。
安倍さんのキーワード「美しい国」は、漠然とした印象を与えがちだという点を認識しないまま使われていて、まるで「本を読めば解かる」とばかりに、有権者を突き放しているように感じる時があります。「結局のところ、何をどうしたいの」「私達の生活がどう変わるの」という根本的で現実的な疑問に応えなければ、有権者はいよいよ不安を感じ出す(もしくは、無関心状態に戻ってしまう)かもしれない。次の国会でどうにかできなければ、参院選は一層厳しくなるのではないでしょうか。安倍さんの真価が問われますね。
長文失礼いたしました。
Posted by: T | January 13, 2007 12:20 PM