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December 23, 2006

会議は踊る。されど…

■ 予想通りというべきか。
 

□ 6カ国協議、再開日程決まらず休会=作業部会設置も見送り-北、核議論を拒否
      12月22日23時2分配信 時事通信
 【北京22日時事】北朝鮮核問題をめぐる第5回6カ国協議は5日目の22日午後、進展のないまま日程を終了、休会とすることを決定した。休会決定後に発表された議長声明によると、次回会合の日程を決められなかったほか、中国が提案した作業部会設置も見送られた。北朝鮮は金融制裁問題が解決されない限り、核放棄議論に応じない姿勢を崩しておらず、2003年に始まった6カ国協議はその有効性が問われる重大な岐路を迎えた。
 今回の6カ国協議は、10月の北朝鮮による核実験を受けて1年1カ月ぶりに再開。議長声明は「早期の再開で合意した」としか記しておらず、再開日程に向けた交渉自体が難航するのは必至だ。日朝間の2国間協議は行われなかったが、佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は北朝鮮側に拉致問題の重要性を伝えた。

 水曜日、外務官僚・国際政治学者の合同研究会で出された研究成果は、興味深かった。「どの国がどの国に対してどれだけのポジティブ/ネガティブな認識を持っているか」ということの調査結果である。
 たとえば、中国では、「ポジティブ」度が高いのは南北朝鮮とロシアであり、「ネガティブ」度が高いのは、日本と米国である。韓国では、「ポジティブ」度が高いのは米国と中国であり、「ネガティブ」度が高いのは、日本と北朝鮮である。韓国においては、「ポジティブ」度が高い米国と中国は、「ネガティブ」度もかなり高い。
 因みに、日本に対してネガティブな認識が優勢なのは、中韓両国だけである。この二国を除けば大概の国々で、日本に対する認識は、「ポジティブ」が優勢と成る。たとえばシンガポールでは、「ポジティブ」度第一位が日本である。だから、「日本の孤立」などを喧伝する議論は、物事の実態を反映していない。もっとも、中国に対するポジティブ認識を持つ国々は、年々増えているから、日本も、何時までも「好感度一位」を守れるなどと高を括らないほうがいいのは、当然である。
 こうして考えると、「六ヵ国協議」の難しさは、北朝鮮に向き合う難しさであるのも然ることながら、日米中韓露五ヵ国の「協調」を図る難しさである。
 二〇〇三年以降の数度の「六ヵ国協議」は、小泉純一郎内閣期の冷却した対中・対韓関係の下でのものであった。故に、日本と中韓両国の間だけでも猜疑心が先走って、北朝鮮に対して一致した姿勢で臨む態勢を作るのは、難しかったと思われる。だから、安倍総理が中韓両国訪問に踏み切ったのは、意味のあることであった。おそらく、此度の協議が、「実質、第一回目」なのではないか。そう思えば、「六ヵ国協議」の結果に落胆する必要はないのかもしれない。ただし、懸念材料として残るのは、米国が「堪忍袋の緒が切れる」ことにならないかということである。米国が単独主義的に何らかの軍事オプションを選択することに決めたならば、日本には、それを支持するより他の選択肢はない。北朝鮮の「プッツン」も怖いけれども、米国の「プッツン」も怖い。北朝鮮はいい気になって、米国をおちょくるのは止めたほうが身のためだと思うけれども…。
 更にいえば、日本としては、「六ヵ国協議」で「拉致」案件を持ち出すのは、今後は考え直したほうがいいであろうと思われる。当面の目標は、日米中韓露五ヵ国の「協調」を確保して、北朝鮮の「核」に当たることである。「拉致」案件を持ち出して、「核」に関する日米中韓露五ヵ国の足並みを乱すことがないように、配慮しなければならない。「拉致」案件は、特に米中露三ヵ国にとっては、「自分の利害には関係ない話」だし、韓国にとっても「優先度の低い話」である。こういう状況では、米中韓露四ヵ国が本腰を入れて「拉致」案件に取り組むとは、期待できない。
 「拉致」案件には、別儀、対朝交渉の枠組を構築する必要がある。「会議は踊る、されど会議は進まず」とは、外交交渉と呼ばれるものの本質的な一面を表した言葉であるけれども、このことは、既に年老いた拉致被害者家族の人々にとっては、酷な話であろう。雪斎は、「六ヵ国協議」から「拉致」案件を切り離して、「拉致」案件専管の枠組を築き、そこに精力を注入するという柔軟性は、発揮されていいと思う。対外政策は、「可能性の芸術」である。色々なことを考えなければならない。

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Comments

雪斎さん

こんばんは。

このネガティブ度/ポジティブ度の分析は、おもしろいですね。

この認識をいかに、外交に主にソフトパワーでしょうが活かせるかでしょうね。

入江先生のイメージ分析もおもしろいですが、この認識というのも、政治を動かす重要なファクターですからね。

6カ国協議については、予想通りですね。

拙ブログでも、エントリしたのですが、拉致は、個別案件として、別の枠組みでやる方がいいですね。

北朝鮮とのチャンネルは、保っておくべきです。

Posted by: forrestal | December 23, 2006 at 06:25 PM

拉致事件を北との交渉で解決するためには、どこまで北朝鮮が譲歩すれば日本が拉致事件を「解決」したとみなすか、はっきりさせる必要があるんでしょうね。
そこがはっきりしないと、北朝鮮は無限の譲歩を迫られて体制崩壊してしまうんじゃないかと猜疑心を抱くでしょうから、外交による解決はできないでしょう。
ただこのような「解決」基準を設けるのは、国内の反発がすごいでしょうねえ。それに踏み切れるだけの強さが安倍総理にはあるのかなあ?

Posted by: Baatarism | December 24, 2006 at 12:27 PM

貴殿の言うとおり拉致問題は焦点では無い。テーブルにつく各国の温度差は非常に大きい。しかし交渉のデッドロックになっているわけでも無い。

よって「足並みを揃える為に」というまことに日本的情緒を理由に主張を引っ込めるのは得策では無いでしょう。むしろ「一度は引っ込めたではないか」と利用される懸念の方がより大きいでしょう。

Posted by: ぺパロニ | December 25, 2006 at 01:47 PM

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