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December 13, 2006

「ベートーヴェン弾き」との邂逅

■ 昨日、ウィルヘルム・ケンプが演奏する「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集」が届く。入手する機会を逸し続けて、遂に手に入れたものである。ベートーヴェン弾きといえば、既に神格化されているウィルヘルム・バックハウスが有名なのであろうし、普段は以前に「全集」を手に入れたバックハウスの演奏を聴いていた。けれども、雪斎は、ケンプの「弾き」のほうが気に入っている。かのウィルヘルム・フルトヴェングラーが、その「精神性」を高く評価したピアニストである。特に、ソナタ第8番「悲愴」第二楽章の「メロウな演奏」が何ともいえないのだな。
 正月に全32曲を聴くことにしよう。そういえば、三十年近く前に雪斎が初めて買ったクラシック音楽の商品は、ケンプの演奏による「悲愴、月光、熱情」のカセット・テープであった。当時の値段で三千円である。高いと思った。
 当時は、カネがないので、FM放送からカセット・テープに録音して聴いていたのである。。田舎の中学生だったのに、クラシック音楽趣味にはまり込んだのは、奇妙である。親にも、「誰に似たのかな」と言われた。音楽の先生を相手に、「フルトヴェングラーって、いいですよね」とやっていた。思えば、クラシックを趣味にしたのは、雪斎にとっては、青春期の「反抗心」の現われであったかもしれない。高校に入ると、「同類」が多くいて、安心したのだが…。
 今時の若者は、「FMエア・チェック」などというものをやるのであろうか。今なら、「ダウンロード」かな。豊かな時代に生まれ育った若者には、おそらく無限の可能性がある。「カネがない」ことを理由にして、できるはずのものをやらずにきた1960年代生まれ以前の世代とは、違うであろう。だから、雪斎は、日本の前途を悲観的に観ていない。

■ 諸般の事情により、エントリー更新は暫時、中断します。再開は来週月曜日の予定です。

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

母が音楽教師でもあり カラヤンが好きな亡父が主導して べート-ヴェンのレコードを100枚は所蔵していた家庭に育ちました 反抗といえば中学生のときに買ったセックスピストルズのLP 最近は私物に費やす余裕の無い日々です ダウンロードもいいかも 

Posted by: Ld.Ryu | December 13, 2006 at 12:03 PM

雪斎さん

今では、クラシックCDが安値で買えてしまいますね。PCや携帯からのDLも可能ですし。

始めて買ったクラシックは、高校生のとき、ベートーベン交響曲9番、7番 指揮 アッバートですね。1500円ぐらいだったと思います。

又、何か、お薦めがあれば、ご面倒、承知ですが、教えてください。

寒くなります。お体には、気をつけてください。

Posted by: forrestal | December 13, 2006 at 02:25 PM

エアチェックという言葉ほど世代を象徴する単語も珍しいと思います。ちなみに私はFMfanの読者でした。長岡氏が逝去されてからは買わなくなり、案の定同じ人が多いのか1年ほどで廃刊になりましたが・・・・まぁ、でも最期まで見届けたと言ってよいのでしょうか。何冊かはまだ取ってあります。

関東地方では、土曜の午後にNHK-FMの比較的長い枠でリスナーからのリクエストを受ける「クラシック・アワー」という番組があったように記憶しています。平日の夜にも同じように長い枠がありましたが、この土曜の時間帯の番組には当時小・中学生でクラシック初心者だった私が随分助けられたものです。たまたま親が買い求めていたLo-Dのコンポがあり、そのカセットデッキで録音に励んだものでした。もう数年くらい年を取ってからは、小遣いを節約してここ一番という時にTDKのSA-Xを買ったものです。私はメタルテープよりこっちのほうが好きでした。

そうして録音した中にベームのモーツァルトやギレリスのベートーヴェンのテープがあります。今も家のどこかに埋もれていて、もう聴く事も無いのですが捨てられないものとなっています。

Posted by: カワセミ | December 14, 2006 at 02:25 AM

 カワセミさんよりもっと古い歴史を言いますと、昔(今もあるかしら?)年末にバイロイト音楽祭の録音放送がありまして、それをエアチェックするのが楽しみだった(なにせ、ワグナーの楽劇全曲レコードは高かった)。はじめて買ったクラシックレコードというバトンタッチをやったら面白いかもしれませんね。私は、バン・クライバーンの弾いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。小学生の時。冷戦の真っ盛りにモスクワに乗り込んで、チャイコフスキーコンクールでアメリカ人として初めて優勝し、一躍アメリカの英雄になった。遠い昔の話です。(トレビアまでに、彼は昭和天皇を招いたホワイトハウス晩餐会の、公式プレイヤーの栄誉を与えられた。)

Posted by: M.N.生 | December 14, 2006 at 09:00 AM

雪斎さん

まったく関係のない記事で、TBしてしまいました。
申し訳ありません。

不愉快、ご迷惑なら削除してください。

今後とも、よろしくお願いいたします。

ちなみに、ギトリスだったと思うのですが、あの『チゴイネルワイゼン』は、お気に入りです。

Posted by: forrestal | December 14, 2006 at 11:41 AM

デアーチェックで思い出したんですが、昔々のその昔、NHK第一とNHK第二から同じ音楽を流してステレオの実験をしていたように記憶しています。
FMは、確か最初FM東海の実験電波で、真夜中に城達也の司会でジェットストリームというばんぐみがあり、オープニングに「ミスターロンリー」が流れる、中々しゃれた番組が気に入っていました。
ポール・モーリヤも良く流れていた気がします。


Posted by: ダンゴ | December 14, 2006 at 06:56 PM

Ld.Ryu殿
嗚呼、素晴らしい環境です。拙者も、将来には是非、自分の息子・娘には似たような「環境」を与えてやりたいものだと思っています。
forestal殿
アバドが先ですか。
拙者は、一番先に手にした交響曲は、カラヤンの「英雄」ですね。
ただし、肌合いが違うと思って、今は、ハンス・シュミット・イッセルシュテット、オイゲン・ヨッフム、レナード・バーンスタインに落ち着いています。地味系が好きかも…。
カワセミ殿
来た、来た。演奏の思い入れに応じて、テープのランクを変えるというのは、拙者もやっていました。
M.N生殿
「指輪」は今でも高いですね。どうしても、ショルティ辺りの「抜粋」でごまかしてしまうのですよ。


ダンゴ殿
「ジェットストリーム」は有名ですね。確か、その録音したものが発売されていたような…。

Posted by: 雪斎 | December 15, 2006 at 12:55 PM

カワセミさんのコメント、私も何気なく聞いていました。クラシックアワーに2種類あったんですか。ところで、誰か、そのタイトル音楽の名前を教えてくださいませんか?朝の名曲のタイトルは、ネット検索できたのですが。CMやドラマなど、日常の生活にとけ込んでいるクラシック音楽、何気なく口ずさんでいたら、欧米人達に、日本の音楽は素晴らしいと誤解されたことを思い出します、たいていは検索できるのですが、誰か教えてください。

Posted by: たかといいます | May 27, 2007 at 06:42 AM

どういうメロディかをそもそも忘れてしまったので回答が難しいですね。曲名からのチェックであればこういうサイト(登録が必要ですが)を利用して判別できるんですけどね。
http://www.classicalarchives.com/
後は楽器編成や和声を聴きとって絞り込むとか。ちょっと大変になりますが。同じ曲の合法的な音源のアップロードが可能なら質問に回答してくれるサイトを利用する手もあります。

Posted by: カワセミ | May 29, 2007 at 01:43 AM

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Tracked on December 14, 2006 at 05:48 AM

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