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December 03, 2006

ロシア・ファクター

■ 国際政治ネタでちょっとばかり注目せざるを得ないのは、このロシア・ファクターである。

□ 不審死の露元スパイ、体内などから放射性物質
 【ロンドン=森千春、千葉直樹】旧ソ連諜報(ちょうほう)機関「国家保安委員会(KGB)」の後継機関である露連邦保安局(FSB)元中佐のアレクサンドル・リトビネンコ氏(43)の不審死事件は、英保健当局が24日、同氏の尿から放射性物質「ポロニウム210」が検出されたと発表したことで、暗殺された可能性が一層、強まった。
 ロンドン警視庁は同放射性物質が同氏が立ち寄ったロンドン市内のホテルなどで検出されたと発表。英外務省は外交ルートでロシア側に「深刻な事件」との認識を伝えた。事件は英露関係に影を落とし始めている。
 英政府は24日、事件を重視し、ジョン・リード内相主催で国家緊急治安特別閣議を開催、事件への対応を協議。英外務省は同日、ユーリー・フェドトフ駐英ロシア大使を呼び、露政府が捜査に必要な情報を提供するよう要請した。

 このロシア・スパイは、プーチン政権に批判的であった故に、その「暗殺」には、プーチン政権の関与を云々する声が挙がっている、真相は、まだ判らない。
 ただし、ロシア政治に関していえば、次の点を指摘しておく必要がある。

 十九世紀以降のロシア皇帝の中で、まともな死に方をした例は、少数派に属する。ロマノフ王朝歴代皇帝の足跡を見ると次のようになる。

ミハイル・ロマノフ(1613年 - 1645年)    病弱、意志薄弱
アレクセイ(1645年 - 1676年)         
フョードル3世(1676年 - 1682年)      病弱、実権なし 
イヴァン5世(1682年 - 1689年)       病弱、実権なし、廃位 
ピョートル1世(1682年 - 1725年)      肺炎により死去
エカチェリーナ1世(1725年 - 1727年)   傀儡女帝  
ピョートル2世(1727年 - 1730年)       天然痘により急死
アンナ(1730年 - 1740年)           政治に無関心 
イヴァン6世(1740年 - 1741年)        廃位・暗殺
エリザヴェータ(1741年 - 1762年)      生涯独身
ピョートル3世(1762年1月5日 - 6月28日) 廃位・幽閉・暗殺
エカチェリーナ2世(1762年 - 1796年)    乱倫
パヴェル1世(1796年 - 1801年)       暗殺
アレクサンドル1世(1801年 - 1825年)    熱病により急死
ニコライ1世(1825年 - 1855年)        まともな死に方
アレクサンドル2世(1855年 - 1881年)   爆弾テロにより暗殺
アレクサンドル3世(1881年 - 1894年)   まともな死に方
ニコライ2世(1894年 - 1917年)        革命に際し処刑

 ソヴィエト共産主義体制下でも、暗殺、粛清の時間が続く。だから、ロシア絡みで、こういう「陰惨な政治の風景」は、「よくあること」であり、余り驚いても意味はないのかもしれない。
 過日、宴席で言葉を交わした寺谷弘壬(青山学院大学名誉教授)先生によれば、此度のリトビネンコ事件の本質は、ロシア国内「利権」だそうである。振り返れば、ロシアは、黒テンの毛皮を獲得するためにシベリア全域を支配下に収めた歴史を持つ国である。共産主義体制下では目立たなかったといはいえ、「利権」獲得の際の貪欲さというのは、ロシアでは相当なものがある。しかも、その「利権」獲得が、昨今の経済成長を背景に、かなり野蛮なスタイルで行われるわけである。だから、リトビネンコ事件で「ポロニウム」という物騒なものが出てきている。
 寺谷先生と話をしていて一致したのは、「ロシアは、文学や芸術の世界に限れば、何もいうことのない国だ」ということであった。寺谷先生を前にしていては到底、口にできなかったけれども、雪斎は、これに「女性、ただし二十歳代半ばまで」を加えよう。ロシア女性は二十歳前にはマリア・シャラポワに代表されるように綺麗であるけれども、三十くらいを過ぎると急に老けて行く。何故だろうと思う。そういえば、『ロリータ』を著したウラディミール・ナポコフも、ロシア人でった。
 ところで、雪斎がまだ口にしたことのないシャンパンに、「ルイ・ロデレール・クリスタル」というのがあるけれども、これもまた、「アレクサンドル2世皇帝の愛したシャンパン」として知られている。アレクサンドル2世皇帝の時代に、ロシア帝国の版図は最大に達し、彼とその次代アレクサンドル3世皇帝の時代にチャイコフスキーやロシア五人組の音楽、トルストイやドストエフスキーの文学が花開いた。そうした芸術の華やかさを思えばこそ、「ルイ・ロデレール・クリスタル」は、何時かは口にしたいと思っている。ただし、「ルイ・ロデレール・クリスタル」の値段を見ると…、沈黙せざるを得ない。
 ロシアは、「光」と「陰」の落差が極端な国だなと思う。雪斎は、北海道大学時代にロシア芸術に触れた。ジョージ・F・ケナンも、ロシアの芸術世界を愛した。政治の相手としては、これほど扱いの難しい国もないけれども、芸術世界には、えもいわれぬ魅力がある。

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Comments

大変な亀レスといいますか、遅い反応で申し訳ありませんが。

>寺谷先生と話をしていて一致したのは、「ロシアは、文学や芸術の世界に限れば、何もいうことのない国だ」ということであった。

以前、マイヤ・プリセツカヤの「闘う白鳥」を読みました。
共産党一党独裁体制と、芸術家としての自己表現とが
こうも激しく対立し、苦しみを与えるものなのかと、打ちのめされたような気分になったことがあります。
文学も芸術も、個の確立、個の尊厳が前提としてあるべき分野ですが(まあ、それと無関係な人間の所業はありえないでしょうが)、強い縛りと圧力ゆえの存在感の大きさがロシア芸術の特徴だと考えると、人の精神とは、かくも強いものかと、これまた打ちのめされました。

Posted by: るびい | December 16, 2006 at 09:25 AM

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