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November 20, 2006

休日の三書

■ 土曜日、村田晃嗣先生から、新著『プレイバック1980年代』が届けられる。
 1980年代は、どういう十年間であったのか。1985年という「点」に着目した著作ならば、吉崎達彦著『1985年』があるけれども、こちらは、「線」の作品である。10年間の出来事が「編年体」スタイルで綴られている。
 もっとも、こういう書は、題材の取捨選択が難しい。
 社会風俗の記述は、村田先生の専門外ゆえに、ちょっと苦しいところがあるような気がする。政治関連の記述には、安心していられた。流石である。
 因みに、村田先生が初めて「活字」にしたのは、学生時代に「産経新聞」に寄せた投稿であったそうである。物事の始まりは、ちょっとしたことである。

■ 大嶽秀夫先生の新著『小泉純一郎 ポピュリズムの研究』を読む。御厨貴先生の書に続き、当代を代表する政治学者の「宰相・小泉純一郎論」である。一読、「確かに、これは大嶽先生の仕事である」と思う。政治学者が
小泉論を書くとすれば、これが標準的なところであろうと思う。

■ わたせいぞう作『菜』第8巻が届く。全12巻の既に品切れになったものを除き全巻をアマゾンに発注したら、とりあえず第8巻だけが先に来た。
 『菜』の連載開始は、1992年である。当時、東大院生控室で『週刊モーニング』連載中のものを読んでいた記憶がある。わたせせいぞうさんの作品といえば、1980年代に一世を風靡した『ハート・カクテル』が有名であるけれども、『菜』は、それに続く作品となる。『ハート・カクテル』も『菜』も、1980年代と1990年代の時代の雰囲気をを映している。。『ハート・カクテル』は、都会的なお洒落な空気に満ちていたのに対して、『菜』は、誠に淡々とした日常が描かれている。
 『菜』に描かれているのは、耕平・菜という夫婦が織り成す「大人の愛情物語」である。舞台は鎌倉である。四季折々の「和」の風景が続く。「和み」と「彩り」の世界である。
 耕平は、物理学者で大学講師という設定になっている。「前に務めていた大学を辞めていなければ、もう教授になっている」という台詞があるから、耕平は、三十歳代後半から四十歳前後という設定なのであろう。菜は、三十歳代前半という風情である。雪斎のような年齢になると、『菜』の風景は、「帰るべき風景」になる。まだ、帰っていないが…。008

■ 沖縄県知事選挙の結果が判明する。与党系・仲井真弘多候補の勝利である。かなり安堵した。

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Comments

雪斎殿
わたせせいぞう氏は、ある損保の支店長さんでもあったということをご存じでしたでしょうか。
私もそれを父に聞いたとき、大変驚きました。
今でもその損保のカレンダーは、わたせ氏がイラストを描いておられます。

Posted by: durian | November 20, 2006 at 09:51 PM

雪斎さん

村田先生の新著は、さらっと目を通しました。先生は、浅田氏の『構造と力』を読んだと言っていた記憶が・・・w
それに、触発されて、自分も古本屋で、購入して、読みました。当時は、学生のバイブルだったらしいのですが。

大嶽秀夫先生の新著は、購入したのですが、積本で、まだ、読めずにいます。

この80年代をしっかり認識しておかないと、90年代、失われた10年は、考察できませんね。

Posted by: forrestal | November 21, 2006 at 01:01 AM

 御厨先生、竹中先生に続いて大嶽先生まで…。短期間にこれだけの「小泉論」が出てくるとは。それだけ、小泉さんがいろいろな意味で稀有な宰相だったということでしょうか。
 沖縄知事選はとりあえずホッとしました。

Posted by: talleyrand | November 22, 2006 at 12:06 AM

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