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November 18, 2006

『カノッサの屈辱』

■ 連日の訃報である。

□ <訃報>仲谷昇さん77歳=俳優
 個性的な演技で活躍した俳優で演劇集団円代表の仲谷昇(なかや・のぼる<本名・昇流=のぼる>)さんが16日、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため東京都内の病院で亡くなった。77歳。葬儀は家族による密葬で、劇団葬を後日行う。自宅は非公表。喪主は未定。
 中央大を中退し文学座演劇研究所に入り、後に座員に。1953年、今井正監督「にごりえ」で映画に初出演し、中平康監督「猟人日記」「砂の上の植物群」では主役を務めた。
 63年、芥川比呂志らと文学座を脱退し劇団雲を結成。75年には演劇集団円を結成し92年から代表。舞台、映画、テレビで名脇役として活躍し、深夜番組「カノッサの屈辱」(フジテレビ)では教授役を務め人気となった。
(毎日新聞)

 仲谷さんが出演していたもので忘れられないのが、深夜番組の怪作『カノッサの屈辱』である。『カノッサの屈辱』は、1990年春から1991年春にフジ・テレビ系で放映されていた。現代(バブル最盛期)日本の消費文化や風俗を歴史上の出来事に無理矢理なぞらえて解釈し、紹介するという体裁のものであった。仲谷さんは、「歴史学者」役として、その「史実」を講義していたのである。雪斎の手元には、後で再放送されたときに録画したものが残っている。
 この番組の妙味は、その「こじつけ方」にある。たとえば、「グルメ・ブーム」を扱った一編では、次のような言葉が並んでいる。
 1982年、「山本益博文」、「大日本定食憲法」発布
 林家喜久蔵、「自由麺権運動」始まる
 「グルメ三国干渉」 
   イタリア イ・ピぜッリ(南麻布)、
   中華   メトロポール(六本木)
   和食   公孫樹庵(四谷)
 「大東亜グルメ共栄圏」
 「ハウスマヌ関東軍」
 なるほど、当時の世相を思い出せば、ひどい「こじつけ」である。前に触れた「グルメ三国干渉」の三店は、もはや存在しない。イ・ピゼッリは、2003年まで存続していたようであるが…。『カノッサの屈辱』は、1990年代の幕開けの「バブルの残り香」を漂わせる番組であった。
 今、世は、世界史を初めとする高校での必修科目未履修が問題になっているけれども、『カノッサの屈辱』を観て笑うためには、ある程度の歴史知識が必要であるのは、確かである。仲谷さんの生真面目な「教授」ぶりは、そうした「笑い」のためには、欠かせない味をかもしだしていたと思う。「歴史とは現在と過去の対話である」というエドワード・ハレット・カーの言葉も紹介していたりした。「真面目」と「不真面目」の混然とした感じが魅力的な番組であった。

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Comments

「キリン麦府」に対抗して「尊皇ドラ夷」を唱えるアサヒ藩の落合信彦左右衛門、というネタもありましたね。
さらにサントリー藩が「モルツ」で「生麦事件」を起こすとか。w

Posted by: Baatarism | November 18, 2006 at 07:17 PM

仲谷昇さんといえば、カノッサの屈辱もありましたが、
同時期、テレ朝が日曜8時に経済ドラマを放送して
いたのを思い出します。
高杉良の「会社蘇生」が原作のドラマでしたが、彼は
それは見事な配役で出演していました。
役名はド忘れしてますが、その役のモデルは、セゾン
グループ総帥 堤清二。
まぁ、なんというか良く似ておられて。

Posted by: 桜新町長五郎 | November 19, 2006 at 07:58 PM

そのTVドラマは、見たことがないのですが、おもしろそうですね。
レンタルショップにおいてるかなあ。

最近は、そのようなドラマは、めっきり減ったような気がします。

Posted by: forrestal | November 19, 2006 at 10:35 PM

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