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November 25, 2006

木端を貯めて大木を流すな。 続

■ 郵政政局「造反組」の自民党復党に関する件が、正念場を迎えつつある。
 

□ 条件、中川幹事長に任せる=自民復党問題で安倍首相
 安倍晋三首相は24日夜、郵政造反組の自民党復党問題をめぐり、中川秀直幹事長が示した民営化支持などの復党条件に執行部から異論が相次いでいることに関し「わたしの考えは既に中川幹事長に示している」とした上で、「どのような原則を示すのかは中川氏に任せている。任せた以上、中川氏の方針で協議していただけるのではないか」と述べ、同氏の調整に委ねる考えを示した。 (時事通信) - 11月24日23時1分更新

 この件に関する雪斎の所見は、既に示してある。雪斎は、現時点での「造反組」復党は、自民党にとってはマイナスのほうが大きいであろうと判断している。

 雪斎は、昨年の郵政政局の折に「郵政・関ヶ原」という文章を書いた記憶がある。郵政政局は、郵政民営化法案への賛否というよりは、小泉純一郎内閣の「倒閣運動」という意味合いを含んでいたはずである。小泉総理は、それを察知した故にこそ、「造反組」を徹底して潰しに掛ったのではなかったか。
 振り返れば、1600年秋、「関ヶ原」の折に西軍に与した緒将には、戦後の「寛大な措置」などは、期待すべくもなかった。彼らの運命は、石田三成のように斬首されるか、宇喜多秀家のように所領を没収されるか、上杉景勝のように大幅に減封されるかの何れかしかなかったのである。「造反組」復党の経緯を観察する際の不快さは、一旦は西軍に与した緒将が生命どころか所領も安堵されると期待して振る舞っているのを観る不快さと似ている。「世が世なら斬首、運が良くても所領没収なのに…。そんなに軽い気持ちで『造反』の決断をしたのか…」という皮肉の一つも、並べたくなるわけである。
 無論、「造反組」は保守色の強い議員がほとんどであるから、保守層の中には、「造反組」に同情的な意見を示す向きがある。とある新聞記者も、そうした心情を吐露している。しかし、雪斎は、「造反組」が保守的であろう革新的であろうと、誤った政局判断を下し、その誤った政局判断を僅か一年の時間で帳消しに出来ると考える「甘さ」こそが、何より問題であると考えている。もし、昨年の政局の焦点が、郵政民営化法案という国内政策課題ではなく、「戦争と平和」に絡む判断であったならば、「あの判断は誤りでした。だから党に戻してください」という具合に本当に口にできるであろうか。雪斎ならば、こういう政局判断の甘い政治家の下には付きたくない。それは、自らの「身の破滅」を意味するからである。
 しかも、こうした「造反組」復党に関する議論に「情」を持ち出すのは、まったく解せない。政治家が示す「情」とは、民衆・百姓に対してこそ向けられるべきものである。小泉純一郎前総理は、「非情」、「冷酷」のイメージで語られているけれども、ハンセン病訴訟の折には、患者に対する「情」に基づいて裁判に終止符を打つ選択に踏み切っている。小泉前総理が「非情」であったのは、権力闘争の相手である政治家に対してであって、民衆に対してではない。そして、政治家が「情」によって救われる光景というのは、かなり気色悪いものである。その点、雪斎は、中川秀直幹事長が「自民党は仲良しクラブではない」と語った認識を支持する。政治家同士の「情」の遣り取りなどは、一般国民にとっては「どうでもいいこと」でしかないし、その「情」の遣り取りは、政局判断の「甘さ」を醸成する元凶である。
 雪斎は、どのような条件を付したにせよ、「造反組」の現時点での復党は、自民党それ自体の党勢に対してマイナスになるだけではなく、国民の政治不信を再燃させかねないと考える。雪斎は、日本における「統治」の水準が最底辺まで下降した1990年代の風景を再び見たくはない。
 「造反組」の復党には、おそらくは次の二つの条件が必要である。
 ① 今後、自民党の政権運営に誠実に協力し続ける。
 ② 次期衆議院選挙で自力で当選を果たす。
 どうやら、雪斎も、「永田町」を去る潮時が近付いているのかもしれないと思い始めている。自民党関係者としては、書き過ぎたかもしれない。ただし、小沢一郎代表麾下の民主党の現在の体たらくを見れば、自民党の「統治」の質は、そのまま日本の「統治」の質を意味する。民主党の復活は、「前原誠司」路線の復活に拠るしかないであろうけれども、それは、何時のことなのか。自民党に「縁」を持つ立場であればこそ、自民党の「統治」には厳しい眼を向けている必要があるのである。

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Comments

>どうやら、雪斎も、「永田町」を去る潮時が近付いているのかもしれないと思い始めている。

この言葉に、一つの「潮目」を感じております。
安易な形で復党問題を片付けてしまえば、もう当分、昨年の総選挙のように「明確な政治的課題につき、国民に信を問う状況」は今後作れない、或いは作らないことになると思います。
有権者も「使い捨て…」ですか…

安全保障、資源問題等、国民が自分の頭で考えていかないといけない課題は、山積しているはずですが。

Posted by: るびい | November 25, 2006 at 08:39 AM

初めてコメントさせていただきます。

造反議員について、私も常々”政策云々以前に、政局に対する嗅覚。判断に対する覚悟がなさ過ぎる”と考えておりました。
造反議員復党に否定的な国民のほとんどが、そう考えているんじゃないでしょうか?

小泉前総理の功績として、真に力ある政治家の姿を有権者に生で見せ付けたことがあると思います。

郵政政局前と郵政政局後では、政治家を見るときの国民の基準が明確に変ったのではないかと。

現役議員の皆さんの中には、そのルールが変わったことを自覚しているが故に、既に己が旧式化、陳腐化しているのを認識した上で、かつてのルールへの復古を願望している方々が居るように見えます。

造反議員復党>次期衆院選挙勝利の流れによってそれを成し遂げようと、できると信じておられるようです。
そのような思考自体が、もはや国政をあずけるには決定的に力量が不足している、と認識される時代になっているというのに。

郵政解散がルビコン渡河であったとしたら、次期衆院選はアクティウムの海戦といったところでしょうか。

歴史を物語として見ておられるなら、とても面白い状況なのでしょうが、我々は同時代人なんですよね。
その苦悩とか、苛立ちもわが事として体験していかなくてはならないのは、幸福なのか不幸なのか。

今後も一読者としてエントリー楽しみにしております。

Posted by: horten | November 25, 2006 at 11:00 AM

 僕としては雪斎先生のような人が自民党の内にいて欲しいです。先生の仰るとおり、ー自民党の「統治」の質は、そのまま日本の「統治」の質を意味するーのであらばなおさらです。

Posted by: ささらい | November 25, 2006 at 11:18 PM

いつも拝見しています。ところでこの問題、私は中川氏の言動に反感を覚えています。反感を感じているのは以下の部分です。

>郵政造反組の復党条件の1つに挙げていた「国民の理解」を得る具体的な方法として、造反組側が郵政民営化への見解や復党理由を公の場で明確に説明することが必要との認識を示し、「それが“みそぎ”になる」と述べた。
>http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/11/19/07.html

1点目の反感は「国民の理解」を理由に挙げて、自分たちの説明責任を避けていること。復党を許可するかどうかは自民党が決めることであり国民が決めることではないですから、造反組の復党を許すのであれば復党時に、許さないのであれば即座に、自民党(この場合は中川氏)がその理由を公に説明すべきです。その説明責任から逃げるだけでなく、国民が復党を決める権限をもっているかのような錯覚まで振りまいて説明責任をごまかすのはどういうことでしょう。

2点目の反感は「みそぎになる」という表現で、復党を許可する責任者をごまかしていること。そもそも国民とは誰のことを指しているのでしょう。造反した理由を説明することで、復党は誰に許されるのでしょうか。国民の中には説明されても納得しない人だっているでしょう。そもそも自民党の政治家以外の権限のない人が許すも何もありません。なのに勝手に「みそぎになる」というのは、「国民」という単語を使うことで、復党を非難する人たちの矛先を他に逸らそうとしているとしか思えません。

なので造反組の態度に焦点を当てて復党条件をいろいろ挙げている今回のエントリーは、片手落ちかと思います。ぜひ自民党と中川氏の態度についてのエントリーも書いていただきたいと思います。

匿名の長文、失礼しました。

Posted by: 初めまして | November 26, 2006 at 01:40 AM

 中川幹事長の立場としては、今回の措置はぎりぎりの判断だったというところでしょうか。ですが、やはり中途半端であるという気がします。
 世が世ならば、おっしゃるとおり「石田三成のように斬首されるか、宇喜多秀家のように所領を没収されるか、上杉景勝のように大幅に減封されるか」だったのですから。
 これも「小泉疲れ」から来るバックラッシュなのでしょうか。

Posted by: talleyrand | November 26, 2006 at 02:56 AM

Soddisfare emozionante. Siete buoni a fotoricettore-progettate!

Posted by: sesso | December 20, 2006 at 11:02 PM

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