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November 06, 2006

政治学者と「雑誌」

■ このところ二週間、『週刊プレイボーイ』誌上の北朝鮮情勢、核武装関連記事で雪斎のコメントが紹介されている。
 雑誌といえば、最近、雑誌『LEON』をはじめて手にした。こういうファッション系の雑誌は、二十歳代半までは割合、開いたものであるけれども、近年は御無沙汰していた。手にした最初の感想は、「重っ」である。しかも、紹介されていたロング・カーディガンの値段を見たら、16万円だそうである。他に、並ぶは並ぶは、高額商品である。こういう雑誌が、継続されて刊行されていることに、ちょっと衝撃を受けた。もっとも、この雑誌は、「40歳代以上の富裕な男性層」を対象にしたもののようである。確かに、この種の雑誌は、大概、女性層を対象にしているから、男性層をまともに対象に据えたという意味では目新しいのかもしれない。
 もっとも、中央公論新社が『リクウ』という雑誌を創刊したので、雪斎は、そちらのほうが気になるけれども・・・。
 

ところで、1970年代前半に、当時50歳前後の中年のおっさんが、雑誌『プレイボーイ』のグラビアにプレイ・メイトのお姉さんと一緒に登場したことがある。そのおっさんというのは、米国の基準からしても背の低い風采の上がらない御仁であった。そのおっさんの名前は、ヘンリー・A・キッシンジャーといった。当時、キッシンジャーの頭脳の中に「世界の青写真」が描かれていたと多くの人々が思っていたという点で、キッシンジャーは、世界の最重要人物であった。その最重要人物がお姉さんとグラビア写真に収まったのであるから、かなり話題になっていたようである。スタンリー・キューブリック監督映画『ドクター・ストレンジ・ラブ』のモデルにされた逸話に恥じることなく、キッシンジャーは、「不思議な恋愛」博士を演じてくれたわけである。今、雪斎がたとえばリア・ディゾンのようなグラビア・アイドルと写真に収まったら「阿呆」の一言で片付けられそうであるけれども、キッシンジャーの場合は、まともな考察の対象とされたのであるから、政治学者といっても「雲」と「泥」の差がある。
 ただし、こうした外交の表舞台で華々しく活躍したキッシンジャーは、ホワイト・ハウスでの仕事の合間にハーヴァード大学のキャンパスに戻ると、同僚教授であったスタンリー・ホフマンに、次のように尋ねていたそうである。「私は、大学では、どのように思われているのであろうか」。
 雪斎は、このキッシンジャーの迷いが理解できる。政治学者にとっては、「大学の外」で過ごす時間が長くなればなるほど、「自分が本来、居るべき場所」から離れていくように感じるのである。雪斎も、「永田町」復帰から一年である。「アカデミズムの世界」に完全に戻る潮時を探ることを真面目に考えなければならない局面は、そう遠くない時期に来るような気がする。

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

>「大学の外」で過ごす時間が長くなればなるほど、「自分が本来、居るべき場所」から離れていくように感じるのである。

さもありなん、と思いながらも、軽くショックであります。
それだけ激しい消耗を感じる世界なのでしょうか。たぶんそうなのでしょう。
やはり政治家と言うのは化け物みたいなものですね。
決して揶揄しているのではありませんけど。

>グラビア・アイドルと写真に収まったら「阿呆」の一言で片付けられそう

いえいえ、そういう写真を見てみたいと思います。
信頼のおける、良いカメラマンに撮って貰って頂きたいです。
ライトはピンスポットで、少し凄みを利かせて。
世間に、キッシンジャー以上の衝撃を与えるかと…絶対、決して揶揄してはおりません。(汗)

Posted by: るびい | November 06, 2006 at 06:35 AM

雪斎さん、おはようございます。

H・A・キッシンジャーの話は、初耳でした。

私自身も含めて、これは、雪斎さんもでしょうが、M先生は、学生の時からですが、他人の評価は、大切だけれども、いちいち、誹謗・中傷の類を気にしていては、やってられないと。
これも、教わったことのひとつです。

私も、そろそろ真剣にアカデミズムにかえる日を考えておかなければなりません。(願望ですが・・・)

Posted by: あいけんべりー | November 06, 2006 at 09:38 AM

 キッシンジャーとプレイメイト。なかなかシュールな構図ですな。
 るびいさんに同じく、私も、雪斎先生と(リア・ディゾンでなくとも)誰かしらアイドルか女優との対談など読んでみたいです。

Posted by: talleyrand | November 06, 2006 at 03:17 PM

 るびい殿
 talleyrand殿
 どうも。あまり変な「妄想」をたくましいしないほうがいいかもしれませんね。
 あいけんべりー殿
 このエピソードは、「キッシンジャーと私」という書に紹介されています。
 戻りましょう。「アカデミズムの世界」に…。

Posted by: 雪斎 | November 06, 2006 at 11:28 PM

毎度楽しみに拝見してます。

遅レスですが、Dr. Strangeloveは1964年封切りですので、キッシンジャーがモデルというのは正しくないですね。

逆にキッシンジャーがDr. Strangeloveに擬せられるのを嫌がったというエピソードは読んだことがあります。

Posted by: 一匹狼 | November 07, 2006 at 09:37 PM

・一匹狼殿
キッシンジャーの核戦略理論家としての業績は次の二冊です。
Nuclear Weapons and Foreign Policy, (Harper & Brothers, 1957)
The Necessity for Choice: Prospects of American Foreign Policy, (Harper, 1961).
 キッシンジャーそれ自身は、1960年代初頭にして既に名声を得ていたわけです。要するに、キューブリック監督が「ドクター・ストレンジ・ラブ」を撮ったときに、キッシンジャーのことを思い描いていても、おかしくないのですな。この映画とキッシンジャーの連関を伺わせる話は、結構、あるわけです。もっとも、キューブリック自身の証言を拙者は知りませんので、「キッシンジャーをモデルにしたとまではいえない」ということならば、それに反論する材料はありません。。

Posted by: 雪斎 | November 08, 2006 at 12:45 AM

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Tracked on November 06, 2006 at 02:03 PM

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