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November 30, 2006

投資の「論理」

■ 最近、「格差社会」批判の文脈で、またまた浮上しているのが、「汗水たらして働かなければ駄目だ」という類の議論である。雪斎は、こうした議論が嫌いである。「汗水を垂らそうが垂らすまいが、銭を稼げればいいのではないか」という想いがあるからである。
 ところで、たとえば、現在の日本において、身体障害者という部類の人間が、「億万長者」になれる可能性 は、あるのであろか。結論からいえば、その可能性は、かなり低い。億万長者どころか、日々の糧を自ら稼ぎ出すことですら難しいのが、この国の障害者と呼ばれる人々の現実である。

 『五体不満足』で一世を風靡した乙武洋匡氏のような事例は、あまり参考にはならない。彼の書に寄せらた集中豪雨的な反響は、彼には、宝くじで当たったような体裁で数億単位の富をもたらした。
 雪斎が株式投資を始めたのは二年半前である。その時に何を考えたのといえば、「身体障害というハンディがあるところで、たとえば一億円という富を手にすることは可能なのか」という問いに答えを出して見たいということであった。高校生の頃に「将来の仕事は…」と問われて「大学教授だ」と答えていた雪斎は、二年半前には、既に道が敷かれたように感じていた。「何年か後には教授になるのだろう」という予測が立ってしまったわけである。当時は、既に言論活動は軌道に乗り、数冊の書も上梓し、それなりの賞も得ていた。雪斎は、少なくとも高校時代以降、「自分は、何がどこまで出来るのか」ということを証明することに躍起になっていたので、新たに証明しようとした次の命題が必要であると思っていた。因みに、雪斎は、「日本の障害者で、航行中の米国海軍原子力空母ニミッツに最初に搭乗した男」である。えっ、自慢にならないって…。スミマセン。
 故に、雪斎が証明しようとした次の命題が、「身体障害というハンディがあるところで、たとえば一億円という富を手にすることは可能なのか」であった。巷にあふれる「個人向けの投資指南本」は、多くが「一億円」を到達目標に設定している。その目標設定を踏まえたわけである。雪斎は、二年半程の投資歴を経て、この「一億円」という水準は決して越えられないものではないと諒解した。「身体障害というハンディがあれば、富を手にすることができない」というのは、根拠のない予断である。
 雪斎は、結論からいえば、たとえ多少の身体障害を抱えている人物てあっても、金融資本主義の分野ならばプレーヤーとして活躍できるのではないかと考えている。金融資本主義のプレーヤーがやることは、結局はカネに関わる「売りと「買い」の二つであり、その「売り」と「買い」のための判断能力とデータ解析能力さえ備われば十分に活躍できるはずであるからである。雪斎は、当然のことながらアマチュア投資家に過ぎないけれども、四半世紀前に「金融資本主義での可能性」に気付いていたならば、プロフェッショナルの投資家の道も考慮できたかもしれないと思っている。そこは、「汗水は垂らさない」空間であったとしても、「胃が痛くなる」空間かもしれない。ただし、そうであるにしても、そこは、「身体障害というハンディがあっても富を手にする可能性を考えることの出来る」空間である。
 振り返れば、江戸時代、盲人(視覚障害者)に特権的に認められていた生業は、「金貸し」であった。「富」を得られれば、自分の身の周りの世話をする人々を雇えるし、結婚して所帯を持つのにも支障がないわけである。たとえば、江戸時代後期、男谷検校と呼ばれた人物がいる。検校は、越後の農民出身であったけれども、江戸に出て来て「金貸し」商売を始めた。検校は、莫大な富を築き、それによって御家人株を買って、幕臣の身分を得た。そして、男谷検校の曾孫にあたる人物が幕末の偉才、勝海舟である。なるほど、こういう社会「福祉」のやり方もあるのである。
 現在の日本では、こういう発想jは中々、出て来ない。相変わらず、どれだけ公的年金のような「福祉」の枠組に依存するか、あるいは依存させるかという議論ばかりが行われている。総ては、「障害者は、『能力のない人々』である」という予断が根強く残っている故である。こういう予断がある限り、「障害者自立支援法」のような枠組は、機能しないであろう。こういう予断は、徹底して潰さなければならない。だから、雪斎は、近い将来、「ミリオネア」になってみたいと思う。実例に勝る根拠はないからである。「ボケ。俺が実例だ」と噛み付いてきた日々は、まだ終わらないようである。
 このエントリーを読んでいる財務官僚の人々がいたら、是非、三十年後に雪斎を表彰してもらいたいものである(笑)。障害者を金融資本主義の世界に誘導して、多くを納税者にしてしまえば、日本の財政にはかなりの貢献になる。その突破口を開く議論をこそ、早急に始めるべきではないのであろうか。

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Comments

 貴著「福祉の呪縛」は私にとっては衝撃でした。
 肉体にハンディがあるのなら、頭脳で稼げる仕事につくべきで、そのための政策のひとつが、バリアフリーである、などなど、夢と説得力に満ちたものでした。
 自分が障害者かもしくは障害者の保護者であったら、雪斎先生の本に希望を見出していたと思います。
 出版から間もなく10年。障害者を巡る議論は、先生がおっしゃるとおり、当時とほとんど変わっていません。自立支援法に関する議論でも、「食えなくさせる気か!」ばかりで…。
 私としては、傷害を持つ子供たちが、野心や夢を持てる障害者エリート教育のようなものを議論してもらいたいですね。

Posted by: talleyrand | November 30, 2006 at 02:29 AM

 雪斎さんのような考え方が自立支援法の理念であるべきだと思いますが、現状は・・・。
>総ては、「障害者は、『能力のない人々』である」という予断が根強く残っている故である。
 これが行き着くところは、「かわいそうな人たちに健常者が施してあげる」という「施し福祉」。彼らの自立になんのプラスにもならない。

 福祉現場で障害児とかかわっていると、教育の問題も強く感じます。親も我が子がかわいい・かわいそうだ、でまともに自立教育を考えないし、親も子から自立出来ていないのですね。
 カラオケボックス一つ自分達で行けない、いい年した大人の障害者にいかに多いことか・・・。

Posted by: さのよいよい | November 30, 2006 at 06:35 AM

いつもブログ興味深く拝見させていただいております。

今回の雪斎さんのエントリーで

>「障害者自立支援法」のような枠組は、機能しないであろう。

と言っておられますが、今福祉施設関係者を中心にして「~支援法」は介護保険とリンクさせて、単なる財政支出を軽減するものだ、という主張がつよいように感じております。実は、私自身もそのように思っている者の一人なのです。

雪斎さんは、この「支援法」について、評価されていらっしゃるのが理解できたのですが、国民の理解を得られてはいないように感じます。できましたら、そのあたりをいつか、エントリーいただければ幸いです。

Posted by: MAKO | November 30, 2006 at 11:49 AM

雪斎さん

現在、母が福祉関係の仕事をしております。その教本には、必ずと言っていいほど、’障害者の自立を促す’ようにと書かれています。もちろん、自立といっても、社会的自立の前段階なのだとは、思いますが。ただ、実質的に社会的な受け皿は、少ないとしかいいようがありません。今や、多少の障害なら、PCを使って、より多くの場で(自宅でさえも)、活躍できると思います。

私の投資は、なかなか副収入にはなりません。まあ、遊びですから。

Posted by: forrestal | November 30, 2006 at 07:14 PM

追伸:政府・行政がことさら、介入せよという意味ではありません。雪斎さんおっしゃている通り、公的年金に頼るような福祉ではなく、新たなモデル・ケースを提示していくことです。

Posted by: forrestal | November 30, 2006 at 07:52 PM

一億円行きました?
行ったら是非教えて下さいな。
みなでお祝いをしたいと思います。

それはそうと、自立支援法は、身体障害者、知的障害者、精神障害者それぞれの福祉法をまとめる、という趣旨だったと思います。
雪斎さんの一億を待つまでもなく、身体障害者が億万長者になることは可能でしょう。
しかし知的障害者と精神障害者はどうでしょう?
ノーベル賞取った人はいるんですけどね>精神障害者

Posted by: wandersucht | November 30, 2006 at 10:16 PM

>是非、三十年後に雪斎を表彰してもらいたいものである(笑)

σ(^_^;からのでよろしければ喜んで表彰させていただくのですが(笑。というよりも、世の中には雪斎先生のような方がいらっしゃることを、機会を見て若者に伝えていきたいと思っております。

(追伸)どうせならただのmillionaireとはいわず、2,3 millionsくらいためちゃってください(^^;

Posted by: おおみや%バイト君 | December 01, 2006 at 10:58 PM

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