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November 30, 2006

投資の「論理」

■ 最近、「格差社会」批判の文脈で、またまた浮上しているのが、「汗水たらして働かなければ駄目だ」という類の議論である。雪斎は、こうした議論が嫌いである。「汗水を垂らそうが垂らすまいが、銭を稼げればいいのではないか」という想いがあるからである。
 ところで、たとえば、現在の日本において、身体障害者という部類の人間が、「億万長者」になれる可能性 は、あるのであろか。結論からいえば、その可能性は、かなり低い。億万長者どころか、日々の糧を自ら稼ぎ出すことですら難しいのが、この国の障害者と呼ばれる人々の現実である。

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November 29, 2006

内閣支持率40%の「防衛線」

■ 「ああ、やっちゃったのね」。これ以外に、どのような言葉を考え付くであろうか。
 

□ 「選挙で反対と言ってない」=造反4氏が苦しい弁明-自民復党
 郵政民営化造反組の堀内光雄元自民党総務会長ら無所属議員4氏は28日午前、衆院議員会館で記者会見し、自民党に復党願を提出した経緯などを説明した。堀内氏は「昨年の選挙戦でも民営化反対とは一言も言ってなかった」と弁明。山口俊一氏も「民営化ではなく、法案に問題があると言ってきた」などと苦しい釈明に追われた。
 同日の記者会見は、安倍晋三首相(党総裁)が復党希望者に対して公の場で自らの立場を説明するよう求めたことを受けたもので、堀内、山口両氏のほか、古屋圭司、森山裕各氏が出席した。 
(時事通信) - 11月28日13時0分

 次の各紙世論調査で発表される内閣支持率は、間違いなく急降下するであろうけれども、雪斎の今の関心は、「どこまで落ちるか」という点に移りつつある。一つの目安は、「40%」である。「40%」というのは、小泉内閣支持率の「下値抵抗ライン」であるl。メディアの違いはあれ、この「40%」の支持層が「小泉執政」のコアな支持層であった。これを維持できるかは、「安倍執政」の性格を展望する上では、大事になるであろう。
 

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November 28, 2006

政治は「二流の仕事」である。

■ 「政治は『二流の仕事』である」。かって、ホセ・オルテガ・イ・ガセットは、このように語った。
 

□ 国民の理解得られる=中川自民幹事長
 自民党の中川秀直幹事長は27日夜の記者会見で、郵政民営化造反組11人の復党を認めたことについて、「党として筋を通すことができた。復党希望者も努力することを約束していただいたので、(国民も)いずれ理解していただけるのではないか」と語った。 (時事通信) - 11月27日21時0分

 □ 造反11人復党、首相が手続き指示=「責任持って決断」-時期尚早と反対論・自民
 安倍晋三首相は27日夕の自民党役員会で、郵政民営化に反対し、同党を離党した無所属衆院議員12人から復党願が提出されたことについて「(平沼赳夫元経済産業相を除く)11人の復党審査手続きに党紀委員会で入ってもらいたい」と指示した。誓約書を出さなかった平沼氏は、審査対象から外した。党内では新人議員らから反対論や慎重論が相次いだが、同党は早ければ月内にも党紀委員会を開き、復党を正式決定する運びだ。
 首相は同日夜、首相官邸で記者団に「総裁として責任をもって決断した。古い自民党に戻ることはない」と言明。復党条件に関しては「郵政民営化是か非かをあいまいにしてはならないと考えた」と国民の理解を求めた。また、復党問題での衆院解散を否定した。(時事通信) - 11月27日21時0分

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November 26, 2006

山口百恵の世界

■ 休日の徒然に、山口百恵さんのアルバム 『GOLDEN☆BEST/PLAYBACK MOMOE part2』を聞く。雪斎が小学生くらいの頃、初めて親に買ってもらったEP盤のレコードは、百恵さんのものだった。今の四十歳代の多くは、百恵さんの「洗礼」を受けているのであろう。あらためて聞いてみると、百恵さんの歌は、完全な「古典」になっているのだと実感する。「古典」というのは、何時でも聴く価値を持つという意味である。
 このアルバムは、百恵さんの歌から34曲を収録したものであるけれども、総てがそれぞれの趣を持っている。その多面性が、たった一人のアーティストによって演じられているのだから、凄いことだといわなければならない。
 最初期の「としごろ」、 「青い果実」、「禁じられた遊び」 、「春風のいたずら」辺りは、完全なアイドルとしての歌い方なのかもしれないけれども、.早くも二年目以降に出た「ひと夏の経験」、「冬の色」辺りから雰囲気が変わって来る。宇崎・阿木夫妻と組んでからは、もう大人のアーティストとしての歌い方である。百恵さんの活動期間は、僅かに七年である。誠に濃密な時間である。
 おそらく、百恵さんの存在は、米国政治史におけるジョン・F・ケネディの位置付けに近いのかもしれない。政治家としてのケネディが傑出した存在であったかといえば、そうとはいえないように、百恵さんも、絶世の美女というわけでもなく傑出した歌唱能力を持っていたというわけでもないのであろう。にもかかわらず、米国市民の多くがケネディを忘れられないのと同じように、百恵さんも忘れ難い印象を残している。
 百恵さんの引退は、1980年である。百恵さんは、日本が戦後の「坂の上の雲」の物語を完結させる手前で、表舞台から去ったことになる。そういえば、ケネディにも、「二期目」の執政はなかった。「落ち目」、「レームダック」とは無縁でいられた才能は、やはり稀有だったということであろうか。

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November 25, 2006

木端を貯めて大木を流すな。 続

■ 郵政政局「造反組」の自民党復党に関する件が、正念場を迎えつつある。
 

□ 条件、中川幹事長に任せる=自民復党問題で安倍首相
 安倍晋三首相は24日夜、郵政造反組の自民党復党問題をめぐり、中川秀直幹事長が示した民営化支持などの復党条件に執行部から異論が相次いでいることに関し「わたしの考えは既に中川幹事長に示している」とした上で、「どのような原則を示すのかは中川氏に任せている。任せた以上、中川氏の方針で協議していただけるのではないか」と述べ、同氏の調整に委ねる考えを示した。 (時事通信) - 11月24日23時1分更新

 この件に関する雪斎の所見は、既に示してある。雪斎は、現時点での「造反組」復党は、自民党にとってはマイナスのほうが大きいであろうと判断している。

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November 24, 2006

休日の風景

■ 22日の拙ブログへのアクセス件数が何時もの四割増し位になっていた。
 何事が起こったのかと思ったら、『溜池通信』からリンクが張られていた。
 かんべえ殿の認定によれば、雪斎も「自己顕示欲の徒」であるらしい。
 結論からいえば、かんべえ殿の認定は正しい。
 英国映画『アナザー・・カントリー』に祖国を裏切り、ソ連に亡命した英国エリートの述懐として次のような台詞がある。
 「私は歴史に名を残したかった」。
 雪斎にも、それに近い想いはある。
 これに加えて、ぐっちー殿のところからもリンクが張られていた。
 21日の日経平均株価下落時に「どうも、ご馳走さん」ということで、とある商社株を仕込んでおいたのを褒めてもらったわけである。ということで、拾い集めた結果、雪斎の金融資産の8割から9割は、いわゆるリスク性資産になってしまった。「おいおい大丈夫か…」と思う。
 あとは当面、放っておけばいい。当面、取り立ててカネを使う予定もない。
 今は書を書き上げなければならない。
 目指せ、ジョン・メイナード・ケインズ卿である。

■ 一昨日、母親の用命により、東京・日本橋、マンダリン・オリエンタル・ホテル内のチャイニーズ・レストランでディナーを取る。食事後、レシートを見て一瞬、固まってしまった雪斎は、まだまだ人間が出来上がっていないようである。それにしても、あのレストランが平日にもかかわらず盛況であったのは、ちょっと驚いた。「日本にはカネがある」という事実を痛感する。隣の席は、五十歳代後半ぐらいの親父さんと奥さん、中学生くらいの娘さんの団欒の席である。「雪斎の中学生くらいの頃に、なにを食べていたのであろうか…」。
 もっとも、雪斎の母親は、齢六十をを過ぎてから、あちこち遊びまわっている。そして、請求書は雪斎に回ってくる。完全な「御家人斬九郎」の状態である(苦笑)。無論、雪斎yは、渡邊謙さん演じる斬九郎には及びも付かないけれども…。

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November 23, 2006

木端を貯めて大木を流すな。

■ このところ、政局の焦点になってているのが、 郵政政局「造反組」の自民党復党を認めるかどうかという話である。
 雪斎も今は自民党関係者であるので、この微妙な問題に対する言及は控えてきたところである。
 しかし、この際、明確に所見を示すことにする。
 いいたいことは、ただ一つである。

  「木端を貯めて大木を流すな」。

 党内で「造反組」復党に熱心な層というのは、要するに、選挙区の支援団体組織票という拾いやすい「木端」を集めることに関心を向けているかもしれないけれども、それが無党派層の票という「大木」を流す結果を招くかもしれないということには気を付けていないところがある。来年の参議院議員選挙は、小泉旋風の下で、自民党が「大木」を得たことによって勝った六年前の選挙の改選である。現有議席の「積み上げ」を狙うのは無論、「目減り」を防ごうとすれば、「大木」をつかみ続けるしかない。安倍晋三総裁それ自身が、「大木」をつかみ続けるのに最も相応しい人材であると思われた故にこそ、総裁に選ばれたのではなかったか。「初心」を忘れたような議論が多すぎるのである。

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November 22, 2006

帝力何ぞ我にあらんや。

■ このところ、政治学者にあるまじきエントリーを書き続けたので、そろそろ真面目なものを書く必要がある。
 とはいえ、安倍晋三総理になってから、雪斎は醒めた感情で物事を観ている。
 色々なネタがあるはずなのに、政治に対する「期待値」が下がっているのである。
 もっとも、政治に対する期待値が低いということは、決して由々しきことばかりと片付けるわけにはいかない。
 「鼓腹撃壌」の故事を思い起こす。

   日出でて作き、
   日入りて息う。
   井を鑿りて飲み、
   田を耕して食う。
   帝力何ぞ我にあらんや。

 これが「理想の統治」である。安倍晋三総理の統治において何が行われなければないかというメニューは、既に出尽くしている。安倍総理に問われているのは、そのメニューのどれだけのものを実際に実現できるかということでしかないのである。

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November 21, 2006

『菜』の風景

■ 昨日のエントリーの続きである。
 昨日、わたせせいぞう作『菜』の発注していた残りの全巻が届く。全巻を通じて読んで見ると、色々な感想が浮かび上がる。
 ① 物理学者である耕平には「カネ」がない。
   : 確かに、雪斎も、本職である「学者」としては「カネ」はない。
 ② 耕平・菜夫婦の周囲には、「悪人」はいない。
   : 質素であるが「卑」ではないという人々による牧歌的な風景である。
 ③ 物語の結末は、長らく子宝に恵まれなかった菜の「妊娠」である。
   : 人間の「幸福」の瞬間が何であるかが示唆されている。
 なるほど、『菜』は、「清貧の思想」などという言葉が流行った1990年代という時代の産物なのである。
 ただし、1990年代は、雪斎にとっては、「跳躍の時代」であった。

■ このところ、日本の「株価」は、どうも冴えない展開である。昨日の日経平均株価は、365円下落である。年末には、18000円といっていた話は、どうなのかと苦笑する。とある銀行株は何故、一生懸命に落ちているのであろうか。もっとも、全体としては、今が絶好の「買い時」であることには、変わりがないので、とある商社株を発注しておいたが…。雪斎保有主力の鉄鋼株には、さしたる変動はなしである。
  『菜』の風景とはまったく逆の境地に入っている。まだまだ先のことか…(苦笑)。

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November 20, 2006

休日の三書

■ 土曜日、村田晃嗣先生から、新著『プレイバック1980年代』が届けられる。
 1980年代は、どういう十年間であったのか。1985年という「点」に着目した著作ならば、吉崎達彦著『1985年』があるけれども、こちらは、「線」の作品である。10年間の出来事が「編年体」スタイルで綴られている。
 もっとも、こういう書は、題材の取捨選択が難しい。
 社会風俗の記述は、村田先生の専門外ゆえに、ちょっと苦しいところがあるような気がする。政治関連の記述には、安心していられた。流石である。
 因みに、村田先生が初めて「活字」にしたのは、学生時代に「産経新聞」に寄せた投稿であったそうである。物事の始まりは、ちょっとしたことである。

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November 18, 2006

『カノッサの屈辱』

■ 連日の訃報である。

□ <訃報>仲谷昇さん77歳=俳優
 個性的な演技で活躍した俳優で演劇集団円代表の仲谷昇(なかや・のぼる<本名・昇流=のぼる>)さんが16日、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため東京都内の病院で亡くなった。77歳。葬儀は家族による密葬で、劇団葬を後日行う。自宅は非公表。喪主は未定。
 中央大を中退し文学座演劇研究所に入り、後に座員に。1953年、今井正監督「にごりえ」で映画に初出演し、中平康監督「猟人日記」「砂の上の植物群」では主役を務めた。
 63年、芥川比呂志らと文学座を脱退し劇団雲を結成。75年には演劇集団円を結成し92年から代表。舞台、映画、テレビで名脇役として活躍し、深夜番組「カノッサの屈辱」(フジテレビ)では教授役を務め人気となった。
(毎日新聞)

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November 17, 2006

ミルトン・フリードマンの死去

■ 若き日の雪斎が影響を受けた人物が、また世を去った。

□ 米国の経済学者ミルトン・フリードマン氏死去
 【ロサンゼルス支局】AP通信によると、米国を代表する経済学者ミルトン・フリードマン氏が16日、サンフランシスコで死去した。94歳だった。
 フリードマン氏は、財政政策よりも通貨供給量の調整を重視する「マネタリズム」を提唱。自由主義、規制緩和に基づく市場経済原理の徹底を説き、レーガン大統領の経済政策レーガノミックスの理論的支柱ともなった。1976年にノーベル経済学賞を受賞した。

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November 16, 2006

ある研究室の一日

■ 昨日の続きのエントリーである。昨日は、終日、大学研究室に居たので、「永田町」の動きはつかめなかった。教育基本法改正案は衆議院委員会審議を終えた。「えぅ、通ったの…」というのが、率直な感想である。
 この法案が通ったからといって、現下の難題が解決するわけでもない。「祝詞」の議論は所詮は、「祝詞」の議論である。

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November 15, 2006

君よ、「力」を追い求めよ。「自由」であるために。

■ 世は、「いじめによる自殺」の連鎖が始まっているようである。連日、こういう報道が為されると、段々と「馴れ」が生じてくる。永田町での動きも、思いのほか、複雑である。
 

□ 教育基本法改正案、会期内成立微妙に
 自民、公明両党は13日夜、国会対策委員長らが会談し、今国会最大の焦点の教育基本法改正案について、15日にも衆院教育基本法特別委員会で採決し、今週中に衆院本会議を通過させる方針で一致した。
 野党が採決に応じない場合は、与党だけでも採決に踏み切る構えだ。国会が混乱するのは必至で参院でも野党の厳しい抵抗が予想されるため、同法案が会期内(12月15日まで)に成立するかどうかは微妙な情勢となった。
 与党内では、同法案を成立させるため、会期延長を検討すべきだとの声も出ている。
 与党は、15日の委員会採決に続き、16日の衆院本会議での採決を目指している。自民党の二階俊博国会対策委員長は13日午後、国会内で民主党の高木義明国会対策委員長と会談し、「そろそろ努力の限界が近づいた。(同法案採決の)出口も考えていかなければならない」と述べ、野党側に早期採決に応じるよう求めた。高木氏は「『いじめ』など問題が山積している。なお十分な審議が必要だ」と拒否した。
  以下、略

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November 12, 2006

「ニューイングランドの価値観」を考える

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■ 「ニューイングランド」と呼ばれる米国北東部六州(メイン,ニューハンプシャー,ヴァーモント,マサチューセッツ,ロードアイランド,コネティカット)の意味は、米国の意味を知ろうとすればするほど、大事なものとして浮かび上がってくる。

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November 11, 2006

写真録り込みテスト

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November 10, 2006

「ネオコン」の退場

■ 昨日午前6時、ドナルド・ラムズフェルド辞任の方が流れた。
 一昨日の中間選挙の結果よりも、こちらのほうが、ちょっとした驚きであった。
 ラムズフェルドのような「ネオコン」を嫌ったジョージ・F・ケナンが存命であったならば、「やっと出て行く気になったか…」とでも言ったかもしれない。
 ケナンは、18世紀初頭、殖民地時代にスコットランドから来た「最も古い部類に属する米国人」の末裔である。ケナンは、そうしたことに誇りを持っていたので、「ネオ・コン」を「コン」するのには納得しなかったであろう。ケナンにとっては、植民地時代の「貧しいアメリカ」の中で育まれた廉直、質朴、謙虚という価値観こそが、大事にされるべきものであった。だから、ケナンは、自動車が嫌いで、齢八十を過ぎてもプリンストン大学構内で自転車を乗りまわしていた。
 ジョージ・W・ブッシュ自身も「コン」であっても「ネオコン」ではない。ブッシュの父親、祖父、曽祖父の足跡に触れてみると、そうしたことが判る。ブッシュ43代現大統領は、テキサス・ボーイの印象があるけれども、実際には「東部エスタブリッシュメント」の一員なのである。
 43代現大統領にとっての祖父、41代元大統領にとっての父親であるプレスコット・S・ブッシュというのも、興味深い人物である。プレスコットは、イェール大学時代にローランド・ハリマンと交友関係を持った。ローランド・ハリマンは、日露戦争後の「ハリマン提案」で知られるエドワード・ハリマンの息子、フランクリン・D・ローズヴェルト政権期に大統領顧問をを務めたアヴェレル・ハリマンの実弟である。プレスコットが大学に入った頃、世は第一次世界大戦の時期であり、プレスコットの父親であるサミュエル・ブッシュは、パーシー・ロックフェラー(ナショナル・シティ・バンク社主)やその腹心であるサミュエル・プライヤー(レミントン社CEO)が設立した軍需物資供給組織に関わり、「戦争産業委員会資材供給部門」を統括した。そして、自らは、オハイオで鉄道部品会社を経営したのである。
 プレスコットは、後にユニオン・バンキング・コーポレーションのような投資銀行を初めとする数々の会社の経営に携わり、コネチカット州から上院議員に選出された。
 金融、石油、武器、鉄道に関わるビジネスは、米国の産業の「核」である。ブッシュ家四代の足跡には、このビジネスのネットワークが複雑に絡み合っている。こういうネットワークの中では、政党の違いは余り問題にならないことが多いのである。
 だから、43代現大統領にとっては、民主党との「妥協」などは全然、苦でもないであろう。ブッシュは、相当に「柔軟」な対応をやるような気がする。「極論」派は、最後の最後には、結局は捨てられる。それは、古今東西、政治の世界の「準則」である。

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November 08, 2006

「ヴィルトゥ」を追い求めよ

■ さくら殿の昨日のエントリーは楽しかった。小泉純一郎前総理は、再び『ラ・マンチャの男』の「見果てぬ夢 騎士遍歴の歌」の一節に触れながら、新人議員を相手にスピーチをしたそうである。そう、あの有名な歌である。このスピーチは、新聞紙上では、造反議員復党の問題との絡みで語られているけれども、新人議員への「檄」以外の何ものでもないであろう。変な解説は要らない。

 ★ 見果てぬ夢
夢は稔り難く
敵は数多なりとも
胸に悲しみを秘めて
我は勇みて行かん
道は極め難く
腕は疲れ果つとも
遠き星をめざして
我は歩み続けん
これこそは我が宿命
汚れ果てし この世から
正しきを救うために
如何に望み薄く 遥かなりとも
やがて いつの日か光満ちて
永遠の眠りに就く時来らん
たとえ傷つくとも
力ふり絞りて
我は歩み続けん
あの星の許へ
  ―福井峻訳「見果てぬ夢」騎士遍歴の唄

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November 07, 2006

ワシントンの「告別の辞」

■ The great rule of conduct for us, in regard to foreign nations, is, in extending our commercial relations, to have with them as little political connexion as possible. So far as we have already formed engagements, let them be fulfilled with perfect good faith. Here let us stop.
   ―GEORGE WASHINGTON'S FAREWELL ADDRESS
 ジョージ・ワシントンが1796年9月に発表した「告別の辞」には、このような一節がある。雪斎の訳でいえば、次のようになろう。「海外の国々に関していえば、われわれを導く大なる規則は、われわれの商業関係を拡張するときには、できるだけ外国との政治上の連携を持たないということである」。

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November 06, 2006

政治学者と「雑誌」

■ このところ二週間、『週刊プレイボーイ』誌上の北朝鮮情勢、核武装関連記事で雪斎のコメントが紹介されている。
 雑誌といえば、最近、雑誌『LEON』をはじめて手にした。こういうファッション系の雑誌は、二十歳代半までは割合、開いたものであるけれども、近年は御無沙汰していた。手にした最初の感想は、「重っ」である。しかも、紹介されていたロング・カーディガンの値段を見たら、16万円だそうである。他に、並ぶは並ぶは、高額商品である。こういう雑誌が、継続されて刊行されていることに、ちょっと衝撃を受けた。もっとも、この雑誌は、「40歳代以上の富裕な男性層」を対象にしたもののようである。確かに、この種の雑誌は、大概、女性層を対象にしているから、男性層をまともに対象に据えたという意味では目新しいのかもしれない。
 もっとも、中央公論新社が『リクウ』という雑誌を創刊したので、雪斎は、そちらのほうが気になるけれども・・・。
 

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November 03, 2006

「教育再生」にまつわる話

■ 安倍晋三総理が「教育再生」を政策看板として掲げたと思ったら、「高校での必修科目未履修」、「いじめ自殺」という教育絡みの話が出てきている。
 「高校での必修科目未履修」で一番、多いのは、「世界史」だそうである。さもありなんである。ただし、「世界史」は、まともに対応しようとしたら七十時間の授業では、到底、足りない。その十倍はいるはずである。雪斎は、高校時代は、「世界史」、「政治・経済」で共通一次試験を受けたので、この科目に対応するのは、相当な勢力が要ることは判っている。もっとも、雪斎は、少なくとも旧帝国大学を含む中核大学の社会科学系学部志望者には、「世界史」は外せないであろうと思っている。雪斎は、年を取って爺さんになったら、孫を相手に、「昔、ビスマルク、ド・ゴールという偉い人がおってな…」という話をしたいと思うのだが…。おっと、孫よりも先に息子・娘、息子・娘よりも先に、嫁か…(苦笑)。

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November 02, 2006

読売論稿/ 「北」の核 〝フクロウ〟の知恵

■ 昨日、『読売新聞』に、「『北」の核 〝フクロウ〟の知恵」と題した原稿を載せた。1400字程度の紙幅の中で、「タカ派」、「ハト派」、「フクロウ派」の三類型の説明をするのは、ちょっとばかり悩ましい作業であった。
 日本では、「フクロウ派」という立場はj認知されていないので、雪斎としては、この「フクロウ派」という立場が認知されるように、努力したいとおもう。
 そういえば、中川(女)秀直幹事長が、九月の総裁選挙直前に次jのような発言をしている。
 

□ 中川政調会長、「古い」「軟弱」とアジア重視派を批判
 自民党の中川秀直政調会長は24日、那覇市内で講演し、アジア外交について「日本のリーダーの一部は、『日本は兄貴分だから、弟分の周辺国に譲ってやれ』という古い感覚のまま将来に向かおうとしている。最悪のシナリオは、古いアジア重視派が古い感覚のまま周辺国に譲歩し誤解を与えることだ」と語り、小泉首相の靖国神社参拝を批判する谷垣財務相や加藤紘一元幹事長らのグループを牽制(けんせい)した。
 中川氏は「今後のリーダーは排他的なタカ派でもなく、軟弱なハト派でもない、その中間のワシ派が求められている。日中関係を政局に利用しようとしている人々も少し冷静になって分析していただきたい」と訴えた。
    『朝日新聞』(2006年8月24日)付

 「タカでもハトでもない」立場が要請されているのは、第一線の政治家にも理解されている。中川幹事長の発言は、そのことを示している。ただし、「タカでもハトでもない」立場がどのように呼ばれるかということの合意は、まだできあがっていない。「タカ」(hawks)と「ハト」(doves)に対するものが「ワシ」(eagles)というのは、どうも合点が行かない。「タカ」と「ワシ」の区別が、よく判らない。やはり、「フクロウ}(owls)とすべきであろうと思う。

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