小泉ーカエサル 安倍ーオクタヴィアヌス
■ 結果が出た。
□ 安倍氏を新総裁に選出、464票獲得し圧勝=自民総裁選
[東京 20日 ロイター] 自民党総裁選挙は20日、同党に所属する国会議員の投票と、地方の党員票を含めた開票が行われ、安倍官房長官が464票を獲得して第21代総裁に選出された。安倍氏は26日に首相指名され、同日中に安倍内閣を発足させる見通し。
安倍氏は国会議員票に加え、地方でも大量得票し、有効となった702票のうち66%を獲得する圧勝となったが、この勢いを背景に組閣、自民党役員人事で安倍色を強く打ち出すのか、党内各派のバランスを重視するのかに注目が集まっている。
自民党の選挙管理委員会によると、安倍氏は地方の党員票300票のうち197票、所属国会議員票403票中267票を獲得し、合計で過半数を大幅に超える464票と、2位の麻生外相(136票)、3位の谷垣財務相(102票)を大きく引き離した。
この結果は、自民党にとっては、「よい結果」であろう。麻生氏も谷垣氏も得票を三桁に乗せたお陰で、それなりの政治的影響力を確保することができる。谷垣氏は、安倍内閣では入閣しないようであるけれども、それは、おそらくは岸信介内閣期に閣外に身を置いた池田勇人の事例に倣おうとしているのであろう。安倍氏にとっても、この勝ちは、「六分の勝」である。当初、伝えられたように、五百票以上を獲得するなどという事態になったら、雪斎も「おいおい…」と反応したかもしれないけれども、この程度の「勝ち」で終わってくれれば、安倍氏の政治運営に慎重さが備わるであろうと雪斎は安心できる。
このところ、総裁選絡みで原稿を二つ書いた。どちらも、「小泉純一郎―ユリウス・カエサル」、「安倍晋三-オクタヴィアヌス」の類推で書いた。
かのカエサルの「ルビコン」に相当するのが、小泉総理における「8・8解散」で、「ローマ凱旋・独裁官就任」に相当するのが、「9・11」選挙であろう。そして、小泉総理は、「ブルータスに殺されなかったカエサル」になろうとしている。誠に稀有な人物である。こういう宰相と同時代を生き、同時代の言論家として論評することができたのは、幸運であった。しかも、雪斎は、五年半、「小泉支持」で徹底できた。雪斎は、お陰で、わけのわからぬ筋から「権力べったり」と罵倒されたり、保守論壇から撤退することになったけれども、一人の宰相の執政を最初から最後まで見守り続けることができたのは、誠に得がたい経験だったというほかはない。
ところで、オクタヴィアヌスの統治は、地味なものであった。ただし、その地味な統治が、ローマという「帝国」と「パックス・ロマーナ」の基盤を創った。安倍氏には、余計な理念やイデオロギーを振り回さず、ただ日本の「普通の国」としての基盤を確立させることに尽力してもらえれば、それでいい。
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Comments
結局は経済運営に尽きるのではないでしょうか。経済さえ上手く回せれば余計な雑音もわかず、結構な長期政権になる気がします。小泉首相から直々に後継者の指名を受けたわけですから期待に応えて欲しいですね。
Posted by: ささらい | September 21, 2006 01:09 PM
こんばんわ
このテーマは興味をそそられますね。
ローマ帝国ファンとしては、違う切り口で書いてみます。
違うエントリーで、書いてしまいました。
Posted by: Alglory | September 21, 2006 06:46 PM
私は小泉総理の歴史的な役割を一言で言えば、それは「三代目」であった、と思います。創業者が構築した様々な体制の年月を経た緩みや、創業期なればこそ導入された様々な不合理、非合理を撤廃し、組織を更に効率的かつ強大な方向に進むよう再編成する役割を担ったと。
つまり、汚職官吏摘発、追放やたがの緩んだ官僚機構・社会機構の締め直しと、国家目標の再設定がそれだと思いますが、小泉総理は、専制君主では無いので自分の政権では終わらない諸々の改革を忠実に実行する後継者として安部氏に期待しているように見えます。
安部政権はサプライズを連発した小泉政権に比べて地味に徹するでしょうが、長期的な国家戦略に基づいた着実な改革を行うことを目標としていると考えます。
小泉・安部・麻生の三氏は、日本の伝統的エスタブリッシュの系譜に属する階級出身であり、その価値観と国に対する責任感は同じ方向を向いているものである、と私は考えています。
Posted by: TOR | September 21, 2006 06:48 PM
こんばんは
小泉ーカエサル 安倍ーオクタヴィアヌスですか。
TORさんの「三代目」という観点も唸りました。
組閣が始まりますのでじっくり観察するつもりです。
Posted by: SAKAKI | September 21, 2006 10:27 PM
はじめまして、いつも楽しく読ませて頂いております。
私は、D大学院で、M田先生のもとアメリカ外交を研究していたものです。
今は、諸事情から、アカデミックを離れ、働いております。
私もブログをはじめたばかりなのですが、雪斎さんの許可なくリンクさせて頂きました。すいません。もし、不都合ならおっしゃってください。すぐに、取り消します。
勝ってに許可なくリンクしてしまい申し訳ありません。
Posted by: あいけんべりー | September 22, 2006 05:18 AM
に対してどのようなコメントを下すのか、ずっと楽しみにしていたのですよ。弓削達氏は生前に「こんなこともあろうかと」ローマ人の物語なり塩野七生なりに対するコメントの草稿とかを用意しては居られないのでしょうか、読みたいです
akakiTiysque
Posted by: 弓削達死去ローマ人の物語 | October 20, 2006 01:14 AM
小泉=カエサル、安倍=オクタヴィアヌスは言い得て妙だと思いました。軍事司令官の才能はまったくといってないものの、それは、カエサルが残してくれたアグリッパが補佐すればいいということ。カエサルが「ぶっ壊した」元老院体制の跡を継いで、さりとて、皇帝になるという意思表示を自らは取らずに、大衆と元老院に無理なく言わせたアウグストゥス。安部首相にとってアグリッパは誰なのでしょうか?
雪斎さんが、「小泉=カエサル、安倍=アウグストゥス」と書かずに、「小泉=カエサル、安倍=オクタヴィアヌス」と書かれたのは、安倍晋三首相がまだまだ、オクタヴィアヌスの段階で、大衆・元老院に担がれて実質上の皇帝となったアウグストゥスという尊称は将来の可能性と考えられたのかと愚考致しました。
とすると、次に来る次代のティベリウス帝は誰なのか?と先走って想像してしまいます。意外に、次代は年代帰りを起こすのかもしれません。
Posted by: FRANK LLOYD | November 01, 2006 04:43 PM