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August 02, 2006

イスラエル情勢

■ 今、行われているのは、果たして第五次中東戦争なのか。別名、イスラエルーイラン戦争ともいわれる現下の紛争の様相は、イラン情勢とも絡んで中々、複雑である。
 日本で報道される印象だけで判断すれば、イスラエルが荒っぽいことをやっているように見えるけれども、最初に挑発を仕掛けたのは、イランの影響力が濃いとされる民兵組織「ヒズボラ」のほうだったはずである。
 雪斎は、もしかしたら、事態を複雑にするためにイランがヒズボラをけしかけたなどということはないであろうなと疑ってみる。イランは、核開発に絡んで国際圧力にさらされているけれども、渦中にイスラエルを引き込めば状況が変わると踏んだ節がある。湾岸戦争の折にも、米国が神経を使ったのは、イスラエルに自制させることであった。
 こうして考えると、「イラン牽制のために、サダム・フセインを温存して置いたほうがよかった…」という冗談みたいな話が出てきても、不思議ではない。米国が中東地域で展開した政策は、従来、決して上手くいっていたわけではない。
 以前、石原慎太郎都知事が「日本の北方領土をロシアから返還させた後に、パレスチナの民を丸ごと移住させる」という破天荒な案を出したことがあった。こういうことでもしないと問題は、解決しないような気がする。それにしても、「砂漠の民」が、緑の世界に移住したら、どのように性格が変わるのであろうか。

■ 吉村昭氏が逝去した。雪斎にとっては、『ポーツマスの旗』が忘れ難い。「明治」を描いた描いた作品としては、雪斎には、司馬遼太郎作品よりも、こちらのほうに思い入れがある。「売国奴」と罵倒される人々の方が「売国奴」と罵倒する人々よりも、数段、質が上である。小村寿太郎の足跡を描いた小説は、そうしたことを教えてくれた。
 高校時代に小説を通じて逢った人々は、誰でも雪斎に影響を与えてくれた。吉村作品のほかには、城山三郎作品である。広田弘毅、濱口雄幸、渋澤栄一、西竹一…。
 吉村氏のご冥福をお祈りする。

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Comments

私は個人的に、今回はイスラエルが負ける可能性があると思っています。
イスラエルは敵地を占拠するために歩兵を使うしかなく、多大な被害を覚悟する必要があると思われます。
過去にWW2ではスターリングランドの攻防戦は、市街地が廃墟になってからが、本番でした。
守るほうからすると瓦礫のほうが数段防衛しやすいということです。
市街戦の様相ならば、勝敗の行方は五分五分と云うと事になるのではないかと思います。
もしこのような結果になったときには、反ユダヤ陣営にとって絶好のプロパガンダになるとともに、今までイスラエルに勝利した事がなく虚無感を抱いていた此の陣営に、熱狂的に受け入れられる可能性があります。

此の問題は深刻で、中東問題=OIL問題であったことから考えてOilのdollar pegが崩壊する兆しが出てきたと考えたほうが良いのかもしれせんね。
下落するdollarにリンクされたOilは、まだまだあがり続け、音を上げた各国が自国通貨での決済を考え始めた時に、アメリカの打てる手は何なのか?
日本はそのときに、石油問題及び仮定ですがアメリカからの中東派兵の要請なども勘案しておく必要があるかも知れません。

こう考えますと、しばらくは北朝鮮問題は動きませんね。むしろ妙に動くよりは、石油の値段の上昇により経済破綻を待っているほうが最上の策かもしれません。
今年の冷夏で作物の不作が予想されるわで、これに石油不足となった場合、北の体制にとってかなり深刻なことになるかも知れないと思っています。


Posted by: ラドリオ | August 02, 2006 at 12:00 PM

イスラエルとヒズボラの戦いは、典型的な正規軍vs非正規軍の戦いで、しかも戦場地域の民間人が非正規軍側に協力しているという状況ですね。
日中戦争やベトナム戦争と同じような状況ですから、これじゃイスラエルは戦えば戦うほど泥沼に嵌るだけで、勝ち目などないでしょう。
もしイランがイスラエルを嵌めたのなら、見事な填め手ですね。

Posted by: Baatarism | August 02, 2006 at 05:24 PM

短い文章でよく表現してあったので引用。

http://www.foreignaffairsj.co.jp/archive/issue/2006.htm#0718

いずれにせよ、各勢力がそれぞれも思惑で勝手に動いてこの結果がある、ということでしょう。その結果泥沼化という意味では日中戦争と変わらない気もしますが。
イスラエルは短期的目標を果たしたら撤退して国際部隊任せのつもりではないでしょうか。この手の組織相手の経験は深いだけに判断は甘くないと思います。むしろヒズボラ側の見込み違いの感があります。ここまで容赦なく対応するとは思っていなかったのかもしれません。それでも全体構図としては、落ち着いた後にどこかでイスラエルが反撃せざるを得ない形でテロ事件が発生して・・・と繰り返しになるかもしれません。低強度紛争が継続すること自体に価値を見出す組織がありますから。

Posted by: カワセミ | August 02, 2006 at 08:29 PM

 軍事的な非対象性とともに戦争目的や戦争主体の非対象性が著しい点に、最近の中東戦争の特徴があると思います。その根底には、第4次中東戦争(1974)までは少なくともイスラエル対アラブ国家の戦争であったものが、80年代以降テロ組織対イスラエルの戦争となったことで、60年代までのアラブ国家内にあった国民国家の可能性につながるアラブ民族主義(ナセル主義やバース党主義)の最後の芽が解体し、それが又アラブ社会の亀裂を一層鋭くしている構図かと考えます。イスラエルもテロ組織も完全な勝利を得ることはできないという意味では、いつまでも続く泥沼でしょう。私は、以前から、中東紛争は、結局のところアラブ諸国家が健全なナショナリズムに立った国家の統合をなし、その中でイスラエルと対峙しつつ国民意識を形成していくしか道が無いと思って、民主化されたイラクの可能性に若干期待したのですが、まあいまのところ期待は大きくはずれですね。

Posted by: M.N.生 | August 03, 2006 at 05:04 PM

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