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July 22, 2006

さて、週末…

■ 一昨日、愛知事務所の若手F君と銀座でイタリアンを食する。使ったのは、こちらの店である。雪斎には、割合、気楽に使える店である。各ジャンルごとに肩肘張らずに食えるレストランがあるのは、いいことである。

■ 昨日、注文していたイタリア産ワインが、到着し、早速、コルク栓を開ける。イタリア・ワインは、前日も銀座で飲んだのだが、それは気にしない。注文したのは、〈CINQUE TERRE COSTA de SERA di Riomaggiore 2001 D.O.C.〉という銘柄のものである。何故、これを入手したのかといえば、先刻、NHKの「世界遺産」番組の「チンクエ・テッレ(イタリア北部)」編で、当地のワインが紹介されていたからである。愛知和男代議士が自民党の観光政策の総責任者を務めている関係上、雪斎も、こういう観光地と名産品に関する話が、段々、楽しくなってきている。
 ところで、ワイン自体は…。ん、旨かったよ。実に飲みやすいワインでした。値段も余り高くなかったし…。
 
■ 何時でもワイン・グラス片手に芸術・文化を愛でる生活が出来れば上々であるけれども、実際には、そうはいかない。金正日という無粋な人物を念頭に置きながら安全保障を考える時間は、どう見ても「粋」ではない。
 昔、ソヴィエト連邦時代に文化省という役所があり、そこで扱われる「文化」ぐらい無粋なものはなかったとか。それは、そうであろう。昔日、ロシア文化と呼ばれたのは、チャイコフスキーやラフマニノフの音楽にせよ雪斎が愛するチェーホフの文学にせよ、帝政時代の所産であったからである。社会主義・共産主義などというのは、文化の面では阿呆な体制であった。
 「エタ・ニェ・クルトゥールニュイ」(これは文化的でないね)。ソ連時代には、かなりの皮肉の言葉であったとか。

 下掲は、『世界日報』という新聞に寄せた原稿である。軍事・安全保障の世界では高名なK・E先生から、「同意する」とメールを頂いた。E先生、有り難うございます。
 □ 策源地攻撃能力の付与の議論は当然である。
 七月五日未明、北朝鮮が弾道ミサイルを連続して発射した一件は、我が国の「普通の国」への動きを着実に進めたようである。
十五日午後(米国東部時間)、国連安全保障理事会は_北朝鮮に弾道ミサイル開発計画の全面停止を求める「決議一六九五」を全会一致で採択した。「安保理決議一六九五」は、加盟国に対して、北朝鮮のミサイル・大量破壊兵器開発に関連する物資・技術・資金の国際取引を阻止するように要求している点では、実質上、「制裁決議」の趣を持つものである。
 「安保理決議一六九五」が採択される過程で浮上したのは、自衛隊に「策源地攻撃能力」を付与することの是非を問う議論である。
 去る七月九日の段階で、額賀福志郎防衛庁長官は、北朝鮮弾道ミサイルの「脅威」が顕かになった客観情勢を踏まえ、現時点では自衛隊が保有しないミサイル発射基地などへの策源地攻撃能力に関して、「独立国家として、一定の枠組みの中で、最低限のものを持つという考え方は当然だ」と述べた。麻生太郎外相は、「(核が)ミサイルにくっついて日本に向けられているのであれば、被害を受けるまで何もしないわけにいかない」と述べ、一定の条件の下で北朝鮮のミサイル基地攻撃は自衛権行使の範囲内との見解を示した。翌日、安倍晋三官房長官は、「議論を深めていく必要がある。日本の国民と国土、国家を守るために何をすべきかとの観点から常に検討、研究することが必要だ」と語った。
 額賀、麻生、安倍の三氏の発言は、早速、中国、韓国、北朝鮮といった国々の反発を招いている。たとえば、韓国紙『朝鮮日報』(十一日付)が伝えたところによれば、韓国大統領府は、これらの発言を「挑発的な問題発言」と断じた。また、我が国国内でも、「策源地攻撃能力付与」論は、「専守防衛」を旨とした我が国の防衛方針の基本線から逸脱するのではないかという懸念が示されている。小沢一郎民主党代表は、「敵というのは北朝鮮とは限らない。そういう雑ぱくな意見はあまり良くない。国民全体、国全体のことを考えて発言しないといけない」と述べた。
 筆者は、策源地攻撃能力付与に関する議論を深めることは、当然のことであると考えている。我が国では、北朝鮮の「核」に対抗するために、「核」の選択を考慮すべきという議論が度々、示されている。けれども、「核」は、テロリスト・グループや北朝鮮のような「悪漢国家」に対する「抑止」の体系としては有効性の乏しいものであるし、我が国にとっては「核」の選択に走ることは、NPT体制全体との整合性や「核不保持国家」として現在に至るまで培ってきた国際的な声望への影響という点で、相応の政治的な損失を意味するものとなるであろう。「策源地攻撃能力付与」論の枠内で想定されるのは、他国領域内にある「策源地」をピンポイントで攻撃するために、自衛隊現有のJDAMと呼ばれるGPS(全地球測位システム)誘導弾を使用したり、通常弾頭搭載型のトマホーク・ミサイルを導入したりするといった議論であるけれども、そうした議論は、「核」の選択に絡む議論に比べれば、安全保障論議としての実質性を伴ったものである。
 振り返れば、戦後の我が国における安全保障論議が貧しいものであった所以は、「刀」を持つことと「刀」を抜くということの間には途方もない懸隔があるという現実には眼が向けられず、「『刀』を持てば必ず抜く」という粗雑な想定が先行してきたからである。そうした粗雑な想定は、「そもそも、どのような条件の下でならば『刀』を抜けるのか」という緻密な検証の議論を促がすことはないし、「いかにして『刀』抜かないで済ますか」という政治的な慎慮を裏付けるものともならない。筆者は、自衛隊に対する策源地攻撃能力付与それ自体には賛成するけれども、その攻撃に実際に踏み切る折には諸々の条件を満たさなければならないということを幾度も強調する。「策源地攻撃能力付与」論に代表されるような「軍事」に絡む話は、それ自体として意義を持つわけではなく、広く政治の必要という文脈の中で議論されるべきものである。
    『世界日報』(2006年7月21日付)掲載

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Comments

>「刀」を持つことと「刀」を抜くということの間には途方もない懸隔があるという現実には眼が向けられず、「『刀』を持てば必ず抜く」という粗雑な想定が先行してきたからである。

>そうした粗雑な想定は、「そもそも、どのような条件の下でならば『刀』を抜けるのか」という緻密な検証の議論を促がすことはないし、「いかにして『刀』抜かないで済ますか」という政治的な慎慮を裏付けるものともならない。

そして
>広く政治の必要という文脈の中で議論されるべきものである。

つまり、これが「シビリアンコントロール」ということですよね。
口を開けば「シビリアン、シビリアン」と言いつつも
じゃあシビリアンコントロールとは、何を、どうコントロールするべきなのかが具体的に語られることのなかった戦後日本。

いい加減、「持ったら使いたくなる。絶対持ってはいけない」と考えることが文民統制であると言い張り、議論の黙殺が平和の追求と思い込む、逃げの姿勢から解放されなければ…

って、国民は、案外議論の必要性を判ってきてると思います。
ダメダメ言ってるのは、相も変わらずマスコミの方ですね。ずっと、この営業方針…。

Posted by: るびい | July 22, 2006 at 08:04 AM

弊社ご利用いただき有難うございますm(__)m

シビリアンコントロールって、つまり「文民」が国防の主体的責任を担うべきってことですものね。今までの日本は会社で例えれば決定権だけ握りこんで現場は優秀な部下に丸投げ、それでいて不満ばかり口にして失敗は徹底的に叩くバカ社長みたいなものですかねぇ(・・・言っていて耳が痛いですが)まぁ、それでもそんな会社がやっていけるご時勢ではない事はわかってきていると思います。るびいさんに同意です。

Posted by: TIG | July 24, 2006 at 10:10 AM

JDAM(ジェイダム)は、自衛隊も装備することになっているはずですが、これを運ぶ手段がないはずです。
即ちF15でピンポイントを狙っても燃料補給が出来ないため神風になってしまいます。
あまり現実的な抑止力とは思われません。
このような思いつきでの武器選択は、むしろ丸腰であるという事を宣伝するよう物であまり賢いやり方ではないと思われます。

Posted by: ダンゴ | July 24, 2006 at 04:39 PM

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