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June 23, 2006

盧武鉉の「虚勢」

■ 「くじら」について書く予定であったけれども、先に日韓関係ネタを扱う。「毎日」記事を二つ紹介する。日本のメディアは余り取り上げていなかったようであるけれども、かなり大事な案件である。

 □ <日韓EEZ交渉>進展ないまま終了 竹島周辺調査が火種に
 日韓両政府は13日、竹島周辺の排他的経済水域(EEZ)境界画定交渉を東京で行い、進展のないまま2日間の協議を終えた。次回協議を9月にソウルで行うことでは合意したが、韓国側は7月に竹島周辺で海流調査を計画。日本は調査の自制を求めたが韓国は「交渉の対象にならない」と応じず、両国間の火種として残った。


 □ <韓国大統領>EEZめぐる日韓対立に武力衝突にらんだ発言
 韓国の盧武鉉大統領は22日、竹島や排他的経済水域(EEZ)をめぐる日韓対立に関連して、日本側が「挑発」すれば損害が多いと考える「防護的対応能力」を備えることが重要だと、海上での武力衝突の可能性をにらんだ発言をした。周辺海域を警備する海洋警察当局の関係者ら200人を昼食会に招き、激励した席で語った。

 盧武鉉は、どういう裏付けの下で、日本との「武力衝突」を想定した発言をしているのであろうか。客観的には、日本と韓国が軍事衝突すれば、明らかに日本のほうに分がある。「虚勢」と誰でも判る「虚勢」くらい、阿呆らしいものはない。
 下掲は、雪斎が『月刊自由民主』に寄せた論稿である。雪斎は、こういう論稿が日本の政権与党の機関誌に載っているのだということは、韓国政府中枢に伝えたい気がする。盧武鉉は、「日本の挑発」を気にしているようでありながら、実は、「自らの弱さの影」に怯えているのではないであろうか。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といったところであろうか。
 日本は、余計なことをいわず着実に実績を積み重ねればいい。そういえば、もし、三時間後に始まる試合でジーコ・ジャパンがブラジルに勝つという「ありえない話」を実現させてくれれば、それは、日本の「不気味さ」を世界に強烈に印象付けるものとなるであろう。おそらくは、「いざとなったら、何をしでかすか判らない」という不気味さこそが、日本が韓国に相対する上での武器かもしれない。日本は、韓国に「挑発」などしている暇はない。

 □ 辞卑くして備えを益すは、進むなり。
 四月中旬から下旬までの時期、日韓関係は、時ならぬ「春の嵐」に揺れた。六月にドイツで開催される国際会議の折に竹島周辺海域の海底地名に韓国語名を付けた案を出すという韓国政府の方針を前にして、日本政府は独自の調査活動を実行する構えを示した。韓国政府は、その海洋調査を実力に拠ってでも阻止することを言明したことによって、一挙に緊張が高まった。結局のところ、この紛糾は、日韓両国政府がそれぞれ海洋調査実施と韓国語地名提案を見合わせることによって、収集が図られることになった。
 この外交落着の直後、盧武鉉(韓国大統領)は、「韓日関係に対する特別談話」を発表した。この談話には、韓国紙『連合ニュース』(四月二十五日付、日本語電子版)が伝えたところによれば、次のような件がある。
 「独島を紛争地域化しようとする日本の意図を懸念する見解もなくはないですが、われわれにとって独島は単純に小さな島に対する領有権の問題ではなく、日本との関係において誤った歴史の清算と完全な主権確立を象徴する問題です。公開的に堂々と対処していくべきです。 …物理的挑発には強力かつ断固として対応します。世界の世論と日本の国民に、日本政府の不当な仕打ちを絶えず告発していきます。日本政府が誤りを正すときまで、国家的力量と外交的資源をすべて動員し、持続的に努力していきます」。
 しかしながら、こうした盧の発言それ自体は、実際には政策上の根拠を欠いたものである。竹島領有権紛争に関して、「公開的に堂々と対処していくべきです」という盧の発言は、我が国政府にとっては、「望むところ」のものであろう。「物理的挑発には強力かつ断固として対応します」という発言にしても、その発言を実際の行動に移すとすれば、それは国際法上、明白な疑義を伴ったものになるであろう。日韓両国の摩擦の多くは、「国際化」された暁には、韓国政府の不利に運ぶものであろうけれども、そうした状況を自ら創りだしているのが、現下の盧麾下の韓国政府なのである。
 また、たとえば竹島と並び日韓摩擦の争点になっている日本海呼称に関していえば、二〇〇五年七月実施の外務省調査の結果は、米国議会図書館に収蔵されている一四世紀から十九世紀までの古地図一七三〇枚中、日本海海域に何らかの呼称を記載していた一四三五枚の七七パーセントが、「日本海」と記されていることを示している。十九世紀発行の一二八五枚に限れば、「日本海」と記しているのは実に八二パーセントに及ぶ。因みに、駐米韓国大使館文化広報院が、二〇〇三年十二月の段階で米国議会図書館所蔵の古地図二二八枚に依拠して行った調査の結果は、十九世紀以前に発刊された東北アジア地域の古地図一〇三枚中、六六パーセントが日本海海域を「東海」または「韓国海」と表記していたと説明している。こうした日韓両国による調査結果の落差は、実は依拠した古地図資料の時代的な幅やサンプルの数といった点で、日本のほうに明白な「分」があるという客観的な事実を示している。今後、我が国政府が手掛けるべきことは、たとえば英米両国辺りの学者の「第三者の眼」を通じて、自らの調査の正しさを再確認してもらうことであろう。また、調査の際に依拠する資料もまた、米国議会図書館所蔵のものだけではなく、たとえば「英国議会資料」(British Parliamentary Papers)のような資料を含めるのがよいであろう。十四世紀の資料にまで渉猟の手を伸ばした外務省の努力は、そのための準備としては誠に意義深いものであったといえる。
 兵法書『孫子』にも、「辞卑くして備えを益すは、進むなり。辞疆くして進駆するは、退くなり」という一節がある。廬の対日言辞の激しさは、もしかしたら廬麾下の韓国政府が陥った対日政策の手詰まりを反映しているかもしれない。そのことは、自らの求心力維持のために「反日」論理を利用した盧が、その論理に今や自縄自縛になっていることを示しているのである。我が国は、日本海呼称調査の事例に触れるまでもなく、「辞卑くして備えを益す」方針を貫徹すればよい。韓国政府の姿勢に煽られる形で、「辞疆くして進駆する」羽目に陥ることぐらい、愚かなことはないのである。
   『月刊自由民主』(2006年7月号)掲載

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Comments

最近のノ政権を見ていると、手詰まり、八方塞り、ヤケッパチ、という印象が拭い切れません。
「進め一億、火の玉だ」「出て来い、ミニッツ、マッカーサー」(後者は、母親の昭和19年当時の愛唱歌らしい)という言葉も連想されます。
放置しておくと自爆してくれるなら、手間もかからないのですが、そうも行かないのでしょうから。

ゴミ屋敷やら騒音おばさんのご近所状態は
少なくとも次の大統領選まで続きますね。

Posted by: るびい | June 23, 2006 at 07:12 AM

 韓国と在日韓国人への遠慮がなせるのか、対韓・対在日韓国人への戦略・政策について国民大衆の前でまともに語る人達がほとんどいません。日本の近代史は、半島との関りのなかで起きているようにも思えるし、現在も安保上重要なファクターであることは変わらないはずなのに。
 外務省出身の有望な民主党政治家が、韓国との無邪気な友好を唱え訪韓し、韓国政治家と会談して、はじめて韓国政治家の対日認識を知り驚愕するという不勉強さ。外務省の対韓外交の一端を垣間見るようです。

『辞卑くして備えを益す』、孫子はさすがだと思います。しかし日本の対応が『辞卑くして備えず』、結果『行ないも卑くしす』とならないよう宜しくお願いします。

Posted by: toshi | June 23, 2006 at 08:15 AM

ノ・ムヒョンの精神を支配している韓民族中心主義(的感情あるいは空気)における韓国および韓民族の自己イメージと、否応梨に向き合わざるを得ない現実の韓国および韓民族の姿との間のどうしようもないズレがもたらす心理的緊張が、あのような独善的で一方的で挑発的な言辞を生み出すのだろう、と思います。

Posted by: ムシメ | June 23, 2006 at 07:32 PM

日本が、韓国の扱いを間違え続けているんだよ
はやく自分の誤りを認めたほうが良い
君が保守や右派である訳が無い

Posted by: 負け犬雪斎 | June 24, 2006 at 02:45 PM

るびい殿
>ゴミ屋敷やら騒音おばさんのご近所状態は
少なくとも次の大統領選まで続きますね。
上手い比喩ですね。脱帽です。
toshi殿
 ただし、今の盧武鉉くらい、外国にとってありがたい政治家もいないかもしれません。あれだけ「頭の中」が透けて見える政治家というのも、多くないとおもいます。
ムシメ殿
今回のワールドカップの結果は、韓国のほうに落胆が大きいかもしれませんな。
反中派殿 そういえば嫌韓派殿だったかも…
今度は、また名前を変えて御来訪ですか。

Posted by: 雪斎 | June 25, 2006 at 01:04 AM

そういえば昨日の日経夕刊によると、韓国は結局6月の海底地名小委員会で韓国側地名の提案はしなかったようですね。韓国側が約束を破るのではと言う憶測もありましたが、それは杞憂だったようです。
その代わり海底地名小委員会に韓国人委員を入れるようですが、あそこは全会一致原則があるので、韓国側地名を通すのはやはり難しいでしょうね。
http://www.sankei.co.jp/news/060621/kok077.htm

Posted by: Baatarism | June 25, 2006 at 01:01 PM

すみません
トラックバックを発信しましたら、4本連続してしまいました。削除してください

Posted by: sakaki | June 25, 2006 at 11:30 PM

こんにちは、ノムヒョンさん国内でもけっこうやばいおひととみられているんではないでしょうか?
朝鮮日報の社説から。。。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/06/24/20060624000002.html

Posted by: 宵の明星 | June 26, 2006 at 12:55 PM

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