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June 07, 2006

対日カードとしての「捕鯨」、本当かよ。

■ 日本を苛立たせる中国の動きが、またまた伝えられている。
□ 【中国】「日本の捕鯨に断固反対」98%、中国で強い反発
 16日から始まる国際捕鯨委員会(IWC)の総会を前に、5日付の新華社は「日本が求めている商業捕鯨の再開に対して、中国各界から反対の声があがっている」と題する記事を掲載した。
 商業捕鯨の再開をめぐっては、日本を支持するマーシャル諸島とカンボジアが国際捕鯨委員会に新たに加盟するなど綱引きが激しくなっている。
 新華社は「日本は商業捕鯨の再開を支援してもらうため、世界の国々にカネをばらまいている」と指摘した上で、「中国各界から反対の声があがっている」と主張している。
 中央電視台(中央テレビ、CCTV)は、捕鯨について賛否を問うアンケートを公式サイトで2日から開始した。6日午前10時20分(日本時間)の時点で、「捕鯨に対して、中国はどのような対応をすべきか」との質問に対して、「日本の捕鯨に断固として反対する」との回答が541票(98.90%)、「日本の捕鯨を支持する」が3票(0.55%)、「よく分からない」が3票(0.55%)となっている。
 国際動物愛護基金会の何勇氏は「中国の動向が商業捕鯨の再開に大きな影響を与える。中国は全世界の鯨の存亡を決める立場にある」と説明している。またグリーンピース中国では「鯨は何度、鑑賞しても飽きない。殺してしまえばそれっきりだ」とコメントしているという。(編集担当:菅原大輔)

 「いやはや、さすが共産主義国家である」。アンケートで98%の人々が同じ答えを出すなどということは、まともな民主主義国家ではありえない話である。こういう話を国営メディアが平然と流しているのであるから、お笑いであるというしかない。
 因みに、世間では「親中派」と呼ばれる二階俊博経済産業大臣は、商業捕鯨の再開を熱心に訴えてきた人物である。二階大臣の地元である和歌山には、C・W・ニコルが『勇魚』で描いた鯨の町・太地がある。こういう報道もある。
  □ 和歌山県で日本伝統捕鯨サミット
 和歌山県太地町で23日、第5回日本伝統捕鯨地域サミットが開かれた。国内と韓国から捕鯨関係者ら約1000人が参加。保護と利用のバランスが取れた「捕鯨新時代」の創造を呼び掛ける太地宣言を採択した。6月に西インド諸島で開かれる国際捕鯨委員会(IWC)総会で提案する。
            【紀伊民報 2006/04/24 20:36:34】

 もし、中国政府にとって二階大臣が「好ましい人物」の一人であるならば、こういう人物の政治的な立場を切り崩すような振る舞いは避けるはずであるけれども、何故、「98%は反対している」という根拠薄弱な報道を流して、「好ましい人物」の心証を害しようとしているのであろうか。不思議なことが行われている。
 中国における「捕鯨反対」論には、多分に西洋諸国が前面に出しているような「基督教の価値観」は反映されていない。もし、中国政府が「資源の維持・管理」を考えているのであれば、これほど片腹痛い話もあるまい。というのも、現在、世界の資源や食糧の乱費を続け、資源枯渇に最も寄与しているのは、中国であるからである。結局、中国政府が展開する「捕鯨反対」論は、「日本へのあてつけ」という意味合いが濃い。しかし、「捕鯨」は、日本人の舌と胃袋に関わる話であるが故に、それを対日カードとして使うことは、「靖国」以上に、日本での国民レベルでの嫌中感情を刺激しそうである。民主主義国家である日本を篭絡しよううとおもえば、その篭絡の対象は、政府関係者ではなく、一般国民であるはずであるけれども、中国政府は何をしているのであろうか。中国政府の外交感覚は、「捕鯨」を対日カードとして使えると判断した時点で、明らかな「劣化」を暴露してしまったようである。
 雪斎は、対中「デタント」論を提起しているところであるけれども、「やはり阿呆の相手は疲れる」という感情もある。昔、マーガレット・サッチャーがミハイル・ゴルバチョフと始めて会った折に、「彼とはビジネスができる」と語ったのは、有名な挿話であるけれども、今の中国政府に「日本とのビジネス」を本気にやろうと思っている人物はいるのであろうか。

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Comments

しかしながら、キリスト教圏での強圧的反捕鯨団体は影響を強めているように思います。The Christian Science Monitor紙の社説です。
http://www.csmonitor.com/2006/0602/p08s02-comv.htm

近年アメリカが中国を競争相手且つ国際社会の重要なプレイヤーとしての認識を強める傍ら、非民主主義国である中国を政治・経済的に重視する勢力も力を増してきているように思います。もはや民主主義を広めるなどと言うお題目は通用しない情勢下で、自らのヒステリックな倫理観を満たすために中国を積極的に利用し対日封じ込めを行おうとする可能性は少なくないように思われます。捕鯨国日本側としては少なくともあらゆる圧力に対し積極的に反論しロビイングする姿勢を強めていく必要があります。

Posted by: TIG | June 07, 2006 at 10:08 AM

 昨年11月の内閣改造で、「対中強硬派」(と言われる)麻生氏が外務大臣に、「親中派」の二階氏が経済産業大臣に就任しました。これは「これからも政冷経熱でいきますよ」という小泉首相なりの中国へのメッセージだったと思うのですが、最近薄煕来商務相が来日したのを見るとようやく中国もそれを理解したのかな、と思います。
 折りしも対中円借款の「凍結」が解除されましたが、案の定「弱腰」批判が多いようです。僕も時期尚早では、と思いましたが、対日強硬一辺倒でにっちもさっちもいかない中国・韓国を見ていると、こういった「アメとムチ」の使い分けも必要なのかなと感じます。

Posted by: ささらい | June 07, 2006 at 10:42 AM

中国への700億の円借款決定はどう読むのですか?

Posted by: pero | June 07, 2006 at 06:01 PM

人類社会(と、いうか集団)では、個々の構成員の知力の平均ちょい下あたりに知的レベルが固定される傾向があると私は考えています。
そして、理屈抜きで集団を形成する個人に熱狂、もしくは満足感をもたらす最も大きなものとして自分の属する集団の「強さの証明」と「勝利」、「対立集団の屈服」等があると思います。
人類の脳はそんな具合に配線されていると。
そう言う意味で、日中間の現状と問題の原因として「中国の膨張圧力」に対して「日本の膨張圧力」が足りないせいだと愚考します。
双方の「外部に対する圧力」が釣り合えば情勢は安定するだろうと。
私にとって、「国・社会・集団の関係性」を理念や言葉ではなく、「組織・集団」が形成されると必ず生じる「物理力」で捉えるのが理解しやすいのですが、現実と現状の分析視点としてこれが一面でしかないとも思っています。

Posted by: TOR | June 08, 2006 at 09:16 PM

さあ、中共中国がこのようなお墨付きカードをくれまし
たので、IWCに「国じゃないから加盟不可」とされている、
中華中国との関係を深めて、捕鯨してもらって、
輸入しましょう!

Posted by: 桜新町長五郎 | June 08, 2006 at 10:15 PM

中国さまは、ある日突然捕鯨賛成になると思います。えっ理由ですかあ。南極利権と食糧不足の危険性です。だって爆食中国でっせ。ほっといても、食糧自給がきびしくなった時点で、捕鯨は文化だ!と日本にすりよってきます。いまのところ、日本たたきの方がメリットあるという立場なんでしょうねえ。「鯨は何度、鑑賞しても飽きない。殺してしまえばそれっきりだ」ってどんなブラックユーモアですかね。
中国人にとっては、「チベット人やウィグル人は鑑賞すべきものではないので、場合によっては殺してもいい」とでも思っているのですしょうかねえ。昨今の民族自治の問題をみると、中国人と欧米人のエセ環境主義者は同じだと思います。(アメリカ人にとっては、「イラク人は鑑賞すべきものではないので、場合によっては殺してもいい」とでも思っているですかねえ。動物愛護する前に、まず人間愛護してから言え!って感じですね。アメリカ人はかつては日本は「日本人は鑑賞すべきものではないので、場合によっては殺してもいい」から、「日本人は鑑賞すべきものではないが役に立つ家畜なので、管理した上で飼育しても良い」に昇格していただきましたが。
いい加減地球のため、人間のため、エセ環境主義者をまずは、撲滅運動したいです!

Posted by: 捕鯨は最後のとりで | March 22, 2008 at 08:21 AM

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