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June 27, 2006

米国の「虎の尾」は…。

■ ワールドカップは、これからが面白い。
 先週から完全SOHO勤務になったので、「午前6時就寝、正午起床」の生活パターンに戻っている。
 従って、未明の時間帯の試合を横目で見ながら、原稿と政策レポートを書いている。
 イングランド―エクアドル戦は、デーヴィッド・ベッカムのフリー・キック一発で片付いた。流石に、「千両役者」である。
 「おいおい…」と思ったのは、ポルトガル―オランダ戦である。4枚のレッド、総計16枚のイエローが舞った凄い試合であった。ポルトガルが勝ってくれたお陰で、もう一度、ルイス・フィーゴの最後の雄姿が見られる。結構なことである。

■ 「テポドンⅡ」は、本当に発射されるのか。段々、真面目に相手にするのも阿呆らしく感じ始めているけれども、仮に発射されたとしても、日本政府が右往左往する事態にはならない。むしろ、こうした問題は、米国政府や米国世論が本気になった時の対応のほうが、注目に値する。イラク戦争に至る過程が示すように、米国政府や米国世論が本気になれば、物事の帰趨を決めるのは、もはや日本や韓国などの意向ではなく、米国の「さじ加減」でしかない。北朝鮮政府は、「挑発の相手」を完全に誤っている。韓国紙『朝鮮日報』が伝えた記事の一部である。
 □ 【テポドン2号】米高官ら、先制攻撃に否定的
 米国の高官らは22日、北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」発射実験場を先制攻撃するべきだとする、ウィリアム・ペリー前国防長官らの主張を一蹴した。ディック・チェイニー副大統領はこの日、CNNテレビに出演し、「ペリー前長官の忠告はありがたいが、他国に対する攻撃を実行するためには多くの準備をしなければならない」とし、「北朝鮮のミサイル問題は適切な対処がされていると思う」と述べた。
 ホワイトハウス(米大統領府)、国務部の高官やジョン・ボルトン国連大使らも、「米国政府は北朝鮮のミサイル問題に関し、これまでの方針を変えることはない」とした。また、ホワイトハウスのスティーブン・ハドリー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は「われわれは外交こそが正しい解決方法だと認識しており、またそれが望ましい方向だ」と述べた。

 この記事が言及するウィリアム・ペリーの主張というのは、ペリーがアシュトン・カーターと連名で『ワシントン・ポスト』〈22日〉に載せた論稿のことである。「必要ならば、攻撃して破壊せよ」という題名が付されている。
 ペリーとカーターの論稿の含意は、深読みすれば、「民主党に政権が移り、その時までに北朝鮮の現状が変わっていなければ、対北朝鮮先制攻撃も『あり』かもよ…」ということである。ペリーとカーターは、ウィリアム・クリントン政権期には長官と次官としてペンタゴンに居た。ペリーとカーターの影響力は、次が民主党政権ならば、相当に強く発揮されるであろう。ペリーとカーターは、今はそれぞれハーヴァードとスタンフォードで教授をしているけれども、こうした論稿は、決して「学者の与太話」と片付けるわけにはいかないのである。
 それにしても、民主党に近い筋から、こういう議論が出てくるのは、北朝鮮には気が気ではないであろう。ジミー・カーターやマデレーン・オルブライトのように、北朝鮮の言い分を直接に聞いてくれた米国政府要人は大体、民主党系の人物である。だから、北朝鮮政府には、「悪の枢軸」発言とイラク戦争の印象が強いジョージ・ブッシュよりは、民主党系のほうが話がしやすいと思っていたかもしれない。もっとも、米国は、「現実の脅威」を認識した時点で共和、民主両党の政策上の差異がなくなる。「テポドンⅡ」は、そうした対朝政策における共和、民主両党の差異の縮小を促がしている。「先制攻撃」は、ジョージ・ブッシュの専売特許ではないと示したのが、ペリー・カーター論稿の「肝」なのであろう。「テポドンⅡ」は、確かに米国世論を硬化させているのである。
 そういえば、このような記事も『読売』が配信している。「テポドンⅡ」が海のものとも山のものとも付かない段階で「テポドンX}とは、何ということであろう。
 □ 米全土射程「テポドンX」北が計画、技術的には困難?
 北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン2号」の発射が懸念される中、北朝鮮が米国全土を射程に収めることができる大陸間弾道弾(ICBM)の開発を計画していることが、米議会調査局や欧米軍事分析機関の最近の報告でわかった。
 米情報当局は、この新ミサイルを「テポドンX」と呼んで、警戒感を強めているという。
 議会調査局の報告書などによると、テポドンXは、テポドン2をより長射程にし、命中精度を改良したものを狙っていると考えられている。技術的な詳細は不明だが、1990年代に北朝鮮側に流出したとされる旧ソ連の潜水艦発射型弾道ミサイル「SSN6」を機体の一部に使用したか、テポドン2にSSN6の技術を加えて設計し直したとの見方が出ている。

 要するに、「テポドンX」は実態のない「幽霊」である。しかし、米国が何らかの動きを始めるときには、そうした「幽霊」が必要とされることがある。もし、「テポドンX」が実態であるかのような議論が出始めたたら、「真実の瞬間」は近付いていると判断すべきかもしれない。やはり、米国で何が語られているかには、眼が離せない。

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