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May 22, 2006

諸事山積

■ 今週も、諸事山積である。色々な方々には、折角、来訪してコメントも書いてもらったのに、ろくにリプライもできない状態になっている。加えて、雪斎にとって、六月という「最悪の一ヵ月」が近付いている。

■ ということで、先週発表した原稿を再掲して、このエントリーは終わりである。完全な手抜き工事である。ありゃりゃ。

  □ 『朝雲新聞』寄稿原稿  「共感」を呼ぶための軍隊
 五月八日、陸上自衛隊第十次イラク復興支援群部隊の第一陣が出発した。二〇〇四年一月に先遣隊、二月に第一次支援群部隊が派遣されて以降、陸上自衛隊だけでも十次を数えることになったイラク復興支援活動は、後世、どのように評価されるのであろうか。
 自衛隊は、他国の人々の「共感」を呼ぶための軍隊である。筆者は、過去二年数ヵ月に及ぶイラクでの活動は、この命題を証明するためのものであったと考えている。
 他国の人々の「共感」を呼ぶための軍隊とは、本来は形容矛盾の存在である。というのも、従来、軍隊という組織は、他国の人々に武威を示すことによって畏怖の感情を覚えさせ、そのことによって自らに対する攻撃を抑止することを趣旨としてきたからである。たとえば、旧ソヴィエト連邦時代、毎年十一月七日の革命記念日には、モスクワの「赤の広場」を舞台にして盛大な軍事パレードが開かれていたし、現在のフランスでも、毎年七月十四日の「巴里祭」の折には、パリのシャンゼリゼ大通りで軍事パレードが行われる。そうしたパレードは、軍隊が国家の「威信」を体現する組織であった事情を反映している。
 しかし、イラク派遣自衛隊部隊が担った役割は、そうした伝統的なものではなく、学校を建て道路を補修するといったように、本来の軍隊の有り様には似つかわしくないものであった。ただし、国際環境が変われば、軍隊の役割も変わる。特に「九・一一」事件以降、テロリズムへの対処が重要な安全保障課題と認識されているけれども、そこで要請されているのは、テロリストを「民衆の海」に潜ませない配慮なのである。学校の建設や道路の補修といった活動を通じて、自衛隊部隊が人々の「共感」を勝ち得るならば、その活動を妨害する一切の行為は、イラクの人々の利益に相反するものとなろう。それは、テロリズムを封じ込めるための仕掛なのである。
 その意味からも、軍隊の活動の中でも、人々の「共感」を得る努力は、大事なことである。自衛隊は、様々な制約の下でイラク復興支援活を始めたにもかかわらず、その活動の実態は、軍隊としての最先端を行くものであった。そのような評価が現下の自衛隊の活動に与えられるのではないか。
  『朝雲新聞』(二〇〇六年五月十七日付)

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

雪斉先生 こんにちは
さて、上の文章を読んで
>軍隊という組織は、他国の人々に武威を示すことによって
>畏怖の感情を覚えさせ、そのことによって自らに対する攻撃を抑止
>することを趣旨としてきたからである
と、ありますが、小生、軍隊というものの根源的な機能は
「政府の決定を物理的に実行する存在」であると考えております。
警察や消防なんかは元々軍隊の機能の一部であると。
(稼働率を上昇させるため分離・特殊化している)
故に、軍事的能力と同じくらい災害、その他の状態で「政府の決定を物理的に行使する」能力が重視されているのでしょう。
今回のイラクでの陸自の活動を私はそういった視点で見ていました。
「日本政府の意志」を色のない金であるODAでなく、イラク国民
(と、国際社会に)見える形で示していると。

Posted by: TOR | May 22, 2006 at 10:34 PM

>他国の人々の「共感」を呼ぶための軍隊である。
言われてみますと,実になるほどと思います。
このことに着目すれば,自衛隊は決して宙ぶらりんの軍隊ではなく,確かに最先端を目指せる存在であると思います。
しかし,「共感」を呼ぶためには,地味な努力が必要となり,広い視野と優れた感覚も必要となりで,なかなか大変な話であるなと思います。

Posted by: 西田瓜太郎 | May 25, 2006 at 12:54 AM

TOR殿
貴殿の定義は、実にエレガントですね。素晴しい。
機会があれば、拝借させて頂きましょう。
「戦争は別の手段による政治の継続」ですからね。
「日本政府の意志」を反映しなかった軍隊は、関東軍でしょうな。
そういえば、ライト・ノベルの話は…(汗)

西田殿
おひさしぶりです。
今の自衛隊のトップの人々は、実に健全なバランス感覚を持っている人々ばかりです。だから、その点は余り心配していないのですけれども、問題は、「論壇」ですな。そういうところの人々の話は、話半分に聞いて置けばいいでしょう。

Posted by: 雪斎 | May 25, 2006 at 02:27 AM

雪斉先生
関東軍(もしくは、当時の日本軍部が)が議会と内閣を「政府」として認めていたか疑問です。(一部勢力かもしれませんが)
天皇に対する諮問機関ぐらいにしか見ていなかったのでは無いかと思いますし、国民の間にも昭和恐慌後以降には、そういった気分があったのではないでしょうか?
「補弼」するなら軍でも良いと考えるような「気分」が。
日本の政権の正当は「天皇の認可があること」ですし(今も?)

あと、ライトノベルですが、本当に頭の疲れたときに読む本なので、私は何冊か手が届く場所に置いておいて息抜きに読んでいます。
とりあえずのお奨めはありますのでご興味があるのなら推薦しますよ(笑)
一冊一時間かからない娯楽として。

Posted by: TOR | May 26, 2006 at 10:33 PM

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