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January 24, 2006

三題噺

■ 土日両日は、「言論家」としての顔に戻って原稿を書く予定であったけれども、愛知和男代議士からの「特命」が入り、その対応で追われる。「特命」の中身は、ここで書けるものではない。それは、基本的に「墓場まで持っていく話」である。傍目から観れば、言論家、あるいはブロガーとしての雪斎には、「好き勝手に書いている」という印象があるだろうけれども、実際に書けることは、決して多くはない。うっかり変なことを書こうものならば、色々な筋に迷惑が及ぶ。自分が腹を切ったぐらいでは済まないことだってある。
 「権力」の中で仕事をするということの意味を説明するのは、至難の業である。「権力に迎合した輩」というのが、雪斎に昔日から向けられてきた凡庸な批判の一つであるけれども、「権力」の中で物事を観察している雪斎には、迎合も何もあったものではないのである。「権力」の中に身を置く限り、「権力」の外からの批判に同調することはない。それだけのことである。

■ ホリえもん逮捕である。ホリえもんという人物それ自体には、もはや何の感慨もない。ただし、こういう時節に決まって浮上するのは、「額に汗して働かなければ…」という議論である。
 その議論には異論はないけれども、少し立ち止まって考えてみる。
 今、世界的な「マネーの戦場」で闘える日本人は、どれだけいるのであろうか。1980年代後半のバブルの時代の反省点は、「カネの遣い方が判っていなかった」ということに尽きるのであろうと思う。ぐっちー殿と話をしたとき、「何故、あの時、アメリカの銀行の一つや二つを買収しておかなかったのか…」という話が出てきた。要するに、そうしておけば、1990年代の不況の折に、買収した米国銀行の収益が日本銀行には「援軍」となったていたはずだということである。「次に富を生む卵に投資できなかった」ということで、日本人は「マネーの戦争」で負けたわけである・。
 振り返れば、戦前期、三菱・岩崎、三井、住友、古河といった財閥家の当主が続々と男爵の地位に列せられた中で、例外として爵位の栄誉に与れなかったのが、金融財閥を率いた安田善次郎であった。こうした金融軽視の土壌の上では、「マネーの戦場」で闘う本物の人材は、登場しようもない。東京証券取引所の対応が批判されるのは、そうした「マネーの戦場」のまともな土俵を用意しようとしなかったことの反映なのであろう。「濡れ手に泡」という批判は簡単であるけれども、諸国の金融機関がその「濡れ手に泡」の戦争をやっている以上、日本人も、その「濡れ手に泡」の戦争に勝ち抜いていかなければならないのである。ホリえもんは、「マネーの戦場」で不正を働いたから放逐されるだけのことである。

■ ホリえもん逮捕のお陰で、昨日の衆議院本会議での代表質問の話題は、吹っ飛んでしまったようである。前原誠司代表に続く民主党二番手として登場したのは、雪斎の畏友、長島昭久代議士であった。長島代議士は、雪斎と同様、読売新聞の「賞」のホルダーであるし、雪斎は長島代議士と共同で日米同盟に関する論文を執筆したこともある。
 実に立派な代表質問であったと思う。二年生議員の立場で通常国会冒頭の代表質問に立てたのは、長島代議士の政治的なキャリアには、「大いなる飛躍」であろう。雪斎は、ふと長島代議士が、ワシントンから帰国して最初の選挙戦に臨んだ頃のことを思い出す。長島代議士の活躍に、乾杯である。
 ただし、長島代議士は、現在の雪斎にとっては、「敵将」である。長島代議士にとっても、今の雪斎は、「敵陣営の参謀」であろう。「やりにくい…」という個人的な感情は押し殺さなければならない。何故、互いに「政治の世界」に身を投じたのだろうと思うこともあるけれども…。

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Comments

雪斎殿
趣意を乱してしまうかもしれませんが、マネー戦争、つまりおっしゃるとおり濡れ手に粟戦争に勝ち抜いて行かねばならんのです。アメリカなんてこればっかりやってる訳ですから。その意味でご指摘のとおり、こうなるといつも出てくる「額に汗して働く」という議論は決して否定はしないですが、じゃ、その先に何を見ているのか、という議論が欠落していて大嫌いです。「それだけでいい・・・ただ汗して働く事が大事だ」、というのは高校野球のスポ根物語と一緒で、創造もくそもなく何事も生まれないし、くその役にもたたないんです。

こういう発言をする政治家とは何を考えているのだろうか、と不思議に思いますし、実はなーんにも考えてないからいえるのかもしれないな、なんて最近は思ってるのですが。
こんな姑息な事をしなくても十分戦える戦略のためにも日本においては金融市場の整備(東証を含めた)は急務と言えましょう。日本に「金融版楽市楽座」を作るのでありますよ。

寒いです。お体にはご注意あれ。

Posted by: ぐっちー | January 24, 2006 at 10:23 AM

ホリエモン逮捕.こういう事件が起きると必ず出てくる「額に汗して働かないと云々」.おっしゃる方はだいたい大きなメーカーさんの社長.でも、私は勤めていた経験で判るが、こういうことをおっしゃる会社の社員は「額に汗して」なんてしてませんったら.ではなんでこんなステレオタイプの批判が出るのか.それを実に巧みに説いた本にイザヤベンダサン(実際は山本七平さん)の「日本の商人」というのがありましたね.要は、商人になりきれない日本人の、一種の自己欺瞞の表現だと.
 それに「お金や株を動かすだけで何百億も儲けるなんて云々」こういう台詞も良く聞きます.そんなことを言ったら、「二酸化炭素をばらまく車を売るだけで二兆円も儲けて」となるんじゃあないですか.手のひらかえしたようなホリエモン批判を生み出す背景を、山本七平は空気が支配する日本の言語空間とズバリ言ってますね「空気の研究」.雪斎さま.この「空気」にはマジお気をつけ下され.

Posted by: M.N.生 | January 24, 2006 at 01:39 PM

>「次に富を生む卵に投資できなかった」ということで、日本人は「マネーの戦争」で負けたわけである・。

かんべえさんが溜池通信で紹介した貿易統計によれば、今の日本は所得収支が貿易収支に匹敵する額になっていますから、日本は十分「次に富を生む卵に投資できた」と言えるのではないでしょうか?

Posted by: Baatarism | January 24, 2006 at 05:02 PM

でも、自民党としては、一回ホリエモン支援に
関して総括しておいたほうがいいと思うのです。
補選もあることですし。

Posted by: おおみや%バイト君 | January 24, 2006 at 09:50 PM

こんにちは
本日はブログ大巡回中です。
「額に汗して働く」論は農耕民族らしい発想のように思います。田畑を耕す範囲なら、日本の気候では見返りがありました。働くことに比例して個人の幸せが拡大する社会なら理想ですし、かつての農耕ニッポンなら、そんな時代もあったと思います。しかし、現代において、覇権は軍隊だけでなくマネーにもあるわけで、カネも軍隊以上の武器です。お金でもモノ作りでも勝てる(イチバン取れという意味ではありませんが)ことが肝心と思います。不良債権処理にメドがついたとはいえ、日本の金融はまだ大負けですからね。これから生まれる「錬金術師」に期待します。
こんなことをコメントしながら、おなじ十万でも思い出に残るのは、バイトで苦労して手に入れた、学生時代のあの十万円でだったりするワケです。汗して手に入れたお金はやっぱりいいもんです。
本日はやっとライブドア株がやっと寄りました。また、壮大なマネーゲームが始まった模様です。
駄文失礼しました

Posted by: SAKAKI | January 25, 2006 at 04:06 PM

「長島大兄」のことが書かれていたので、勝手にTBしてしまいました。申し訳ありませんでした。
「大兄」との距離は、「近いようで遠い」・「遠いようで近い」という表現がいまのところの状況です。
本物の政治家に出てきてもらいたい願望が強くあり、自民党か民主党という既存の政党枠で評価をしないように心がけています。
ちなみ「大兄」は、この人はいいんじゃないと思えた人の一人であります。
今後ともお体に気を付けてがんばってください。

Posted by: はる | January 30, 2006 at 03:41 PM

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