« 年の瀬の風景 | Main | 新年の御挨拶 »

December 28, 2005

本年最後のエントリー

■ 既に「永田町」は、先週末の時点で「年末モード」に入っている。それにつられて、雪斎も「年末モード」に突入である。明日以降、大晦日まで箱根で温泉に浸かりながら、養生する予定である。従って、このエントリーが本年最後のエントリーである。本年一年、多くのエントリーをお読み頂き、あるいはコメントを寄せて頂いた方々には、謝意を表する。

■ とある占いによれば、雪斎は本年と来年が「天中殺」である。確かに、「天中殺」に入っていることを感じさせる出来事は多い。こういう時節では、偉ぶらず大人しく振る舞っているのが、上策であろう。

■ 箱根に携えるのは、おそらくは読み残しにしていた洋書二、三冊である。多分、ジョージ・F・ケナンがナショナル・ウォー・カレッジ時代に行った講義録を中心に読むことになるであろう。『戦争一歩手前の手段』(Measures Short of War: George F Kennan at the National War College)と題された書は、冷戦史家として高名なジョン・ルイス・ギャディスが「『封じ込め』に関するケナンの合理付けが『X論文』や他の論稿よりも、はるかに完璧になされている」という趣旨の評を与えたものであるけれども、こういうものこそ、腰を落ち着けて読むに相応しい。
 マイケル・ジョセフ・スミスが著した『現実主義の国際政治思想』という書には、マックス・ウェーバー、エドワード・ハレット・カー、ハンス・モーゲンソー、ラインホールド・ニーバー、ジョージ・ケナン、ヘンリー・キッシンジャーの六名の「現実主義者の思想」が考察されているけれども、日本の「現実主義者」に最たる影響を与えたのは、ケナンであったような気がする。最晩年の故・高坂正堯先生は、ケナンの書の邦訳に解説を寄せていたことがあったし、永井陽之助先生の書にはケナンへの言及が見られる。ケナンが次第に「ハト派」として認識されるようになったのと同様に、高坂先生や永井先生は次第に「ハト派」的な色調を指摘されるようになった。砕けていえば、「『封じ込め』の闘士が、何時の間にか平和主義者かよ…」とは、ケナンに投げ付けられた揶揄であった。イラク戦争開戦の折のケナンのジョージ・ブッシュ政権批判は、『朝日新聞』や『しんぶん赤旗』が度々、紹介した。ケナンは、その趣味や信条、価値観において紛れもない「保守主義者」であったけれども、いわゆる「ネオ・コン」と呼ばれる人々とは相容れず、日本では「リベラリスト」とみなされていたのである。自ら「保守主義者」と称する人々に、「保守主義者」はいない。ケナンの言説は、そうしたことを実感させる。
 そのケナンも、本年三月に齢百一で鬼籍に入った。米国では、「最後の賢人」と呼ばれた人物である。

■ 「封じ込め」といえば、来年は、対中関係の運営が、ちょっとした関心事になるのであろう。

■ それでは。皆さん、佳き年をお迎え下さい。

|

« 年の瀬の風景 | Main | 新年の御挨拶 »

「学者生活」カテゴリの記事

Comments

 一年間お疲れ様でございました。この場で随分と勉強することが出来ました。最近は自分が職場で「副会長は左傾化しとる!!」と先輩諸氏から叱責されることが屁でもなく感じるようになりました。
 箱根の温泉で疲れを癒してください。良いお年をお迎え下さい。それでは。

Posted by: 副会長 | December 28, 2005 at 10:08 PM

お疲れ様でした。
小生は、エリック・ホッファーと、昔読んだプラグマティズムについての書籍を読もうと考えています。
あと、ラの字やマンガも。
来年も貴Blogを楽しみにしています。

あと、札幌は雪に埋まって春が待ち遠しいです。
この時期だけミナミノ島に移住したいですな。
(台風シーズンは札幌に移住で)

Posted by: TOR | December 29, 2005 at 01:41 AM

・副会長殿
こちらこそ。来年も、お世話になります。
・TOR殿
そうですね。5月から10月までだけは札幌で暮らし、残りの季節は伊豆の温泉地で暮らすという生活を夢想しております。
エリック・ホッファーの主なところは、中本義彦先生が訳出されましたので、ご覧下さい。
よい、お年を。

Posted by: 雪斎 | December 29, 2005 at 01:54 AM

今頃雪斎先生は温泉の中なのでしょうか?
こちらは大晦日まで仕事です。ついでに、
正月三が日は簿記の本で過ごす予定です。
いつの日か億万長者になることを夢見て。
それではよいお年をm(_ _)m

Posted by: おおみや%バイト君 | December 29, 2005 at 04:43 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/7875761

Listed below are links to weblogs that reference 本年最後のエントリー:

» WALKING TOUR [あくてぃぶ・そなあ]
これについては、ふうちゃんの日記で初めて拝見した。 私は他の人より早く足を止めると思う。 そして、再びみんなと出会うのだろう。 オリジナルバージョン http://www.dnsip.ne.jp/~ryujakutsu/pwaizu/image/wt/walkingtour.html 6カ国語バージョン http://www.geocities.co.jp/Hollywood/1387/walkingtour.html 追記:「Irreg... [Read More]

Tracked on December 30, 2005 at 02:46 PM

» 新年明けましておめでとうございます。 [桜日和]
今年もよろしくお願いします。 どうでもいいですが、たまたまブログを渡り歩いていて、ここを見つけてしまったかたで、テレビ見たいのがないなーと思われる方。 AM2:00までなら、NHKの「年の初めはさだまさし」でもご覧下さい。 私も見てますが(笑) まぁおせち..... [Read More]

Tracked on January 01, 2006 at 01:13 AM

« 年の瀬の風景 | Main | 新年の御挨拶 »