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December 09, 2005

行く川の流れは…

■ 行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と住家と、またかくの如し。
 玉敷の都の中に、棟を竝べ甍を爭へる、尊き卑しき人の住居は、代々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。或は去年破れて今年は造り、あるは大家滅びて小家となる。住む人もこれにおなじ。處もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、僅に一人二人なり。朝に死し、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、何方より來りて、何方へか去る。また知らず、假の宿り、誰がために心をなやまし、何によりてか目を悦ばしむる。その主人と住家と、無常を爭ひ去るさま、いはば朝顔の露に異ならず。或は露落ちて花殘れり。殘るといへども朝日に枯れぬ。或は花は萎みて露なほ消えず。消えずといへどもゆふべを待つことなし。
       『方丈記』より

 高熱にうなされた時間には、普段は考えたこともないことをことを考えるものである。その中で頭をめぐっていたのは、『方丈記』の一節であった。
 考えてみれば、「無常」とは日本人の世界観の核心にあるものである。肩肘張らず、やっていければ、それでいいと思う。ぼちぼち流れのままに…。

■ ところで、今日の政治記事の中で興味深かったのは、下記の『読売』記事である。
 □ 首相が衆院選直後「大連立」打診、民主・前原氏は拒否
 小泉首相が先の衆院選直後の9月下旬、民主党の前原代表に対し、連立政権構想を打診していたことが8日、明らかになった。
 関係者によると、首相は自らに近い人物を通じ、代表に就任したばかりの前原氏に自民党との「大連立」を持ちかけたが、前原氏は自民党に対抗する勢力が必要であることなどを理由に、即座に断ったという。
 衆院選では、与党である自民、公明の両党が定数の3分の2以上の議席を獲得した。にもかかわらず、首相が民主党に「大連立」を打診したのは、憲法改正や構造改革を一気に進める狙いからと見られる。
 首相は9月20日、党代表の就任あいさつに訪れた前原氏に、「与党との違いを出そうとしない方がいい」と語っている。前原氏自身についても、「好漢だ。与野党だから戦わなければいけないという考えを超越して、政治家、党首として、どうこの国をよくしていこうかという観点が大事だ」と評価したことがある。
 これに関連し、前原氏は訪問先の米国・ワシントン市で7日午後(日本時間8日早朝)、記者団に対し、「自民党との連立の可能性は99・99%ないし、選挙によって政権交代を実現したいという考えに全く変わりはない」と述べた。
 
 雪斎は、「前原さんも、惜しいことをしたな…」と思う。雪斎が前原氏の立場であったならば、小泉総理の誘いに乗る。この「大連立」よりも、「大連立」の後の風景に何か面白いものがあるのではなかろうか。雪斎には、そういう想いがあるからである。政治は、古代ギリシャでは、生産活動を免れた市民階級の「余興」であった。前原さんには、その「余興」に付き合ってもらいたかったような気がする。

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Comments

雪斎先生の推薦する「自民党&民主党の大連立」は今の
窒息しそうな脅迫的な重苦しい時代を切り裂けると思います。一度是非大連立して 派閥がごちゃくちゃになって
グループ対立して落ち着く所へ纏まる方が互いに良い発展が出来ますよねー、互いの中身に古いしがらみの残滓が生き残って党として意見が纏まらなくて、有権者が逃げ出した民主党は、内部抗争しないで穏便に中間同士が「類は類を呼ぶ」で自然に別れてくれたら血も流さずに済むのにねー。民主党は寄せ集めだから求心力が弱いし、同じように自民党も巾がグラデーションしてて曖昧模糊だものねー。
誰か仲介に動いてくつけれると面白くなるにに、それと自民党もそろそろ豆腐インチキマンション詐欺事件で公明党と分かれ無いと自民党内部も豆腐だから崩壊する危険が迫ってると思いますねー。

Posted by: ようちゃん | December 09, 2005 at 04:32 AM

私も前原さんもったいないことしたなと思いました。
彼は以前「自分の政策を実現するためには政権政党に入らなければならない」という持論だったそうですので、民主党の党首としての立場を優先したのかもしれませんが、いつの間にかスタンスが変わってしまったのかなという印象です。

Posted by: tomber | December 09, 2005 at 09:02 AM

ホントだったとしたら、総理はやっぱり公明党と参議院を切りたいと思っているのかなあと思ってしまいました。

でも前原さんの米国CSISの講演、すごく良かったですね!憲法改正や集団的自衛権の行使の必要性を明言し、シーレーンの防衛も日本が責任を持つべきと発言されており、まったく違和感のない認識を示しておられて嬉しくなりました。長島先生と同じく、「自民党にくればいいのになあ」と思わずにいられません。

しかし「帰国したらどうせ発言撤回させられるから、米国では言いたいこと言っちゃえ」という党内事情があるとしたら、本当に民主党ってひと昔前の自民党のようだなあと思うのですが・・・

Posted by: さくら | December 09, 2005 at 04:11 PM

無常というのは、常なるものが見えないと実感ができないようです。無常を体感するには、余分な考えを私は抱えすぎているなあと思います。

Posted by: Hache | December 11, 2005 at 04:22 PM

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