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December 15, 2005

通える夢は崑崙の高嶺の此方ゴビの原

■ 昨日、モンゴルについて書いたけれども、実際の動きは、かなり速く進んでいるようである。『読売』記事である。
 【クアラルンプール=尾山宏】小泉首相は13日、インドのシン首相とニュージーランドのクラーク首相とそれぞれ会談し、14日の第1回東アジア首脳会議(サミット)で議論される東アジア共同体の実現に向け、連携していくことで一致した。
 小泉首相はシン首相との会談で、「世界最大の民主主義国家のインドとの協力は、日本にとってプラスだ」と述べ、シン首相も「日本とは歴史的に争いがなく、国民も高く(日本を)評価している」と応じた。
 シン首相はまた、「日本との包括的な経済連携協定(EPA)を考えたい。海賊対策でも協力していきたい」と述べ、小泉首相も前向きな考えを示した。
 小泉首相はまた、カンボジアのフン・セン首相、ラオスのブンニャン首相、ベトナムのファン・バン・カイ首相との4者会談に臨み、3か国に対し、総額約220億円の新たな円借款と無償資金協力を約束した。

 東アジア共同体構想それ自体はともかくとして、日本がインド、豪州、ニュージーランドとの提携を打ち出したのは、誠に結構な話である。
 ところで、日本人にとってのアジアとの関わりを考えるとき、何時も考えるのは、「日本人は従来、中国や朝鮮半島に特別な思い入れを持っていたのであろうか」ということである。たとえば、昔日の若者が多分に知っていたであろう次の歌の意味をどのように考えるべきであろうか。

 旧制第三高校寮歌 「紅萌ゆる」

紅萌ゆる丘の花
早緑匂う岸の色
都の花に嘯けば
月こそかかれ吉田山

千載秋の水清く
銀漢空にさゆる時
通える夢は崑崙の
高嶺の此方ゴビの原

 「通える夢は崑崙の高嶺の此方ゴビの原」というのは、考えようによっては、意味の深い歌詞である。この歌詞は、繰り返し歌われたものであるから、、日本人の感性にかなり影響を及ぼしているといえるかもしれない。日本人にとっては、大陸の「夢」というのは、崑崙山脈の向こうの「非・漢民族地域」にあったのである。無論、「ゴビの原」に実際に行くこともなかったであろう多くの人々は、それを単なる憧れとして抱いていたと思われる。けれども、そうした憧れの感情が「非・漢民族地域」に向けられていたことの意味は、かなり大きいのではないであろうか。二十数年前にNHKが放送した『シルク・ロード』は、現在放映されている『新シルク・ロード』とは比べるべくもない評判を呼んだシリーズであったけれども、この評判には、「非・漢民族地域」への憧憬という下地があったと思われる。日本人は、漢民族には意識せざる「距離感」を持っていたのであろう。
 そうであるとすれば、日本の外交機軸は、次の三つを考慮することが出来よう。一般に健康のためによいのは、「身体が欲している食事を摂ることだ」とされている。日本という国家の「体質」に照らし合わせて無理のない外交機軸というものもあるのではないであろうか。
 ① 「東経135度」ライン
  日本・台湾・パラオ・パプアニューギニア・豪州・ニュージーランド
 ② 「海のシルク・ロード」ライン
  日本・東南アジア多島海諸国・インド・クウェート・エジプト
 ③ 「シルクロード」ライン
  日本・モンゴル・旧ソ連中央アジア諸国・アフガニスタン・イラン・トルコ
 これは、昔日の大英帝国が西から東へ拓いたルートを、逆に東から西へ拓くという具合になる。このルートに集まるのは、「富」と「情報」である。東アジア共同体の結成に向けて、日本がインド、豪州、ニュージーランドを巻き込もうとしているのは、誠jに理に適ったものなのである。アングロ・サクソン世界との提携を唱えているのは、岡崎久彦大使であるけれども、ここでいう提携というのは、大英帝国以来の「富」と「情報」のネットワークに連なるということである。

 

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Comments

賛成ですねー。中国や韓国の嘘つきには呆れて・・。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1553137/topics_detail
「韓国の教科書は偏たっていた。」日清戦争1行 日露戦争1行勃発した年月日と戦争名前だけの1行きじだってー。

「中国は有史以来平和国家だった」中国外務省の秦剛副報道局長は13日の定例会見でと言明した。
http://aoyagi.txt-nifty.com/ura/2005/12/post_dce3.html
(a day in nagoya)さんのブログです。中国の侵略年表が掲載されています。多すぎて書き出せないから見てください。

中共って専制国家が、いかに非常識な事であっても指導部の意向は常に絶対視しなければいけないという事がよくわかる

Posted by: ようちゃん | December 15, 2005 at 12:25 AM

朝青龍の活躍、モンゴルの経済発展で日本とモンゴルの関係が強化され、モンゴルブルガリアは相撲で日本とのつながりが強化されていく感があります。トルコに勤務する高校の同級生で商社勤務の人にクリスマスカードをかきましたが、親日的な国をモンゴルトルコブルガリアの間にどんどん増やすシルクロードプラス構想なんていうのはどうでしょう。トルコも経済好調で格上げされたばかりです。モンゴルもかつて欧州まで勢力を伸ばしていたような。。。

Posted by: 星の王子様  | December 16, 2005 at 01:21 AM

 世界帝国を最初に築いた民族ですからね、モンゴルは。
まあ、中国に取り込まれちゃいましたが(中原って魅力的なんだろうかやっぱり)
 最近ジンギスカンのお店が増えてきているのが何より嬉しかったり(笑)
 ちょっと前まで、関西にはまともな羊肉を食べさせてくれるお店が殆ど無かったですから。
 トルコ料理も日本人の口に合うんですよねえぇ~。
 あと、イスラム国家でいち早く民主化された国になっていたというのはやはり、重要ですよねぇ。
移民問題などもあり欧州での立場はちょっと微妙な今日おの頃ですが・・・

Posted by: ふにふに | December 16, 2005 at 02:10 PM

こういう議論、いいですねえ。

露中独(欧)の大陸諸国家を分断し小包囲し、さらにそれらをぐるりと大包囲する自由主義、民主主義の海洋諸国群。

日米英の新「3国同盟」を基軸とした、新「封じ込め」システムが大戦略中の大戦略として中心にあり、そのサブシステムとして、蒙古、突厥、匈奴、吐藩、印度との同盟や連携が出現するという考え方ですね。

シンプルかつスマート。日本の国益と人類の幸せにかなう「グランドセオリー」です。

「東アジア共同体」はあくまでこの枠組みにおいてでないと実現させてはならない試みです。
その意味では、日米が緊密に連携し、印、豪、NZといった大英帝国系国家群をここに参画させる小泉戦略には、絶賛の拍手を送りたいと思います。

19世紀のイトウやビスマルクよりも優れた戦略家ですよ、こりゃ。

Posted by: 雪風 | December 17, 2005 at 04:17 PM

・ようちゃん殿
日本と中国は「異界」だとおもいます。その認識の上で、いろいろなことを考えるべきだとおもいます。
・星の王子様殿
結局、大帝国の周辺同士国で提携しようという発想ですな。モンゴル、ブルガリア、グルジアというのは、大相撲力士の故国ですが、こういうところから、若者をどんどん受け容れることを考えるべきでしょう。
・ふにふに殿
拙者が一年間だけ何処かの国の大使をやってくれといわれたら、トルコはやってみたいですね。トルコ料理は旨いし…。後、ジンギスカンも、新鮮なラムを使えばうまいですね。
・雪風殿
そうでしょう。こういうのは、拙者は、「三度の飯」よりも好きなのですよ。

Posted by: 雪斎 | December 18, 2005 at 02:20 AM

旧制三高の寮歌がそんなに人口に膾炙していたのかどうかは存じませんが。

>この歌詞は、繰り返し歌われたものである
>から、日本人の感性にかなり影響を及ぼして
>いるといえるかもしれない。日本人にとって
>は、大陸の「夢」というのは、崑崙山脈の
>向こうの「非・漢民族地域」にあったのである。

日本人の感性にかなり影響を及ぼしていると「いえるかもしれない」という類推から「大陸の「夢」は非・漢民族地域にあったのである。」という結論に到るのは幾らなんでも論理が飛躍しすぎてませんか?

看板のユーゴーの箴言が泣いていますよ。

Posted by: Silky | December 19, 2005 at 11:09 PM

・silky殿
おっと。これは、失礼。
ブログは、雑誌などと違って「思いつき」を書く場ですから、当然、こういう「論理の飛躍」がでることはありますな。こういう文章は、雑誌媒体には、まず書きませんわな。

Posted by: 雪斎 | December 20, 2005 at 02:48 AM

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