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November 10, 2005

政治家と政治活動家

■ 昨日午前、超党派議連「国立追悼施設を考える会」の設立総会が第二衆議院議員会館で開催された。「共同通信」記事が、その模様を伝えている。
□ 追悼施設促進に積極提言 日韓改善へ議連発足
 新たな国立戦没者追悼施設の在り方を検討する超党派の議員連盟「国立追悼施設を考える会」の設立総会が9日午前、衆院議員会館で開かれ、自民、民主、公明各党から約100人が参加した。小泉純一郎首相の靖国神社参拝で悪化した日韓、日中関係の改善を目指すのが狙いだ。
 会長に就任した山崎拓前自民党副総裁はあいさつで「戦没者に対しわだかまりなく追悼の誠をささげるにはどうしたら良いか。新しい施設について提言していきたい」と強調。副会長の鳩山由紀夫民主党幹事長は「民主党も3、4年前から関心を持ってきたテーマ。積極的に議論していきたい」と述べた。
 副会長には冬柴鉄三公明党幹事長も就任。官房長官当時に私的諮問機関から追悼施設建設の提言を受けた福田康夫氏のほか、公明党の神崎武法代表も出席した。

 数刻後、同じ議員会館では、「国立追悼施設に反対する集会」というのが、開催された。まったく相反する趣旨の会合が同じ建物の中で開かれるというのも、国会ならではであろう。
 因みに、雪斎は、「国立追悼施設を考える会」設立総会に愛知和男代議士の代理として出席していた。こういう場に雪斎が顔を出すのは、日頃の雪斎のイメージからは、だいぶ懸け離れたものであろう。保守論壇方面からは、「ほら見ろ。雪斎が日和見をしている」といい言い出す向きも、現れるかもしれない。
 ただし、雪斎は、「政治家の『政策参謀』」であって、「政治活動家の『同志』」ではない。政治家の行動準則は、異なる理念や利害を持つ相手を前に、いかに「落しどころ」を探るかということである。そこでは、「妥協」は当然の技術である。方や、政治活動家の行動準則は、自分の「大義」を実現することである。そこでは、「妥協」は「大義」の純粋性を汚すものとして嫌われる。異なる理念や利害を持つ相手は、「圧殺」、「粛清」、「総括」の対象でしかないのである。その意味では、たとえばロシア革命を主導したレーニンらの革命家は、「政治活動家」なのである。政治活動家が権力を握れば、その後に来るのは、「阿鼻叫喚」の光景である。おそらくは、「総括」の下に自らの同志を抹殺した連合赤軍事件とカンボジアでのオート・ジェノサイドを実行したクメール・ルージュとの間には、同じ心象風景がある。そういえば、フィデル・カストロやチェ・ゲバラも、自分のことを「政治家」として認識していなかったはずである。
 保守論壇方面には、安倍晋三官房長官に対する期待が高い。しかし、彼らが安倍長官に自らの理念なりイデオロギーを実現する「政治活動家」としての相貌を期待しているのであれば、彼らの期待は、安倍長官にとってマイナスになるだけであろう。
 「追悼施設」に関していえば、小泉総理も「靖国の代わりにはならない」と言明している。雪斎もまた、「追悼施設を作っても、靖国に総理が春秋例大祭の折に参拝すればいい」と思っている。この会合で配布された「追悼施設」懇談会報告にも、「新しい追悼施設は、既存施設と矛盾しない」という趣旨になっていたはずである。
 会合が終わった後、帰り際に福田康夫元官房長官と言葉を交わした。「書いたものは読んでいる」とのことであった。雪斎は、「今は、愛知の代理です」と答えた。昨日のエントリーで、「小泉後継は麻生か福田であろう」と書いていたものだから、内心、焦った。福田元長官の柔和な表情が返ってきた。
 

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Comments

お疲れさまです!拓さんは「第3の道」をめざしているわけですね。しかし、やはりチェ・ゲバラを尊敬する亀井先生は「政治活動家」なのでしょうか。。。

政治のおもしろさに気付けば気付くほど、ひとつの政策を実現するまでの忍耐力と努力など、飽きっぽい私は気が遠くなるほどです。
今日、ある先生にお話を伺ってきたのですが、「90%の支持を得ることなんて、どこかおかしいと思わなければいけない。70点、80点をめざすのが政治」とおっしゃっていました。しびれました

Posted by: さくら | November 10, 2005 at 01:36 PM

σ(^_^;が本件に関して疑問なのは、この施設を
作って何か解決する問題があるのか?というこ
とでしょうか。少なくとも、靖国神社がなくなら
ない限り、特定の国から国務大臣の行動を容喙
される状況は続くわけでして。

Posted by: おおみや%バイト君 | November 10, 2005 at 09:12 PM

僕は天皇陛下が戦死者を追悼できる場を作るという理由だけでも、国立追悼施設を作る意味はあると思います。
あと、韓国や中国もあれだけ注文をつけたわけですから、当然首脳来日の時は追悼施設で祈りを捧げてもらいましょう。そうなると両国の国内がどうなるか、考えるだけで愉快じゃないですか。w

Posted by: Baatarism | November 10, 2005 at 11:47 PM

国立追悼施設を作ろうが、なんの問題の解決にもなりませんね。今はA級戦犯の合祀を問題視しているだけですが、事実上の分祀にあたる新施設を作っても今後
要求がエスカレートし、中国を侵略した軍人全員の分祀を要求してくることになるでしょう。

外交とはそういうものです。靖国に関しては譲歩してはいけません。税金の無駄使いに終わるだけのことです。その程度のことも分からない福田は宰相としては落第ですね。この程度のことを熟知している阿部、麻生のほうが宰相に向いてますね。皇室が参拝できなくなったのは政治家が参拝するのが悪いことだと勘違いさせる行動をとってきたからでしょう。中曽根の参拝中止とかですね。政治家が堂々と参拝を続ければいつかは皇室が靖国に参拝する日もくることになるでしょう。

Posted by: 弥勒 | November 11, 2005 at 12:13 AM

お初にカキコします。
本日の産経新聞(5面)によると、山崎氏は神道政治連盟との間で「新施設構想に断固反対」とする「公約書」を取り交わしていたそうですが。
こんなにあっさりと支援団体との約束を破っちゃって、いいんですかねえ・・・。

Posted by: saburo | November 12, 2005 at 12:26 PM

初めての書き込みにて失礼します。

「追悼施設を作っても、靖国に総理が春秋例大祭の折に参拝すればいい」とは一体どういう趣旨でしょうか。

中国を愚弄するつもりなのでしょうか。中国が要求しているのは参拝の中止です。既に追悼施設=靖国参拝中止と受け取られている可能性の高いのです。

中国側から見れば「追悼施設」を作っておいて靖国参拝すれば、背信行為そのものです。ましてやあれだけ面子が大好きな中国です。必ず面子云々に発展し、問題がさらに泥沼化すると思います。

追悼施設作らずに靖国参拝する(要するに現状)よりも、
中国側が反発を高めざるを得ない環境に追い込んでしまうのではないでしょうか。

仮にそうなった場合は「追悼施設」推進論者も同時に追い込まれます。問題が全く解決せず「追悼施設」反対論者の「そら見たことか」の大合唱になるからです。

日中双方で問題をこれ以上深刻化させないためにも、この問題に限っては安易に「落としどころ」に飛びつくのはやめた方が良いように思います。

Posted by: フムフム | November 14, 2005 at 11:52 AM

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