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November 19, 2005

雑感・釜山APEC

■ 昨日朝、起床しようとしたところが、まったく身体が動かなくなっていることに気付く。疲労の蓄積が「臨界点」に達していたようである。急遽、総ての仕事をキャンセルする。当然、大学での講義も総て休講である。気合でパソコンを動かし、大学に休講届けをだしたけれども、学生諸君には悪いことをしたと思う。

■ 午前中は完全に機能停止状態であったけれども、昼過ぎに調子が次第に戻る。無理に外出しようとしたならば、中々、危険な状態であったと思う。

■ 昨日、日経平均株価(225種)は、小泉純一郎内閣発足後の高値を更新し、終値で14411円を付けた。一時は、2000年12月以来、約5年ぶりに14600円を越えた。いやはや、よかったと思う。実は、雪斎が社会人になってから、「景気が良い」という話を聞いたことがない。1980年代末の「バブル」の最中には、雪斎は、カネのない学生、大学院生であった。社会人になってみたら、世間には「みすぼらしい時間」が流れていた。だから、何時も、「祭り」に参加し損ねたという想いが残っていた。この十数年は長すぎた。

■ ところで、韓国・釜山でAPECが開催されている。今年11月17日は、韓国併合を決定付けた第二次日韓協約(韓国では乙巳条約)締結から丁度、百年目である。韓国紙『中央日報』が伝えた次の二つの記事は興味深い。
  □ 【社説】外交界最大の行事、韓国位相高める機会に
檀君(朝鮮の伝説上の始祖)以来最大の外交行事とされるアジア・太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が12日から釜山(プサン)で開催されている。APECは、参加国間の国力の格差が大きく、関心事や利害関係が多様だ。そのため、毎回一つのまとまった合意に至るのはむずかしい、との弱点が提起されている。
だが、そうした弱点にもかかわらずAPECは毎回成長し、89年のスタート当時12カ国にすぎなかった加盟国が今や21カ国に拡大された。議題も、経済・通商分野から外交・安保分野に次第に拡大される傾向にある。とりわけ、米国・日本・中国・ロシアの超大国4国が、アジア太平洋地域の主要諸国首脳らとともに参加する唯一の会議だ。また、APECの21の加盟諸国は、全世界の人口と貿易規模の半分を占めている。
釜山会議では、これまで進められたAPECの成果を再確認し、ドーハ・ラウンド(世界貿易機関の新多角的貿易交渉)への中間評価を行ない、それに基づいて新たな発展の方向と、APEC加盟諸国共同の未来の座標を示す「釜山ロードマップ」を採択する予定だ。また、域内の両極化についても話し合われる予定だ。
専門家によると、APEC総会とAPECを前後にした超大国4国首脳らの首脳会談では、域内貿易問題のほかにも、韓半島和平・繁栄、北東アジアの躍動性が自然に提起される見込みだ。これと言った天然資源がない状況で、貿易と開放経済に国家経済の多くの部分を頼っている韓国としては、同行事を機に、韓国の貿易自由化や開放・改革などについての確信を植え付ける必要がある。
そうすることで韓国への投資を積極的に誘致する一方、米・日・中・ロシアなど主要諸国との個別の首脳会談を通じて、北朝鮮の核問題と同盟関係、通商問題、過去問題などをもう一歩進ませる契機を作らなければならない。8日間に予定されたAPEC日程の半分が過ぎた現時点までの評点は概して合格点だ。
釜山市民や国民の積極的な協力と参加、テロに備えた厳しい警戒態勢や治安維持のおかげだ。残りの期間も緊張を維持、最善を尽くし、韓国の位相を高めるもう一つの契機にするよう願いたい。

  □ <APEC>伝統の酒「千年約束」で乾杯...首脳らの夕食をのぞく
アジア・太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が18日から2日間、釜山(プサン)で開かれる。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領をはじめブッシュ米大統領、小泉首相、中国の胡錦濤・国家主席、プーチン・ロシア大統領など21の加盟諸国首脳らが出席する。
18日夕にはベクスコ(BEXCO・釜山展示コンベンションセンター)1階の展示ホールで、盧大統領が主催する夕食会が開催される。夕食会ではソプラノ曺秀美(チョ・スミ)、韓国伝統音楽の歌手・安淑善(アン・スクソン)、韓流スターBoAなどによる公演が行われる。18日、1回目の首脳会議が終われば、盧大統領が各国首脳と夫人・閣僚・CEO(最高経営責任者)ら約1000人をベクスコに招いて夕食会を行う。
前菜には、ホタテを添えた水参(掘りだしてまだ干していない高麗ニンジン)のサラダが提供される。続いて、栗のおかゆ、イセエビ焼き、自然マツタケとともに「ノビアニ」(宮中料理の焼肉)が提供される。その次の「ジンジサン」(お膳)では、栄養ご飯(松のみ、栗などを入れたご飯)と神仙炉(シンソンロ、韓国風寄せ鍋)、キムチ、チャンジョリム(牛肉のしょうゆ煮)、ナムル(和え物)などが出る。
デザートにはキョンダン(団子)、果物、ユジャファチェ(柚子の飲料)を用意している。釜山地域のシェフ100人余が動員された。乾杯には、韓国伝統の酒「千年約束」(メシマコブを発酵させたもの)と「宝海(ポへ)トックリイチゴ」が使われる。食事のときは、米カリフォルニア産のホワイトワインとチリ産のレッドワイン「モンテスアルファM」が提供される。

 韓国は、「亡国」から百年目にして、漸くAPECの場を利用して世界各国の首脳を自国に招けるようになったわけである。韓国メディアの「高揚」ぶりが伝わってくるような話である。しかし、晩餐会の席で各国首脳に提供するのが、韓国料理だけというのは、どういう配慮なのであろうか。
 雪斎は、韓国料理は嫌いではない。しかし、こうした各国外交団が集う宴席で最初から韓国料理を出すという感覚には、どうも疑問が残る。それは、日本での会議で、最初から日本料理をだすというのと同じことである。「各国首脳の中に、韓国料理が口に合わない人々がいるかもしれない」ということは、考えなかったのであろうか。
 日本では、こういう宴席では大体、フランス料理が出される。1998年に金大中韓国大統領が訪日した折、宮中晩餐会のメニューを見ても、韓国との「縁」を伺わせるのは、スープに入っていたという「マツタケ」しかない。因みに、かなりローカル色が強かった2000年の「九州・沖縄」サミット」首脳会同でも、その晩餐会で出された料理のメニューは、フレンチ・スタイルであった。使っていたのは、沖縄の食材ではあるけれども、それをフレンチ・スタイルにして出しているわけである。日本で開催される会同だからといって、「糠漬け」をそのまま出すようなことはしない。乾杯の際に使われたのも、泡盛をベースにしたカクテルであった。各国外交団に出すものは、「民族色」は、そこはかとなく漂えばいいのである。
 こうして考えると、鹿鳴館以来の近代日本の蓄積とは、相当なものであると思う。「民族色」、「独自色」を出してみたいという想いが先走れば先走るほど、それが何かしら奇異、異様なものとして受け止められるというのは、よくある話である。日本は、他人の流儀に乗じ、その流儀に沿って自分を適応させることにかけては天才的な能力を持つ国民性を有しているであろうけれども、そうした国民性は、日本を非西洋世界で真っ先に近代化を成し遂げた国にした原動力になっているのであろう。大体、「私、凄いでしょ」といっている御仁に、本当に凄い人物はいないのである。


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Comments

本題と関係ない話で恐縮ですが、雑誌「正論」のブログが出来ましたね。↓
http://seiron.air-nifty.com/seiron/
オピニオン誌で初めての試みですが、雪斎さんがよくお書きになる「中央公論」誌他オピニオン誌ではこういう試みはないのでしょうか?言論を活発にするのにすごく楽しみな企画だと思うのですが。。。

Posted by: 佐倉純 | November 19, 2005 at 02:54 PM

・佐倉純殿
「正論」編集部のUさんから貴殿のことは教えてもらいました。他の雑誌にも色々な動きがあるようですが、総合誌で先陣を切ったのは、「正論」だったということになるでしょう。「正論」編集部のO編集長は、その点では柔軟な感性の持ち主ですな。

Posted by: 雪斎 | November 19, 2005 at 03:20 PM

>大体、「私、凄いでしょ」といっている御仁に、本当に凄い人物はいないのである。

まったくその通りです。
私のやってる尺八の世界にもそんな人物がおりまして、仲間内では大顰蹙ものなのです。
ところが彼は売り込むのが非常に上手く、その針小棒大な虚言を大新聞(A社)がウラも取らずにデカデカと掲載したことがあるのです。
A社の体質には呆れますね。

Posted by: 笛吹童爺 | November 19, 2005 at 06:42 PM

韓国にはAPECに反対する方達がおられますが、
なぜAPECに反対するのでしょうか?
よろしければ教えてください。

Posted by: サウス | November 19, 2005 at 08:17 PM

>何時も、「祭り」に参加し損ねたという想いが
>残っていた。この十数年は長すぎた。

雪斎先生は、昔の祭りには参加できなかったか
もしらんですけど、これからの祭りには十分
参加できる資格をそなえてらっしゃると思います。

ああ、早く金貯めないと(爆

Posted by: おおみや%バイト君 | November 19, 2005 at 09:46 PM

起き上がれなくなるとは相当疲労が溜っておられたようですね。
これから冬になり、インフルエンザの季節も来る事ですからご自愛ください。
韓国は上昇指向が強いせいか、こういう国際的な舞台が来る度に「位相を高める契機にする」とか言いますが、日本人の目から見ると、力が入り過ぎのように見えます。
日本人って、国際会議のホストになった時に、それを上昇の為のバネにするような機会主義的な考えは薄いと思います。
ちょっとした差のようですが、この差というのは結構大きいかも。
個人的には韓国的な行きかたはすごく疲れそうです。
あんまりガツガツするなよと言ってやりたい気がします。

Posted by: T君 | November 19, 2005 at 11:59 PM

・笛吹童爺
いますね、そういう御仁が…。特に論壇の世界には多いです。
・おおみや殿
今度こそ「踊る阿呆」になってみたいものです。
・T君殿
「機会主義」自体は否定しませんが、余りにも見え透いているというのが、問題ですね。
・サウス殿
韓国でのAPEC反対論というのは、農業絡みだったはずです。

Posted by: 雪斎 | November 20, 2005 at 01:25 AM

>>雪斎様
教えてくれてありがとうございます。
自分でも調べてみます。

Posted by: サウス | November 20, 2005 at 09:52 AM

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