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October 06, 2005

「思想」のための「政治」ではない。

■ 昨日午前に大学で授業をやった後、午後国会事務所で愛知代議士と協議する。
 昔、愛知事務所のスタッフだった米国人H氏が、来訪する。H氏は、代議士や雪斎を含む他の秘書陣から「太ったね」と言われ、苦笑していた。H氏は、昔、とある米国東部名門大学の日本事務所を仕切り、ゴールドマン・サックス(だったかな…)を経て、今はコンサルティング会社を経営している。現在、米国政府で重きを成しているマイケル・グリーン氏が椎名素夫参議院議員のスタッフであったのは、知る人ぞ知る事実であるけれども、H氏も、その点は凄い人材である。往時、H氏がユダヤ系であるという話を聴き、「ああ、なるほどね。ユダヤ系米国人というのは、こういう実利的な人々なのか…」と妙に納得した記憶がある。H氏が本当にユダヤ系なのかは知らないが、そういう雰囲気が濃密に漂っているのは事実である。
 愛知代議士がH氏に「雪斎君はね、今では朝日新聞にも書くようになったのだよ…。産経新聞的ライト・ウイングとばかり思っていたけど…」と水を向けると、H氏は「雪斎さんはイデオロギーは余り関係がなかったような…」と応じていた。雪斎は、思わず黙る。H氏は、お見通しだったようである。

■ 話は色々である。『毎日』は、「<武部自民幹事長>造反議員の処分『今月中にやる』」という見出しで次の記事を伝えている。 
 自民党の武部勤幹事長は4日午前の記者会見で、先の通常国会で郵政民営化関連法案に反対し、無所属で衆院選に立候補した造反議員の処分について「党紀委員会が決める話だが、今月中に(処分)できるのではないか」と述べ、内閣改造・党役員人事を行う前の現執行部で決定する考えを示した。武部氏はこれまで処分時期について、来月22日の立党50年党大会までに決める意向を表明していたが、前倒ししたもの。武部氏は会見で「今月14日までに、各都道府県連に(造反議員による)公認候補への(選挙活動の)妨害があったかの報告書提出を求めている。その後に党紀委員会の開催を要請したい」と述べた。
 愛知代議士は、この党紀委員会のメンバーである。雪斎は、愛知代議士がどのような姿勢で「造反」議員の処分に臨もうとしているのかを知らない(知っていたら書けない)。ただし、「造反」議員に対する党内の雰囲気が、厳しいのは確かであるし、雪斎は、愛知代議士が党紀委員として「造反」議員を少なくとも積極的に弁護することはないのであろうと思っている。
 「造反」議員は、保守論壇から期待された人々が多い。だから、もし、「造反」議員に峻厳な処分が下されれば、保守論壇は、彼らに同情を寄せるであろうし、自民党現執行部には悪い感情を募らせるであろう。実際、今月号の保守論壇関係雑誌には、小泉内閣批判、小泉総裁以下の自民党執行部批判の論稿が目白押しである。雪斎は、「何を言ってるのだか…」と思う。造反「議員」の振る舞いは、戦の最中に自陣から総大将に矢を射掛けるようなものであった。こういう振る舞いは、世が世なら即刻、打ち首になるようなものであろうし、現代の民間企業でも間違いなく解雇の事由になる。政治家は、本質的に「個人店主」であるけれども、政党政治の世界では党に属する「組織人」である。「造反」議員が、「組織」の決定に逆らっても無傷であると高を括っていたとしたら、彼らは、「組織人」の自覚を欠いていたと断じざるを得ないし、そうした政治家には、先々に党という「組織」を切り回すことができるのであろうか。「造反」議員が一党を率いる立場になった際、自らの方針に反して造反する人々がでたら、彼らは、どうするのであろうか。「造反」議員の「思想」傾向のみに着目しようとする保守論壇は、そうしたことが理解できていないのである。
 特定の「思想」を実現するために、「政治」という営みがあるわけではない。「思想」は、様々な課題を解析し、「より弊害の小さい」(lesser evil)処方箋を用意するための枠組を提供するものでしかない。雪斎は、現下の保守論壇を毛嫌いするようになっているけれども、客観的には、相対的な保守系論客とは依然として目されているようである。ただし、雪斎は、必要が生じたならば、それまでの信条や持論と食い違うことぐらいは、平気で提言するだろうなと思っている。

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Comments

はじめまして
ブログを始めて数ヶ月の者です。永田町の雰囲気が伝わってきますのでいつも読ませて頂いてます。トラックバックさせていただきましたが、不慣れで3本もいれてしまいました。大変失礼しました。

Posted by: 榊雲水 | October 06, 2005 at 11:07 AM

>雪斎は、現下の保守論壇を毛嫌いするようになっているけれども、

当然だ、と思います。
今衆院選の周辺状況で明らかになったのは、サヨクだけでなくホシュも壊れていたという事でしょうか。
実はホシュの側も「守旧派」でしか無かった、と。

ホシュの側が振り回したアメリカ陰謀論も「アルカイダ=CIAの捏造」と同レベルの話であり、東大京大現役教授までが乱入しての左右対抗陰謀論コンテストの観を呈したと言って良いでしょう。

しかし選挙の争点が「現実の政策選択」であったにもかかわらず、ホシュ側の大半は「国家観が見えない」やら「小泉総理はサヨク」等の評価のしようも無いものとなりました。

なんだか陰鬱な気分になりますね。

Posted by: ぺパロニ | October 06, 2005 at 05:44 PM

・榊雲水殿
ありがとうございます。
貴殿のトラック・バックの件、同じものを三つ送って頂いたと勘違いし、「2」「3」を消してしまいました。再度、送っていただけるとあり難く存じます。

Posted by: 雪斎 | October 06, 2005 at 05:52 PM

・ペパロニ殿
御意に存じます。

Posted by: 雪斎 | October 06, 2005 at 05:56 PM

昨日のエントリーにHache先生がお寄せになった
コメントを、本日σ(^_^;も書きたくなってみた
次第です。(政策に限らず)秘書ってのは、その
センセイの識見やらお人柄やらの全てを表して
しまうもんなんですね。

Posted by: おおみや%バイト君 | October 06, 2005 at 07:28 PM

>必要が生じたならば、それまでの信条や持論と食い違うことぐらいは、平気で提言するだろうなと思っている。
「経済学者8人に質問したら9つ意見が返ってきて、そのうち2つはケインズからだった」みたいなエピソードがありましたですね。意見を変えることは決して悪ではないのだと、改めて思いました。

Posted by: やすゆき | October 07, 2005 at 05:23 AM

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