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September 08, 2005

「怪情報」も踊る浜松

■ 昨日夕刻、自民党本部では、東京ブロックから立候補した愛知和男氏の「激励の会」が開かれ、雪斎も参集した。愛知氏を前にすると、雪斎は、昔日の「政策担当秘書」として顔に戻る。「代議士、明日のインタビューでは、ここのところを強調しましょう」。「代議士、明日の会議では、○○の話題は避けたほうがよろしいかと…」。そのようなことを飽きるほどに愛知氏に進言していた時期の顔である。昨日も、愛知氏に色々と進言した。その中身を明かすことはできない。
 此度の選挙では、「保守・右翼」知識層の中には、大枠としては自民党の政策志向に近いにもかかわらず、「反・小泉」感情に眼を曇らせる余りに、「自民党には票を入れるな」と説く人士がいるらしい。しかし、選挙は、議員の「政治的な生死」を左右する戦争であるのであれば、こうした「保守・右翼」知識人の姿勢は、最も嫌われるものである。それは、横から手を出して他人の「命綱」を緩めるような振る舞いである。「政策志向が合えば自民党議員であろうと民主党議員であろうと構わない」というのは、平時の論理である。選挙という有事においては、「主義、信条の違いに構わず一票を投じてくれる人々は皆、有難い」という論理が優越する。前の「保守・右翼」知識人は、そうした「平時」と「選挙・有事」の論理の違いが全然、理解できていない。
 それ故、「普段は政策では自党の政治家と意見を異にしていても構わないけれども、選挙では自党候補の不利益になることは、一切やらない」。これが、「永田町」で「政策参謀」とする活動する際の「掟」の一つである。雪斎は、自民党に「縁」を持っているが故に、普段は色々な政策志向を持つ人々と付き合うことにしてるけれども、選挙戦中が自民党候補の不利益になりそうなことはできるだけ避けることにしている。繰り返しになるけれども、選挙は「戦争」である。
 ところで、此度の選挙戦中、最たる「怪情報」と思しきものが流れている。『毎日』が配信した記事である。

  □ 自民党:安倍氏、非公認・城内氏に「必勝メッセージ」
 郵政民営化法案に反対し自民党非公認となった衆院静岡7区の無所属前職、城内実氏の総決起集会が7日夜、静岡県浜松市で開かれ、安倍晋三同党幹事長代理に頼まれて応援に来たという天川由記子・水戸短大助教授が「安倍氏から『何としても勝ってほしい。(自民党公認の)片山さつき氏の応援には絶対行かない』というメッセージを預かってきた」と語った。
 城内氏は森派に所属し、安倍氏の側近として活動してきた。天川氏はさらに「安倍氏は『城内氏をいずれ(自民党に)戻すつもりだ』と言っていた」とも記者団に明かした。【稲生陽】―毎日新聞 2005年9月8日 0時30分

 いやはや、雪斎も「怪文書」「怪情報」の類にはだいぶ、接してきたけれども、これだけ壮大なものは余り見たことがない。
 もし、真実が記事に書かれている通りならば、安倍氏の振る舞いは、完全な「反党行為」である。安倍氏は、選挙戦最中に、「寝首を掻く」挙に出たわけであるから、それは、「本能寺における明智光秀」に類するものである。これは、党外に出て戦っている「造反派」よりも悪質である。今後、どのような政治情勢になろうとも、安倍氏の自民党政治家としての命運は、間違いなく終りである。
 もし、「毎日」が報じたことが虚偽であるならば、安倍氏のメッセンジャーを自称する天川由紀子なる人物の意図が、問い質されよう。天川氏が城内実候補と示し合わせて虚偽の発言をしたのであれば、その虚偽が明らかになれば、完全な「自爆行為」である。天川氏も城内氏も、「公人」としては信頼されざる人物に堕ちることになる。
 もっといえば、「毎日」は、ちゃんと「裏付け」を取らずに記事にしたことが、批判を集めるはずである。天川氏の証言の真偽なるものは、安倍氏に直接に確認すれば判然とすることである。「ダブル・チェック」を入れるのは、言葉を扱うことを生業とする人々の「基本動作」であれば、その「基本動作」は、先日の「朝日」だけではなく「毎日」においても守られていなかったことになるのである。
 この情報の真偽は判らない。だから、それは「怪情報」である。雪斎は、こういう「怪情報」が選挙戦中、ビラや週刊誌記事(今ではネット上)の形で流布することには、余り驚かない。しかし、雪斎は、こういう「怪情報」を六大全国紙の一である「毎日」が自らのサイトのトップ項目に載せていることに率直に驚いている。「毎日」は、この「怪情報」の信頼度に余程の自信を持っているということなのであろうか。
 投票日三日前、「そろそろ何かの爆弾が爆発する頃か…」と思っていたら、「爆弾」は、この「怪情報」であったようである。下らぬ話である。

 さて、「恋人も濡れる街角」(作詞・桑田圭祐)の替え歌である。

ああ 見慣れた選挙さえ
よく見りゃ阿呆に思えてく
ただ 一言でいいから
本当のことをを口にしてよ

嘘か真か人を迷わせる
「怪情報」も踊る浜松

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Comments

うーん・・・本当なのかどうか・・・
選挙戦術の一貫(もちろん、潰し)としてリークしたのかもしれませんね。

安倍さんは「情」というものが強い感じはしますね。
仲間意識というのか。一度は入ればなんとやらというのでしょうか。

逆に「情」一本槍で、老獪さが少ない所を感じます。

Posted by: パックス改め名無し@政経オタ | September 08, 2005 at 10:27 AM

この間某社で捏造記事があったばかりですから、
十把からげにして、新聞なんて相当まゆつばもん
だ、と国民に思われてる可能性がありますからねぇ。
安倍氏本人が記者会見でもすれば済むことです。

Posted by: おおみや%NEET | September 08, 2005 at 12:36 PM

この天川さんて人、昔新党さきがけから選挙に出てたみたいですが、何者なんでしょう。
http://www.kumagaya.or.jp/~jeiusa/senkyo/sangiinkekka.htm

Posted by: noname | September 08, 2005 at 04:25 PM

恋人も濡れる街角は中村雅敏が歌ったもので若かりし頃はやりました。浜松は愛知県に近くヤマハ等がり先進的な地域という印象もあり、また子供のころ身三か日にみかん狩りに地元代議士企画のツアーで家族で行ったところでもあります。未訪問ですが砂丘もあるはずで迷宮入りするような案件を生むかつきぬけるか、安倍さんと武部さんがバーターで応援するとかいう記事も見かけましたが、いろいろなものが渦巻いていますね。

Posted by: 星の王子様 | September 08, 2005 at 08:10 PM

議員秘書さんというと「センセイ」と呼びかけるイメージが世間的にはありますが、「代議士」と呼びかけるんですね。

ん?となると参院議員の秘書は「議員」?それともやっぱり「センセイ」?

Posted by: hsd | September 08, 2005 at 10:57 PM

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20050909k0000m010104000c.html

安倍さんと自民党は否定して、天川氏に発言の撤回を求める内容証明を送ったようです。

Posted by: yuki | September 09, 2005 at 07:21 AM

一応、事実を記そうと思います。
天川氏の発言は事実です。それは城内氏の後援会又は県議あたりに確認してください。天川氏は安倍氏のトリマキの1人ということで胡散臭い情報筋ですが、3000人超の人を前に実名で公言しています。平河あたりでは、「安倍はそういうこと言う人だから」という感じです。
でも安倍さん、片山氏も佐藤氏も応援行かなかったね。

Posted by: 某 | September 20, 2005 at 11:26 PM

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