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August 27, 2005

八代英太前議員への「公認」報道

■ 世は完全な「選挙モード」である。雪斎は、此度の総選挙は、日本の政治の風景を変える選挙であると思っている。ただし、評価の難しい出来事というのはある。『共同』が伝えた記事である。
  □ 自民、八代氏を比例で検討 郵政反対議員で唯一
 自民党執行部は26日、郵政民営化関連法案に反対票を投じ、公明党候補に譲る形で衆院選東京12区からの出馬を断念した八代英太前衆院議員を比例代表東京ブロックで当選圏内の名簿上位に登載する方向で調整に入った。自民党執行部は、民営化法案に反対した前議員を非公認とする方針を決定しており、公認されれば唯一の例外で、「ダブルスタンダード」との批判を呼ぶのは必至だ。
 自民党幹部が同日夜、「八代氏は、現在は郵政民営化に賛成だと言っていると聞いている。小泉純一郎首相が会って確認した上で出馬を要請する形になるのではないか」と明らかにした。
 同幹部は「(小選挙区)出馬を辞退したことでけじめはついている」と強調、「八代氏は福祉のエキスパート。自公連携も理由の一つだ」と指摘した。

 八代氏は、雪斎にとっては、愛知和男氏と並び、「恩義」のある人物である。雪斎は、大学院生の頃に氏の事務所に出入りさせてもらっていた。雪斎は、八代氏と同様に身体上の悪条件を抱えているから、氏が政治家として残した功績を承知してきた。氏は、様々な意味で「パイオニア」であった。ただし、雪斎は、氏における郵政民営化法案「造反」の論理を知らない。雪斎は、氏にとっては民営化法案が自らの進退を賭けてまで反対するほどの案件ではないはずだと思ったから、氏の「造反」には率直に驚いた。「造反組には公認を与えない」という自民党執行部の原則からすれば、氏が公認候補にならないのは、当然のことであるし、その「原則」を支持している層からすれば、氏を公認する動きは、「前言撤回」の類として批判されることになるであろう。
 もっとも、「総て物事には例外が存在する」。これは真理である。ただし、八代氏の公認が、この場合の「例外」たり得るのかは、これまでの「原則」を補強できるかに掛かっているといえるであろう。とかく「構造改革」路線に向けられる「冷酷無比」といった類の批判は、八代氏の公認という「救済」によって弱めることができるのか。さらには、「なぜ、例外が八代なのか」という疑問には、きちんと自民党執行部は答えられるのか。「例外」を設定することは、意外なほどにリスキーなのである。
 人間の世界は、「情」と「理」のせめぎ合いである。雪斎は、八代氏への「情」という観点からすれば、氏が公認を得て議席を維持するのを歓迎したいと思う。しかし、雪斎は、政治学徒としての「理」の観点からすれば、「一切の例外を認めない」という小泉総理周辺の決然とした姿勢が日本政治の新局面を開こうとしている折に、このような例外を設けるのは、決して賢明なことではないと思う。
 アナトール・フランスの有名な小説に、『神々は渇く』がある。岩波書店のサイトでは、次のように中身が紹介されている。「フランス革命の動乱にまきこまれた純心な若者が断罪する側からされる側へと転じて死んでゆく悲劇を描いた歴史小説.人間は徳の名において正義を行使するには余りにも不完全だから人生の掟は寛容と仁慈でなければならない,として狂信を排した作者の人間観が克明な描写と迫力あるプロットによって見事に形象化されている」。今、進行しているのが「構造改革」という「革命」状況であるならば、「構造改革」という名の神々は、その渇きの赴くままに幾多の人々の「血」を飲み干そうとしている。

■ 追記、28日夜、八代氏公認は見送りになったと報じられた。雪斎は、これが他の造反派議員だったら、はっきり「理」を説くことができたけれども、八代氏には「情」が入ってしまった。
 ともあれ、これで、小泉総理以下の自民党は、「構造改革」路線への評価を問う選挙に何の遠慮もなくなだれ込むことになるのであろう。この女御も、見事な「ワルキューレ」(戦乙女)に変貌されている。


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「国内政治」カテゴリの記事

Comments

この報道は本当でしょうか?

一種の観測気球ではないかと思うのですが・・・。

まだ公示前ですし、すでに「刺客」を立てた選挙区の「造反組」が、途中で賛成に転じたら、執行部には打つ手がなくなります。

もしこれが本当なら、小泉戦略の大崩壊です。理性的に判断してあり得ない選択だと思うのですが。

Posted by: 雪風 | August 27, 2005 at 03:25 PM

・雪風殿
 まだ確定的なことは何も出ていないようです。「検討」中と報じられています。ただし、ご指摘のように、「例外」を設けるというのは、かなりリスキーなのですよ。「例外」が「例外」でなくなる怖れがあります。この報道の「裏」は、何なのかと思います。

Posted by: 雪斎 | August 27, 2005 at 03:44 PM

私もこの報道に関しては、ありえない選択と思っています。
八代氏を公認した時点で雪風さんがおっしゃるように、ぶれない小泉改革路線の崩壊と考えています。

造反議員の中で「例外」が適用できる方がいるのか、私なりに考えてみましたがいないと思います。

この報道、ちょっととまどっています。

Posted by: 波導 | August 27, 2005 at 06:56 PM

同じ例外でも、落下傘候補の比例優遇とは
ちがって原則崩しですからねぇ。重複立候
補者より下位であったとしても、理解を得る
のは難しいでしょうね。

Posted by: おおみや%NEET | August 27, 2005 at 07:12 PM

続報では、「執行部幹部の発言」から「首相の発言」になっているようです。さらに不可解。
各紙とも「批判必至」とのコメントつき。当然だと思います。

小泉さんだけでなく、八代氏にとっても、ここでの「変節」はデメリットしかないと思うのですが。

八代氏に捲土重来の余地を残したいのなら、次の選挙でもいいわけです。その間に政治家としての命脈を保って力を蓄える方法ならいくらでもあるはずです。

郵政の次には年金、福祉、高齢者と重要案件がずらりと控えてますので、八代氏としては、本来の主戦場に「硬骨漢」として華々しく返り咲くほうがよほどいい。
ポスト小泉が取り沙汰されるご時勢ですから、八代氏の実績ならばいくらでも「次」があると思うのですが・・・。

Posted by: 雪風 | August 27, 2005 at 08:54 PM

次の参議院選挙では公認を受けることができるのではないでしょうかね。
年齢的なことがあるのでしょうか。

Posted by: さぬきうどん | August 27, 2005 at 10:11 PM

・雪風殿
・波導殿
・おおみや殿
・さぬきうどん殿
 岡田氏や綿貫氏が一斉に批判し始めましたね。現在の段階で、八代氏公認をやらないと決めたとしても、「野党の批判に屈した」という印象が付くのは、避けられないでしょう。
 だとすれば、もっと野党の批判を盛り上げさせて、その上で「八代氏は余人を以て代え難し」の論理で断固として八代氏公認に踏み切ってくれたほうが、小泉イメージに沿うでしょう。
 まさか、これを最初から狙った…わけではないだううな。まさか。

Posted by: 雪斎 | August 27, 2005 at 11:24 PM

少々気になることがあったので、初めて書き込ませていただきます。
今回の八代氏の公認問題は、参院対策ではないでしょうか?
ここのところ、郵政民営化法案が参院で再び否決された場合は、来年の総裁任期切れ後も、小泉総理に総裁職の続投を望むという声がちらほらと出て来ております。
総裁任期を延長し、次の参院選挙を戦い、そこで郵政に完全決着を付けようとの意向からです。
これは、先の参院で郵政民営化に反対票を投じた議員達にとっては、恐るべき事態ではないでしょうか?
このままだと次の参院採決では、前回の反対を翻し、小泉総理へのいわば屈辱的な屈服を受け入れるか、自民党公認という生命線を断ち切り、離党覚悟で反対するかの二者択一しか彼らには残されていません。
前者ならば、次回の選挙で日和見主義者の烙印を押されることでしょうし、後者ならばそもそも議席すら危ういという状況になります。
新党結成などで、反対勢力の地図はほぼ出来上がって来たこのタイミングで、失意に暮れる穏健な勢力を抱え込むのは、そう悪い策では無いように思いました。
特に比例区のみで立候補を公認する、という所が参院選を連想させ、参院での反対派をこれ以上強硬化させずに、賛成に転じさせる、幾ばくかの効果はあるような気もします。
もっとも、上記に関しては、次の衆院選で自公連立が継続したと仮定しての話でなのですが。
ともかく、完全に敵対しない者に対しては、きちんと落し所を付けるという、これも小泉流の喧嘩術の一つなのでは、などと政治素人が愚考してみた次第ですが、長々と書いた割にあまり自信がありません。(汗

政治に対する新たな見方を教えて頂ける、このBlogを、いつも楽しみにしております。
残暑も厳しい毎日ですが、雪斎さま、御自愛ください。
横槍、乱文失礼致します。

Posted by: depous | August 28, 2005 at 01:19 AM

 ジャンク情報です。

 実は私、民主党の「モニター登録者」です。昔はサポーター党員で党首選に参加したこともありました。
 で、ですぜ。

>第27回『世党@net』アンケートのお願い(8/27~29)
>Q4. 衆院選後、民主党、または自民党、どちらの政党の政権を期待しますか?
※この設問は必須です。
 民主党単独政権
 自民・公明党政権
 民主党と他党との連立政権
 いえない・わからない

 現状では、どうしようもなく、「いえない・わからない」を選んでしまいました。だって「自民党単独政権」という選択肢がありませんから。
 民主党さん、何のために調査しているのかな。もう少し考えてください。
 民主党調査局長・長妻昭さん、お願いします。
 ほかもひどい調査で、選択肢がないんです。
 今時こんな調査やっているようじゃ、間に合わないか?

Posted by: さぬきうどん | August 28, 2005 at 02:37 AM

これもジャンク情報ですな。武部幹事長が、
今一度八代氏の郵政民営化に対する賛否を
問いたい旨発言してるようです。

http://news.goo.ne.jp/news/jiji/seiji/20050828/050828X263.html

Posted by: おおみや%NEET | August 28, 2005 at 05:54 PM

この件は基本的には公明党問題でしょう。次期党首候補の太田昭宏氏のために公明党がゴリ押ししてきたってトコだろうと思います。
総理にしても八代氏が民営化賛成と言えば矛盾はなく、反対といえば公明への言い訳と自身の信念を貫く姿勢を更に明確に出来るわけでして。

Posted by: シャイロック | August 28, 2005 at 07:19 PM

公明党説が一番納得できます。
総理としても、公明党のキャスティングボードを封じるためには、多少融通を利かせるのも仕方がないというところでしょうか。

Posted by: Baatarism | August 28, 2005 at 07:40 PM

・depous殿
どうも。参議院の扱いは、後々大きな問題ですな。
・さぬきうどん殿
その「自民単独政権」がないぞというオチは、笑えました。
・おおみや殿
この時期の情報は色々ありますな。
・シャイロック殿
・Baatarissm殿
「公明ファクター」の大きさは、いうまでもないことなのですが、この政党も、小選挙区制という制度に対応できていない。案外、小選挙区では候補を当選させられないという現実を見せ付けられる選挙になりそうな気がします。

 *「八代氏公認見送り」の報が出ています。
  これも真偽の判らん情報です。

Posted by: 雪斎 | August 28, 2005 at 08:17 PM

勢いで。
八代英太氏、無所属で衆議院東京12区から無所属で立候補するとのこと。
自民党執行部、八代氏ともに意地と道理を貫きましたね。健闘を祈ります。

Posted by: さぬきうどん | August 28, 2005 at 11:30 PM

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