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August 31, 2005

2005年夏、日本政治の対立構図・続

■ 先刻、「2005年夏、日本政治の対立構図」と題されたエントリーを書いたところ、「これを三次元マトリックスにして考えたら面白いのではないか」というコメントを頂戴した。今後、二、三日(長くて今週一杯)、エントリーの更新を中断することになるので、この三次元マトリックスにおける位置付けを政党・政治家評価の参考にして頂きたいと思う。

 先ず議論の前提として、政府機能を「基幹」機能と「末梢」機能に分ける。
 ① 外交・治安維持・国防 、教育
 ② 民生安定・国土開発・産業振興
 マックス・ウェーバーの定義に待つまでもなく、国家の国家たる所以は、「暴力装置」の独占にあり、その目的は、「対外的な独立の確保と対内的な統一の維持」にある。この方面での政府機能を「基幹」機能とする。この機能の意義を相対的に強調するのが「タカ派」であり、抑制的に考えるのは「ハト派」ということになる。
 これに対して、「末梢」機能とは、「民間にも出来るはず」の政府機能である。
 この二つの政府機能への姿勢に加え、対外政策の基本方針を基にして、xyzの三つの軸を設定する。

 x軸 「基幹」機能への認識
    弱い政府・ハト派 - ←・・・・・→ + 強い政府・タカ派
 y軸 「末梢」機能への認識
    大きな政府    - ←・・・・・→ + 小さな政府
 z軸 対外政策の基本方針
    対米自主指向  - ←・・・・・→ + 対米同盟重視

 このxyz軸によって作られた三次元マトリックス(空間座標)の上に、最小-4、最大+4の範囲内で、現在の日本の政党、政治家、メディア、知識層の政策指向を位置付けてみる。ただし、これは、たんなる印象論である。

 □ 政党の平均的な志向
  自民党/ 小泉同調系(3,2,3)、反・小泉系(3,-2,3)
  公明党/(-1,-1,-1)
  民主党/小沢系(3,3,1)、鳩山系(1,3,2)
         菅系(-1,3,-1)、横路系(-3,-3,-3)
  共産党/(-4,-4,-4)
  社民党/(-4,-4,-3)
  国民新党/(3,-3,3)
  新党日本/(3,-3,3)、但し田中康夫自体は(-2,3,-2)

 □ 政治家の政策指向
  小泉純一郎(1,4,4)、山崎拓(3,3,3)
  安倍晋三(4,1,4)、福田康夫(1,3.1)
  平沼赳夫(3,-3,1)、加藤紘一(-2,-1,-2)
  小沢一郎(3,3,1)、鳩山由紀夫(1,3,2)
  菅直人(-1,3,-1)、横路孝弘(-3,-3,-3)
  福島瑞穂/(-4,-4,-3)
  亀井静香(3,-3,1)
  田中康夫(-2,3,-2)

  中曽根康弘(4,0,2)、宮沢喜一(-2,-2,4)
  石原慎太郎(4,3,1)、
 
 □ メディアの論調
  読売/(3,2,3) 朝日/(-1,2,-1)
  毎日/(-1,2,-1)、日経/(1,4,0)
  産経/(4,2,4)

 □ 知識人
 雪斎 / 昔(4,4,4)、今(1,3,4)
       憲法典第9条の改訂が成れば、(-2,3,4)になる予定である。

 小泉純一郎総理は、実は一般に思われているほどには「タカ派」色を濃くしていない。郵政民営化のような「末梢」機能に絡む「政策課題への強烈な指向に比べれば、「国家の威信」に絡む課題に熱心に関わっていたわけではない。(1,4、4)というのは、そうした意味が含まれている。
 自民・公明連立の行方は、 自民党小泉同調系(3,2,3)、反・小泉系(3,-2,3)、公明党/(-1,-1,-1)の空間座標の距離を近いと見るか遠いと見るかで変わってこよう。それにしても、新党日本は、政策指向上、酷い政党である。

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Comments

こういうエントリーのコメントには、自分はどうかを書くのがお約束でしょうから、ちょっと考えてみました。

x軸 「基幹」機能への認識
基本的には強くあるべきだが、時には妥協や寛容も必要なので、2

y軸 「末梢」機能への認識
リフレ政策の支持者なので、「マクロ介入、ミクロ非介入」が原則。是々非々な態度なので、0

z軸 対外政策の基本方針
対米同盟重視だが、あまりべったりなのも心配なので、3

というわけで(2,0,3)となりました。

Posted by: Baatarism | August 31, 2005 at 01:38 PM

ふむ、では私も。

x軸「基幹」機能への認識
 外交・安保だとまだ分かりやすいのですが、内政面でも現在の経済発展段階における基幹機能は政治的にはかなり自明で(高レベルサービスを国民が当然視している)、様々な調整が実政策上の主体となることが多い。なので、国民の皮膚感覚的には0に見せつつ実質は4というところか。

y軸 「末梢」機能への認識
 日本人の求める社会は、アメリカのように市場重視では出来辛いかもしれません。個人的な信念は+1ですが、自分が政治家の立場なら-1で行動します。

z軸 対外政策の基本方針
 4です。冷静に考えると、対外的なポジションで米国は一番連携を取りやすい国です。集団的自衛権のかなりの行使に日本が踏み込めば(例えばNATO参加国程度に)3ですかね。欧州と日本の知的頽廃が解消されるまではこの客観情勢は続きそうです。

Posted by: カワセミ | September 01, 2005 at 12:48 AM

σ(^_^;自身コメントを書いてて、このx,y,z
軸の一次独立性(違う観点になってるか否か)に、
いまいち自信を持てなかったのです。しかるに、
雪斎先生の明快なご説明。さすがでございます。
やはり、餅は餅屋ですな。

Posted by: おおみや%NEET | September 02, 2005 at 11:33 PM

ううむ。面白い!
何度読んでも面白いです。

Web上で空間座標が出現したときにはたまげてしまいました。

私自身、学問的環境から遠ざかってしばらくたつので不明を申し訳なく思うのですが、こういった分析枠組みは、よく使われるようになったのでしょうか?

3次元マトリックスによる政治分析というのは、学問的な新地平なのではないでしょうか?

天下の東大のセンセイにこういうことを申し上げるのは失礼を承知なのですが、雪斎先生はとんでもない学問的境地を私たちに見せてくださってるのはないかと驚いた次第。(しかも「ロハ」で)

学問的な魅力もさることながら、折りよく実際の政界の政策論議が収斂されてきたこともあり、実践的分析枠組みとしても衝撃的なコンセプトです。

「日本政治学」が田舎学問から、世界に伍するまでに飛躍する可能性を感じました。

(ちょっと興奮しすぎでしょうか?^^;)

Posted by: 雪風 | September 03, 2005 at 12:22 PM

はじめまして。いつも記事読ませて頂いています。
政治的立ち位置を3次元マトリクスで表すと言うアイディアはすばらしいです。これがコメントのやりとりから出てきたというのがBlogの良いところだと思います。
ところでこうした図は、3次元ともなるとなかなか判りづらいと思うので勝手に3次元化した図を作ってみました。もし宜しければリンク先の記事にありますのでご覧ください。
(重複しますがTBもさせて頂きました。)

Posted by: fukuma | September 21, 2005 at 12:39 AM

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