政治家の「言葉」のマネージメント
■ 一昨日のエントリーでも言及した参議院議員のブログが閉鎖されるようである。雪斎は、「この議員はブログを閉じたほうがよい」と書いたけれども、その通りになった。それは、「傷を大きくしない」という点では賢明な判断であったと思われる。この議員が、あのままブログを続けていたら、さらなる「舌禍」を呼び込んでいたことになっていたであろう。雪斎は、昔は政策担当秘書として政治家の「言葉」のマネージメントを手掛けていた経験があるので。政治家の言葉が「どのように受け止められるか」に関心が強い。
米国の政界の風景で特徴的であるのは、スピーチ・ライターという「言葉番」がいるということである。日本の政界では、それぞれの政治家の「金庫番」がいるにもかかかわらず、何故か「言葉番」がいない。これは、まったく困った風景なのである。前に紹介した参議院議員は、「アメ公」という言葉を使ったけれども、日本人に対して「ジャップ」という言葉を用いたのと同様の振る舞いをした事実を米国政界関係者に知られたら、この議員は、対米関係絡みでは大したことはできなくなる。ブログは、日本人だけが読んでいるとは限らないのだから、わざわざ隙を見せるようなことはしてはならない。「言葉番」がいれば、「言葉」を徹底的にチェックして、その政治家の「プラス」になる言葉だけを取り上げて、「マイナス」になる言葉を排除するという「消毒作業」をやったはずであるであるけれども、そうした「消毒作業」ができる人物は、多くはないのである。
もっとも、「消毒された言葉」を歓迎する人々も、あまりいない。政治家の世界は、曖昧模糊としたところがあるから、たとえ放言癖の傾きがあっても「いいたいことを平気でいう」政治家は、歓迎されるのであろう。だから、ブログは、「政治家の本音」を知るツールとして期待されるし、政治家は、その期待に応えることで人気が高まると錯覚して、「本音」を語ろうとするl。しかし、政治家には、「本音」を語る必要はないのである。
因みに、雪斎は、言論を披露する媒体を「服装」になぞらえれば、次のようになるのではないかと思っている。無論、これは政治学者としての印象であって、総ての人々にあてはまるものではない。
学術論文 - 燕尾服
活字メディアに載せる論稿 - スーツ
コラム - クールビズ・スタイル
ウェブ・サイト、ブログ - 室内着(ジーンズ・ティーシャツ)
本音 - パンツ一丁、下着姿。
こういうところでしょう。たとえ学者であっても、ブログでも「本音」は書けないし、書いてもいけない。これは、ブログを実際に運営してみて実感することである。
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Comments
面白い定義づけですね。自らの戒めとさせていただきます。
近頃道学者のような議論を平然と垂れ流す経済学者やら、ランニング姿で「報道」を語る方々など目に付き、暑苦しい季節に不快指数が一段と上がります。
Posted by: 小規模投資家@まだまだ含み損 | July 25, 2005 10:01 AM
政治家に限らず、「言語力」を生業とするはずの職業に就いている人々の言葉から、肺腑を衝くようなものが聞かれなくなっている様に思われます。
あるのは今回のような俗悪なアジテーションの類のみで、このような傾向は社会にシニカルな雰囲気を蔓延させるだけで、何の足しにもなりません。
個人的な印象ですが、今の日本は、魂のこもっていないゾンビの様な言葉が跋扈する「ゾンビ社会」といった様相を呈しつつあるのではないでしょうか。
Posted by: yu_19n | July 25, 2005 10:53 AM
おもしろいブログだったのに残念ですね。
こういう発言をすると、キワモノ扱いになっちゃって、その他の発言(鋭いものも含め)も「また言ってる」で終わってしまうから残念です。
「服装」での分け方、すごくわかりやすいですね!「部屋着も上質なものを着よう」と女性誌に書いてありましたが、下着に至るまで手を抜いてはいけないという教えはすべてに通じるのですね
Posted by: さくら | July 25, 2005 11:54 AM
御意であります。何でもかんでも言っていい、書いていいと考えている奴が多すぎます。自分のおかれている場所が認識できないんです。政治家とは、まさに言葉が命、ジャーナリストも同じです。自分達の力をしるからこそ謙虚にならなければなりません。「ペンは剣より強し」ですが、然るに謙虚になれ、が付け加わります。
Posted by: ぐっち | July 25, 2005 01:01 PM
今話題のこの人(↓)なんか、内情はドロドロしているはずなのに、抑制の効いた発言で好感度を高めています。アクセスが増えても、こんな風でありたいものですね。
http://shibuya.ameblo.jp/
Posted by: かんべえ | July 25, 2005 02:48 PM
何事も道具を使う前には、その使用方法を熟知してから使う方がよろしいですね。ブログはまだ使い方がよく知れてないのでしょうね。その政治家はブログを「公開日記」としてお使いのようですね。著名な作家や言論人てのは自分の亡き後、公開されるであろう日記をしたためておくのだと、高校生の頃、現国の先生に教えられました。それぐらいの器量じゃないとね。
Posted by: ちびた | July 25, 2005 05:05 PM
追伸です。
是非、定義に加えていただきたい服装があります。
国会での討論⇒「戦闘服」
Posted by: ちびた | July 25, 2005 05:15 PM
言葉の使い方についていろいろと考えさせられる日
でした。
>ウェブ・サイト、ブログ - 室内着(ジーンズ・ティーシャツ)
で、いかに事態の本質をつく適切な表現をするか、
今後とも弊駄文集で追求していく所存でございます。
Posted by: おおみや%NEET | July 25, 2005 10:02 PM
皆さん、ありがとうございます。
だんだん年齢を重ねると自分の評判を落としたくないという想いが働き、万事、慎重になって来るものです。その中で、いかに「新しさ」を模索できるかを考えたいと思います。
Posted by: 雪斎 | July 26, 2005 09:38 PM