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June 16, 2005

テレビ・ドラマも世につれ…

■ 昨日、TBS系で『赤い疑惑』のリメイク版が放映される。1970年代半ばに放映された旧版は、山口百恵さんの芸能界での地位を確立した作品と評される。雪斎は、四半世紀以上もの昔の旧版を観ていたので、どのような按配のリメイク版になるのかを関心を持っていた。
 ドラマ自体の評価は脇に置くとして、雪斎は、『赤い疑惑』に限らず、昔日の日本で制作されたドラマには、共通項があるのではないかと思う。それは、「ある程度、恵まれた家庭の娘に振りかかる不運」ということである。山口百恵さんが出演し、今年にリメイク版が制作されることになっている『赤いシリーズ』でのヒロインの設定は、「疑惑」は、大学医学部助教授の娘、「衝撃」は、会社社長の娘、「運命」は、検察官の娘というものだったはずである。こうした当時の標準(今でも、そうかもしれないけれども…)では誠に羨むべき家庭の少女の「不運」は、たんなる少女の「受難」以上に、ドラマになりやすいものなのであろう。

 この点に関連して興味深かったのは、『日本のお金持ち研究』 (橘木俊詔・森剛志共著、日本経済新聞社)という書である。橘木教授といえば、「社会格差」論で高名な人物であり この書も、「金持ちの実態」を実証的に説き起したものである。この書では、日本の金持ちは、「創業者経営者」と「地方の開業医」を典型とすると記されている。巷間、金持ちのイメージは、「長者番付」に登場する芸能人やスポーツ選手であるけれども、実際には、誰でも切望する「富」に近付く経路は、会社を起こして成功するか医者になるかなのである。『赤いシリーズ』は、そうした「成功者」の家庭の「不運」を描いたものであったといえなくもない。
 ところで、『赤いシリーズ』のような「重たい」ドラマは、1980年代半ば以降、全く作られなくなった。世が「バブルの狂騒」の最中にあった一九八〇年代後半から九〇年代に掛けて作られたドラマの中で、雪斎の印象に残っているのは、『ニューヨーク恋物語』(フジテレビ系)と『過ぎし日のセレナーデ』(フジテレビ系)しかない。『ニューヨーク恋物語』は、物語の全編がニューヨーク・ロケで占められていたという点で、「金余りの日本」を象徴するドラマである。『過ぎし日のセレナーデ』に関していえば、こちらのサイトが詳しい。雪斎は、昔日、この話のモデルは、堤清二・義明兄弟のことかと思っていた。この二作品は、どちらも田村正和さんが主演だった。しかし、同じ時期に作られた他のドラマは、全く記憶に残っていない。
 因みに、最近の作品でいえば、『天国への階段』(日本テレビ系)が、白眉であろうと思う。これもまた、逃れられない「血の宿命」と「野心」が絡み合ったドラマであった。このドラマで佐藤浩市さんという俳優の演技が、ますます楽しみになった。
 雪斎は、テレビ・ドラマは割合、観るのが好きである。テレビ・ドラマは、「時代を映す鏡」である。次には、どのような作品が世に送り出されるのであろうか。

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Comments

大映ドラマはどうでしょう。『スクールウォーズ』を見て何度泣いたことか。ライジング・サンは『太陽にほえろ』の太陽とともに私の心に焼き付いています。
90年代のドラマでは、『大地の子』に感動しました。
以前、外交官を主人公にしたドラマについて言及されていましたが、80年代に吉田栄作、90年代に金城武が外務省員を演じたドラマがあったかと思います。

Posted by: やじゅん | June 17, 2005 at 12:38 AM

雪斎様
失礼ですが、相当なテレビドラマ・フリークではと思います。
私はドラマのクールが始まるとき、できるだけ初回は見るようにしています。
日垣隆というジャーナリストがいて、私は彼のメールマガジンを購読していますが、この人も相当なフリークですね。
私自身、現在失業中なので、どうしても再放送のテレビドラマとか2時間サスペンスドラマを見てしまいます。見ている場合ではないのですが。
今、コンフェデレーション・カップで日本対メキシコ、柳沢が先制点を入れました。
お休みなさい。

Posted by: さぬきうどん | June 17, 2005 at 01:15 AM

近年、ほとんど見なくなりましたが、昔は本当にテレビっ子でした。

やじゅんさんご指摘の大映ドラマ、本当におもしろかったですね!『スクール・ウォーズ』は、滝川先生とともに毎回号泣していました(イソップ!)。いちばん忘れられないのは『ヤヌスの鏡』です。多重人格という重いテーマのはずが、主題歌とか、最初の深刻な声のナレーションとか、いま考えると笑えるんですよね♪
『大地の子』も、原作のイメージをこわさず、とてもよかったです。中国のお父さんがイメージどおりの人で、泣きました

Posted by: さくら | June 17, 2005 at 09:53 AM

うーん、みなさん記憶力が抜群で驚きです。今回は取り上げられていないのですが、大河ドラマの影響は侮れなくて塾でアルバイトをしていた頃、ある講師が生徒に「江戸幕府は何代続いたか?」という問題を出したら、「三代」と答える女の子がいて大笑いになりました。
「ねえねえ、『てんのう』っていまでもいるの?」と来たときにはさすがにみんな目が点になりましたが。地元の進学校に進学しましたが、講師どうしで「日本の未来はけっして暗くない」と励ましあっていたことを思い出します。

Posted by: Hache | June 17, 2005 at 02:27 PM

やじゅん殿
さぬきうどん殿
さくら殿
hache殿

この件、またエントリーを用意いたします。
暫時、お待ちください。

Posted by: 雪斎 | June 18, 2005 at 02:54 AM

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