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June 24, 2005

思えば遠く来たもんだ…。

■ 昨日未明、FIFAコンフェデレーション・カップ、日本・ブラジル戦を観る。ただ、「惜しかった…」という他はない。「この試合は勝てたな…」と率直に思う。

■ 昨日昼過ぎ、『中央公論』「時評2005」欄の最新原稿を脱稿させて、提出する。此度の原稿は、本当に執筆作業が「難航」した。担当編集者のT氏からは喜んでもらえた原稿になったので、とりあえず安堵した。昔、雪斎は、『中央公論』に連載コラムを書くのは「夢」の一つだと思っていたけれども、実際の「フィールド・オブ・ドリームズ」は、難儀な舞台である。セ・ラ・ヴィ。

■ 『溜池通信』「不規則発言」欄によると、かんべえ殿は、山口・中原中也記念館を訪れたそうである。中原中也といえば、この写真の肖像が有名であろう。雪斎は、中原中也には、奇妙な「縁」がある。十数年前、二十歳代半ばの頃に雪斎の写真が『朝日新聞』に載ったことがあった。それは、雪斎の東京大学移籍を「壮挙」として伝えた記事だった。新聞写真を見た北海道大学時代の友人たちが、「ああ、中原中也だ…」と口々に言いながら笑った。なるほど、その写真は、物憂げな雪斎の表情を伝えていた。そして、友人の一人が決定的なことを言い放った。「この写真さぁ、○○(雪斎の本名)をまったく逆のイメージで伝えている。黙認した○○は詐欺師だな…」。

 それから、十数年、中原中也の詩の一説を借りれば、「思えば遠く来たもんだ」と思う。札幌の「光溢れる六月の風景」は、すっかり遠くなった。

  ◆ 頑是ない歌

思えば遠く来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気は今いずこ

雲の間に月はいて
それな汽笛を耳にすると
竦然として身をすくめ
月はその時空にいた

それから何年経ったことか
汽笛の湯気を茫然と
眼で追いかなしくなっていた
あの頃の俺はいまいずこ

今では女房子供持ち
思えば遠く来たもんだ
此の先まだまだ何時までか
生きてゆくのであろうけど

生きてゆくのであろうけど
遠く経て来た日や夜の
あんまりこんなにこいしゅうては
なんだか自信が持てないよ

さりとて生きてゆく限り
結局我ン張る僕の性質さが
と思えばなんだか我ながら
いたわしいよなものですよ

考えてみればそれはまあ
結局我ン張るのだとして
昔恋しい時もあり そして
どうにかやってはゆくのでしょう

考えてみれば簡単だ
畢竟意志の問題だ
なんとかやるより仕方もない
やりさえすればよいのだと

思うけれどもそれもそれ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気や今いずこ

    -詩集『在りし日の歌』-

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Comments

時の流れってものは実に偉大です。ロハで読めるが
ゆえに、マスコミの存在意義を問われるようなblogの
作者を育て上げてわけですから(笑

Posted by: おおみや%NEET | June 25, 2005 at 12:49 AM

・おおみや殿
それは拙者のことですか。
あの東洋経済の記事は少し実際からずれているかも・・・

Posted by: 雪斎 | June 25, 2005 at 04:51 AM

温泉街と文化人は妙に相性が良いようです。伊香保温泉には、竹久夢二の記念館があって、これがなかなかに充実しておりました。
「人を訪ねる観光」は良いものですね。

Posted by: かんべえ | June 25, 2005 at 01:47 PM

・かんべえ殿
一ヶ月、温泉に浸かりながら書を著すのが、拙者の願望なのです。あ、その前に、一緒に温泉に行ってくれる女房を探さないと…(苦笑)

Posted by: 雪斎 | June 28, 2005 at 12:24 AM

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