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June 30, 2005

日中関係は今が「底」か。

■ このところ中国ネタを扱っていると、精神が荒んで来そうなので、バランスを取る意味で次の三つの記事を考えてみる。

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June 29, 2005

中国における「外交感覚」の劣化

■ 雪斎は、大学の授業でTBS制作のテレビ・ドラマ『関ヶ原』(原作/司馬遼太郎)のDVDを学生に鑑賞させている。印象深いのは、西軍の敗勢が決まった後で大友柳太郎さん演じる島津義弘が「すてかまりの戦法」の選択を決断する場面である。
 義弘 「敵中ば突破する」。
 豊久 「て、敵中ば突破!?」。
 義弘 「そいに決めた。そいしかなかっ」。
 島津勢の「すてかまりの戦法」は、後の薩摩・島津家の存続の裏付けとなった。徳川幕府は、島津家を取り潰そうとした折に支払わなければならない「代償」の大きさを予感したのである。0
 昨日のエントリーで紹介した五百旗頭眞先生の著書『日米戦争と戦後日本』では、サイパンや硫黄島のような中部太平洋諸島、さらには沖縄での戦闘は、この「すてかまりの戦法」の効果を持ったことが説明されている。これらの戦闘では、米軍将兵の損失が以前の戦闘よりも大きくなっていて、米国政府は、日本本土進攻作戦を実行に移した場合の犠牲の大きさを予感したのである。そして、本土進攻作戦が避けられたことは、日本国民にとっても幸運であった。
 此度の天皇皇后両陛下のサイパン島行幸は、「第二次世界大戦中の『すてかまり』戦法」に散った多くの人々を慰霊する意味合いを持つものであったろう。天皇陛下は、「先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼する」こと此度の行幸の目的とし、日程終了後に川島裕式部官長を通じ「慰霊の一連の行事がつつがなく終わって本当によかった」と感想を述べられた。

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June 28, 2005

『日米戦争と戦後日本』

■ 昨日、五百旗頭眞先生の著書『日米戦争と戦後日本』(大阪書籍, 1989年/講談社[講談社学術文庫], 2005年)を読了する。さくら殿のブログで文庫になっていたのを知り、慌てて購入し読んだわけである。五百旗頭先生の主著といえば、次の三冊であろう。
1、『米国の日本占領政策――戦後日本の設計図(上・下)』(中央公論社, 1985年)サントリー学芸賞受賞
2、『占領期――首相たちの新日本』(読売新聞社, 1997年)吉野作造賞受賞
3、『戦争・占領・講和――1941-1955』(中央公論新社, 2001年)
 

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June 27, 2005

「拉致議連」の閑古鳥

■ 前のエントリーで米国の対朝政策の歯車が回るのではないかという展望を書いたけれども、イランで「サプライズ」が起こった以上、また様子見モードになりそうである。米国にとって、イランは、「昔、散々、入れ込んだ挙句に裏切られた恋人」である。少なくとも、一九七〇年代後期、イスラム革命が起こるまでは、イランは、米国にとっては「中東における安定の島」であった。1973年10月の「石油戦略」発動の折にも、イランは、その列に加わらなかった。そう「した「蜜月」を終わらせたのが、イスラム革命だったのである。そうであればこそ、革命以降は、米国はイラン潰しに躍起になった。一時期、米国がサダム・フセイン体制下のイラクに肩入れしたのも、そうした事情による。総ては、「イランに裏切られた」ことから始まった話である。
 こうしたイランでの対応が仕切り直しになる以上、米国政府部内に「イランが先。北朝鮮は二の次である」という雰囲気が出てきても、おかしくない。もっとも、日本の政治家も、そうした雰囲気を察しているようである。『産経新聞』の記事は、「拉致議連、休眠状態…政府の消極姿勢“感染” 『民主もやる気ない』批判も」の見出しで次のように伝えている。


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June 25, 2005

北朝鮮情勢は動くのか。

■ 北朝鮮絡みで気になる記事が三つ報じられた。米国も、「本気に」なり始めたようだと予感させる記事である。

 【ワシントン 22日 ロイター】 米国は22日、北朝鮮に対して5万トンの食糧支援を行うと表明した。ただ、支援は人道的見地から決定されたもので、北朝鮮の6カ国協議復帰に向けた外交努力とは無関係としている。
 国務省のエレリ副報道官は、「米国は、世界食糧計画(WFP)の要請に基づき、北朝鮮に対し5万トンの農産品を拠出する」と述べた。そのうえで、これは北朝鮮を6カ国協議に誘引するためのものではないと付け加えた。
 ただ、協議をめぐっては北朝鮮に前向きな発言がみられたり、アジアの当局者らが北朝鮮が協議に復帰する用意を調えている可能性を示唆していることなどから、アナリストは、この動きが協議再開を後押しする可能性があるとみている。

 【ワシントン23日共同】23日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米政府は北朝鮮の核兵器開発などに役立つ装置や技術を同国に供与した企業に対し、資産差し押さえなどの厳しい措置を講じる方針を決めた。近く、大統領令の形で実施される。
 同紙によると、約10社が当初の制裁対象になるとみられる。米政府は、アルカイダなどのテロ組織に資金支援した企業の資産差し押さえなどを既に実施しているが、北朝鮮の大量破壊兵器開発に協力した企業は、これと同様の扱いになる。
 北朝鮮のほか、イラン、シリアに技術供与した企業も対象。

 【ワシントン23日共同】ロイター通信は23日、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議再開を目指す外交努力の一環として、ライス米国務長官が来月、日本、中国、韓国などの関係国を訪問することを検討していると報じた。
 国務省当局者は共同通信に対し、報道を否定も肯定もしなかった。ライス長官の訪日が実現すれば、今年3月のアジア歴訪以来となる。
 ロイター通信によると、複数の米政府当局者は、北朝鮮を6カ国協議に復帰させた上で協議を成功させることを目的に、ライス長官が7月に訪日するようだと述べた。また、他国の訪問も検討されており、恐らく中国、韓国が含まれるとの見通しを示した。
 ジョゼフ国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は23日、米主要メディアとの懇談で「北朝鮮は(6カ国協議に)復帰すると思う」と指摘した上で、真の問題は「次回協議で北朝鮮が何をするかだ」との見解を表明した。

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June 24, 2005

思えば遠く来たもんだ…。

■ 昨日未明、FIFAコンフェデレーション・カップ、日本・ブラジル戦を観る。ただ、「惜しかった…」という他はない。「この試合は勝てたな…」と率直に思う。

■ 昨日昼過ぎ、『中央公論』「時評2005」欄の最新原稿を脱稿させて、提出する。此度の原稿は、本当に執筆作業が「難航」した。担当編集者のT氏からは喜んでもらえた原稿になったので、とりあえず安堵した。昔、雪斎は、『中央公論』に連載コラムを書くのは「夢」の一つだと思っていたけれども、実際の「フィールド・オブ・ドリームズ」は、難儀な舞台である。セ・ラ・ヴィ。

■ 『溜池通信』「不規則発言」欄によると、かんべえ殿は、山口・中原中也記念館を訪れたそうである。中原中也といえば、この写真の肖像が有名であろう。雪斎は、中原中也には、奇妙な「縁」がある。十数年前、二十歳代半ばの頃に雪斎の写真が『朝日新聞』に載ったことがあった。それは、雪斎の東京大学移籍を「壮挙」として伝えた記事だった。新聞写真を見た北海道大学時代の友人たちが、「ああ、中原中也だ…」と口々に言いながら笑った。なるほど、その写真は、物憂げな雪斎の表情を伝えていた。そして、友人の一人が決定的なことを言い放った。「この写真さぁ、○○(雪斎の本名)をまったく逆のイメージで伝えている。黙認した○○は詐欺師だな…」。

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June 23, 2005

Musical Baton

■ 『桜日和』の佐倉純殿から、Musical Batonが回ってきた。佐倉純殿の説明によると、その趣向は、

「ちなみに、このルールですが、海外のブログに端を発する、音楽に関する企画。音楽に関するいくつかの質問が「バトン」として回ってきたら、自分のブログ上でこれらの質問に答え、次の5人を選びその人にバトンを渡す、というルール。というものらしいです。チェーンメールみたいなもんですか。別に答えなかったら不幸になるという類のものでもなさそうなのですが、あくまでお遊びなので、答えることにします。たまには息抜き息抜き。」

…だそうである。オモロイ。
さて、雪斎も、やってみよう。

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June 22, 2005

オペラ「ルイーザ・ミラー」鑑賞

■ 昨日夕刻以降、雪斎は、渋谷・オーチャードホールで、「ナポリ サン・カルロ歌劇場」のオペラ「ルイーザ・ミラー」を観賞した。
18日付『読売新聞』は、「オペラ鑑賞の小泉首相『ラブ・イズ・ベスト!』と感動」という見出しで、次のように伝えている。
 小泉首相は18日午後、東京・渋谷区のオーチャードホールで、イタリアから初来日した「ナポリ サン・カルロ歌劇場」のオペラ「ルイーザ・ミラー」を観賞した。
 「ルイーザ・ミラー」は悲劇的な恋愛を描いた作品で、観賞後、首相は目を潤ませながら「感動した。これだけのいいオペラは珍しいね。ラブ・イズ・ベスト!」と記者団に語った。また、首相は「きょうは90%来られないと思っていたんだ。運が良かった」とも述べ、17日の衆院本会議で今国会の会期延長が議決されたことを喜んでいた。

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June 21, 2005

朝鮮半島の「分断」と「統一」

■ 昨日夕刻以降、さくら殿主催の会合に出席する。サイバー・スペース上では和気藹々とやっているので、初めて会ったとは思わなかった。参集したのは、さくら殿の同僚K氏、某国大使館書記官J氏、そして週刊誌副編集長K氏であった。面白かった。さくら殿、ありがとうございます。

■ 昨日の日韓首脳会談は、「会えたことに意味がある会談」だったようである。『毎日新聞』記事は、次のように伝えている。
 小泉純一郎首相は20日、ソウルの青瓦台(大統領官邸)を訪問し、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領と会談した。首相は靖国神社参拝の中止要求に応じず、歴史認識問題をめぐる議論は平行線に終わった。将来的な問題解決策の一環として、韓国側が求める新たな国立追悼施設の建設を検討していくことを確認し、第2次歴史共同研究で両国の歴史教科書を研究対象とする委員会を設置することで合意した。年2回の相互訪問を継続するため次回会談を年内に日本で行うことも確認したものの、歴史認識問題で溝が埋まらず、今後も日韓関係改善の足かせとして残った。
 日韓首脳会談は昨年12月に鹿児島県指宿市で行われて以来で、島根県議会の「竹島の日」条例制定をめぐり関係が悪化した今年2月以降初めて。大統領は「日本が過去の不幸な歴史を反省し、行動で示すことこそ両国間の信頼の基礎となる」と日本側の歴史認識を批判し、特に靖国神社参拝について「歴史問題の核心」と中止を求めた。竹島(韓国名・独島)の領有権問題には触れなかった。
 首相は「韓国民の過去をめぐる心情を重く受け止めている」と述べ、日本が戦後60年間、平和国家として歩んだ実績を強調。靖国参拝については「二度と戦争を繰り返してはならないという不戦の誓いから参拝した」と主張し、中止要求には応じなかった。ただ、01年10月に韓国の金大中(キムデジュン)大統領(当時)と会談した際に「検討」を表明した新たな追悼施設に関し、「国民世論など諸般の事情を考慮し検討していく」ことを確認した。
 第2次歴史共同研究については、歴史教科書の記述を研究対象とすることで合意したが、研究成果を教科書検定の基準に反映させることには日本側が抵抗。両国の教科書制度の枠内で教科書編集の参考とするよう努力することで折り合った。
 このほか、首相からは朝鮮半島出身者の遺骨の調査・返還やサハリン在住韓国人の永住帰国支援などを進める考えを表明。北朝鮮の核開発問題については、6カ国協議の早期再開へ向け日米韓3カ国の連携を重視することを確認した。
 会談は、最初の約10分間は外交ルートで調整された追悼施設建設検討など合意事項の確認、残る約1時間50分は歴史認識問題を中心とする両首脳の意見交換に割かれ、中でも歴史共同研究に多くの時間が充てられた。

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June 18, 2005

国連安保理再編・米国の「日本+α」案

■ 国連安保理再編に関する米国政府の具体的な提案が示された。『ロイター』は次のような記事を配信した。
 [国連 16日 ロイター] 米国は、国連安全保障理事会の拡大について、常任理事国を2カ国程度、非常任理事国を2ないし3カ国とすることを望むことを初めて明らかにした。
 米国務省のバーンズ次官が語った。
 しかし、同次官によれば、安保理拡大問題については、アナン国連事務総長のより広範な改革案が検討される今後3カ月において、保留しておくことができ、議論に時間が割けない。
 同次官はワシントンで、「この議論は、提案される必要がある問題の一つにすぎないとみている。安保理の問題そのものに真っ向から取組む前に、他のすべての問題で前進することを望む」と語った。
 パターソン米国連臨時代理大使は国連で記者団に対して、「米国と米議会にとって受け入れ可能な包括的な改革を手にする前に、安保理改革を受け入れるかどうかは疑問である」と語った。
バーンズ国務次官とパターソン米国連臨時代理大使は、安保理常任理事国入りについて、日本を支持していることをあらためて表明したが、他の国には言及しなかった。外交官らによれば、米国はインドを支持する可能性があるが、ドイツには反対している。

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June 16, 2005

テレビ・ドラマも世につれ…

■ 昨日、TBS系で『赤い疑惑』のリメイク版が放映される。1970年代半ばに放映された旧版は、山口百恵さんの芸能界での地位を確立した作品と評される。雪斎は、四半世紀以上もの昔の旧版を観ていたので、どのような按配のリメイク版になるのかを関心を持っていた。
 ドラマ自体の評価は脇に置くとして、雪斎は、『赤い疑惑』に限らず、昔日の日本で制作されたドラマには、共通項があるのではないかと思う。それは、「ある程度、恵まれた家庭の娘に振りかかる不運」ということである。山口百恵さんが出演し、今年にリメイク版が制作されることになっている『赤いシリーズ』でのヒロインの設定は、「疑惑」は、大学医学部助教授の娘、「衝撃」は、会社社長の娘、「運命」は、検察官の娘というものだったはずである。こうした当時の標準(今でも、そうかもしれないけれども…)では誠に羨むべき家庭の少女の「不運」は、たんなる少女の「受難」以上に、ドラマになりやすいものなのであろう。

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June 15, 2005

チャールズ・ジェンキンス氏の帰郷

■ 拉致被害者、曽我ひとみさんの夫君、チャールズ・ジェンキンス氏が実に四十年ぶりの帰郷を果たすべく、日本を発った。日本経済新聞「首相動静」欄は、小泉純一郎総理のコメントを伝えている。
【NQN】小泉純一郎首相は14日夕、北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさんが夫の元米兵ジェンキンス氏と長女、二女とともに同日訪米し、ジェンキンス氏の実家を訪れることについて、「良かったですね。できるだけ早く、(同氏の)お母さんが元気なうちにね、会うことができるようになって本当良かったと思います」と感想を述べた。
 さらに、「アメリカ政府も十分配慮していただいてね、家族の気持ちを理解してくれて会えるように取り計らってくれて感謝してます」と米政府に謝意を表明。続けて「ジェンキンスさん一家もね、できるだけ自分たちの力で会いに行きたいという気持ちが通じたんでしょう。多くの方の支援とジェンキンスさんご一家の思いが通じてね、良かったと思います」と重ねて祝福した。

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June 14, 2005

「対中カード」としてのロシア

■ 世の中には、当初は誠に地味な動きであるけれども、後々に「大きな波」となって時代を動かすものがある。
たとえば、次のニュースは、どうであろうか。
 自民党の森喜朗前首相は13日、ロシア訪問に出発。同日深夜サンクトペテルブルクに到着し、14日にプーチン大統領と会談する。森氏と大統領の会談は今回で計10回目。個人的信頼関係を生かし、懸案の大統領の早期訪日を促す。森氏は会談で、北方領土問題や、東シベリアのパイプライン建設計画についても意見交換する。
 また、小泉総理も、嫌らしいことをやっているなと思う。中国の影響力をそぎ落とすためなら「鬼」にでもなるという雰囲気である。

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June 13, 2005

「靖国」参拝というクリスタル・ボール

■ 『溜池通信』「今日の不規則発言」欄で言及された下の記事には、雪斎もコメントを付さなければならない。「昨秋の日中首脳会談、参拝継続を事前伝達=郵政廃案なら解散-首相秘書官が講演」の見出しで『時事通信』が配信した記事である。
 小泉純一郎首相の飯島勲首相秘書官は11日夜、長野県辰野町での会合で講演し、昨年11月にチリで開催された中国の胡錦濤国家主席との首脳会談について、事前に日本側から「首相は2005年も靖国神社を参拝する考えだ」と伝えていたことを明らかにした。
 飯島氏は「チリで胡主席と会う前に(中国に対し)初めて強烈なカードを切った。『小泉首相は時期は別として来年も靖国神社を参拝する。それでも不都合がなければ会談を受ける』と伝えた上で会った」と指摘。中国側も小泉首相の意向を承知して会談開催を受け入れたとの認識を示した。
 飯島氏はまた、この首脳会談に続く昨年11月のラオスでの小泉首相と温家宝首相の会談でも同様に、小泉首相の靖国参拝継続の意向をあらかじめ中国側に伝達していた、と語った。その上で「国の指導者たる小泉(首相)が不戦の誓いで靖国神社に行くのは何らおかしくない。多分必ず参拝すると思う」と述べた。

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June 11, 2005

米韓関係の現実

■ 韓国『朝鮮日報』「記者手帳」欄では、「『ブッシュ牧場』への道」と題した次のようなコラムが載っている。
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の米国訪問を準備してきた韓国政府がついに実現できなかったことが2つある。その一つは、米議会本会場での演説だ。
 金大中(キム・デジュン)前大統領は就任初期、米国を訪問して上下院議員らの前で英語で演説を行った。英語の発音はいまいちだったが、民主主義の価値を力説した同氏を米議員らは総立ちで歓迎した。
 盧大統領は金前大統領のような姿を演出するために多角的に努力した。ワシントンを訪問した野党の中堅議員にも頼んだほどだ。
 しかし、米議会の反応はそれほど好意的ではなかった。共和党も、民主党指導部もいざ話がそっちに流れると知らないふりをしたりしたという。
 外国の首脳にとって米議会の本会場は敷居が高い。
 盧政権はまた、今回の首脳会談をブッシュ大統領のクロフォード牧場か、キャンプ・デイビッドで開くことを希望していたが、米国は最後までこの要請に応じなかった。
 クロフォード牧場にはプーチン・ロシア大統領、江沢民前中国国家主席らが訪問している。先日にはイラク戦争に戦闘兵を派遣したオーストラリアのハワード首相が招待された。
 これら首脳はブッシュ大統領が直接運転するピックアップトラックに乗って牧場を一周したりした。
 キャンプ・デービッドにはブレア英首相が数回訪問している。肩を並べて森の中を歩く両国首脳の姿はしばしば新聞の紙面を飾る。
 盧大統領はホワイトハウスでの首脳会談と晩餐会を最後に、ブッシュ大統領との日程を終える。
 米国が盧大統領を冷遇するのではないかという向きもあるだろうが、これが米国における韓国のステイタスである。
 米議会の本会場と「ブッシュ牧場」に招かれるほど、米国の外交リストにおける韓国のランクは高くない。
 このような冷静な外交の現実を認識できないまま、「対等な外交」ばかりを唱えていたら、韓国大統領にとって「ブッシュ牧場」への道は遠くなるだけだ。

 このコラムでは、小泉純一郎総理もまた「ブッシュ牧場」に招かれた一人であった事実は、言及されていない。従来、ジョージ・ブッシュは「最も信頼できる国の首脳」を「ブッシュ牧場」に招待し、宿泊してもらっていた。 これまで招待された首脳は、トニー・ブレア(英国)、ホセ・マリア・アスナール・ロペス(西国)、ロン・ハワード(豪州)、ウラジーミル・プーチン(露国)、そして小泉純一郎の五名を数えるのみである。ブッシュは、私邸というブライベートな空間を共有させることによって、自らにとっての「国家の格付け」を行ったわけである。それは、アメリカ人らしいといえばアメリカ人らしい振る舞いである。因みに、江沢民は、私邸に招かれはしたけれども、宿泊まではさせてもらえなかった。ブッシュにとっては、アジアでは、小泉総理執政下の日本が「唯一無二の同盟国」なのである。

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June 10, 2005

国連安保理再編への疾走

■ 『読売新聞』は、「新理事国の拒否権15年凍結、日本など修正案を提示」の見出しで次の記事を配信している。
 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、インド、ブラジルの4か国グループは8日、安保理拡大の枠組み決議案について、新常任理事国の拒否権を「国連憲章改正発効から15年後の見直しまでは行使しない」とすることを柱とした修正案をまとめた。
 事実上の最終案となる見通しで、すでに主要関係国には提示している。4か国は同日夕(日本時間9日朝)、賛同国数十か国を集めての説明会をニューヨークで開く。
 読売新聞が入手した修正案によると、拒否権は原則保持としたうえで、「見直しで新常任理事国にも拒否権を拡大するか否かが決まるまでは、新常任理事国は拒否権を行使しない」と明記された。
 5月に4か国グループが提示した草案では、見直しは2020年に概括的に行うとしていたが、現常任理事国が「既得権が侵されかねない」と反発したことから、修正案では見直しの対象を新常任理事国に限定した。また、見直しの年は2020年と特定していない。
 4か国は7月にも枠組み決議案を総会に提出し、採択したい方針だが、中国や反対派グループは早期採決に強い反対を示しており、激しい攻防が展開されそうだ。

 この修正案を眼にしたとき、雪斎は、日本政治の「曖昧さの発揮」という芸当が再び披露されたと思った。「有しても使わない」という理屈は、集団的自衛権の扱いに始まり核開発の能力に至るまで、御馴染みのものである。雪斎は、集団的自衛権の扱いだけは、この理屈に依るのは止めるべきだと思っているけれども、国連安保理再編のような事例では、「曖昧さの発揮」は大事なことであろう。

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June 08, 2005

朝日新聞『論座』、産経新聞「正論」欄原稿

■ 一昨日、朝日新聞『論座』が届く。雪斎は、『論座』という雑誌の性格は、たとえば『中央公論』が「政府の現実主義」(入江昭教授の言葉)に「保守」側から寄り添うものだとすれば、それに「リベラル」側から寄り添うというものであるべきだと思ってきた。雪斎は、このところ『論座』に書く機会が増えているので「左傾化した」という評があるけれども、雪斎は、「政府の現実主義」に寄り添った媒体に書いているという点では、言論家としての本籍地である『中央公論』に書いているのと感覚が変わらない。たとえばポーツマス講和会議直後に似た状況が来ても、『中央公論』と『論座』ならば、明々白々な「小村寿太郎外務大臣擁護」の論稿を載せることができるのではないかと思っている。
 雪斎は、「リベラルの責任」と題された特集の中で、「『「普通の国』になればまた出番がやってくる」という原稿を寄せている。同じ特集には 久間章生、太田昭宏、仙谷由人の三氏の鼎談のほかに、次のような原稿がある。
  □ 国連改革、歴史認識、自衛隊の海外派遣…
    第三者の媒介で「新しい自由」を切り開け
    京都大学大学院人間・環境学研究科助教授 大澤真幸
  □ 真の保守主義再生しかない
    京都大学大学院人間・環境学研究科教授 佐伯啓思
  □ 「ネオリベ」批判を越えて
    明治学院大学社会学部教授 稲葉振一郎
 「リベラル」というのは、誠に多義的な観念だなと思う。社会学、経済学、政治学のどの学問領域を背景にしているかによって、論者がイメージする「リベラル」の中身は、だいぶ違っている。普通の人々は、ちょっと混乱したのではないかと思う。。
 加えて、勉強のために読んだのが、次の二編である。
 ●英国総選挙
  □現地報告 新しい政治的競争が始まった
    北海道大学大学院教授 山口二郎
 ●第2期ブッシュ政権の行方
   □保守イデオロギーと政治的機会主義の間で
    東京大学法学部教授 久保文明
 かんべえ殿は、「悩ましい対中通商摩擦―中国版「プラザ合意」の可能性―」という原稿を書いておられる。
 尚、雪斎にとって、最も興味深かったのは、「ピンク映画の新しい波―人は何故このエロスに惹かれつづけるのか」(ピンク映画誌『PG』編集長 林田義行)という記事だった。

■ 昨日、産経新聞「正論」欄に、実に三ヵ月ぶりに原稿が載る。これだけ空白を作ってしまったのも、八年近く通算百数編の原稿を「正論」欄に書いた経緯からすると、異例のことである。

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June 07, 2005

中国外交官「亡命」の波紋

■ 対中関係絡みで少しばかり気になる記事を見つけた。『朝日新聞』が5日に配信したものである。
 

オーストラリア・シドニーの中国総領事館の外交官が豪州への政治亡命を求めたと4日、豪州紙ウイークエンド・オーストラリアンが報じた。豪州外務貿易省は同日、AFP通信に対し、中国総領事館の職員1人が保護ビザを申請したことを認めた。
 報道によると、この外交官は政治担当の領事だったチェン・ヨンリン氏(37)。
 同氏が同紙に語ったところでは、大学生だった89年6月、天安門での学生デモに参加。再教育を経て91年に外務省に入った。シドニー在勤の4年間に、気功集団「法輪功」をはじめとする反体制派の監視を担当していたという。
 豪州のAAP通信によると、同氏は4日、天安門事件16周年を記念してシドニーで開かれた集会に出席した。豪州で多数の中国当局工作員が反体制派などに対する拉致や強制帰国といった活動をしていると主張し、「自分も同じような目に遭うのではないかと恐れている」と話した。
 また、総領事館を離れた理由は、反体制派をひそかに支援していたことが中国治安当局に知られ、尾行をつけられたからだと述べた。
 中国政府は何もコメントしていない。

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June 06, 2005

「A級戦犯」か「A種戦犯」か

 「靖国神社には、A級戦犯が祀られている」。これが、現在に至る対中「歴史認識」騒動の発端であるけれども、雪斎が何時も訝っていたのは、「B級、C級はいいが、A級は駄目だ」という論理の根拠である。
ナチス・ドイツを裁くために連合国によって作成された国際軍事裁判条例(ニュルンベルク裁判の根拠、一九四五年)第六条は、戦争犯罪のタイプを三つに分類した。
 A項「平和に対する罪」
 B項「通例の戦争犯罪」
 C項「人道に対する罪」
 この三つの項目の何れか該当するとされた人々は、それぞれ、「A級戦犯」〈class A war criminal〉、「B級戦犯」〈class B criminal〉、「C級戦犯」〈class C war criminal〉と呼ばれるようになった。
 

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June 03, 2005

「五箇条の御誓文」を読み解く・参

■ 只今、三ヵ月ぶりに産経新聞「正論」欄に寄せる原稿を仕上げて提出する。前回の原稿は、「ホリエモン騒動」を扱ったものであった。今となっては、随分、昔の話のような気がする。

■ 以前にも書いたけれども、雪斎が北大同期の連中と盛り上がったときには、寮歌「都ぞ弥生」の斉唱と「札幌農学校、万歳」の掛け声で宴を閉じるのを約束にする。
 「都ぞ弥生」の最終第五節の歌詞は次のとおりである。

朝雲流れて金色に照り 平原果てなき東の際
連なる山脈冷瓏として 今しも輝く紫紺の雪に
自然の藝術を懐みつつ 高鳴る血潮のほとばしりもて
貴とき野心の訓へ培ひ
栄え行く 我等が寮を誇らずや

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June 02, 2005

戯言050602

■ 昨日午前、体調に異変が生じ急遽、外出を取り止める。雪斎は、真冬に体調を崩すことはないけれども、何時も六月の「暑くなり始め」の時期に、健康を害することがある。今日も、用心して静養である。

■ 昨日、「衣替え」である。雪斎は、真夏でもネクタイを締めるスタイルは不合理だと思っていた。大体、気温が真夏でも三十度を超えることが滅多にない欧州起源のスタイルを亜熱帯(夏季の東京)でやることの無理には、人々は早々に気付くべきであったと思う。雪斎は、普段はネクタイを締めない生活を続けているので、「ようやく時代が余輩に追い付いた?」.と高笑いをしている。

■ 昨日、雑誌『諸君』が届けられる。特集の中に、日本の政治家、官僚、財界人、言論人を「親米ー反米」、「親中ー反中」の座標軸で仕分けした記事を見つける。担当していたのは、かんべえ殿、宮崎哲弥氏、富坂聡氏である。

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