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April 15, 2005

日本人の「世界」観

■ 日米関係、日中関係、日韓関係…。我が国と他国との関係を表記する際には、日本が先に来る。これは当然である。それでは、日本以外の国々を並べた場合には、どうなるのであろうか。この並べ方は、日本との心理的な距離をみごとに反映している。

 多分、我が国における外国の格付けは、次のような按配になるのであろう。
   AAA  英、米
   AA  中 独、仏、伊、露、
   A   蘭、西、豪、加
   BBB 印、韓、墨、伯、越
 同じランクの中での序列には、諸説あるかもしれないけれども、ここでの格付け上位の国々が下位の国々の後に記されることはない。日本には、「英蘭戦争」「中越紛争」という言葉はあっても、「韓米同盟」「印中関係」という言葉はない。
 格付け最高のAAAが英国と米国であるのは、明治以降の日本の歩みの意味を示唆している。この二国は、日本の過去と現在の「同盟国」であった。英国大使館は、皇居半蔵門近くの「最も皇居に近い場所」に置かれているし、米国大使館は、虎ノ門の広い一帯を占めている。英米両国の位置を象徴するような話である。
 ところで、韓国紙の記事を見ると、「観米日」、「韓日中」という記述が並ぶ。米韓条約を結ぶ「同盟国」である限り、米国を「諸国の筆頭」に置く事情は、韓国にとっても日本と同様であるけれども、日本と中国を並べれば日本が先に来る。このことは、「反日」騒動で盛り上がる韓国の現状を考えあわせるとき、その感情の複雑さを示していて興味深い。
 因みに、13日付『溜池通信』「不規則発言」欄で、かんべえ殿が次のように書いておられる。
 

○反日デモに対して、大方の日本人は腹を立てるというよりは、「しょうがないねえ」というモードであるようだ。おそらく中国や韓国のことを、日本人は本気でライバルだと考えていないからだろう。こういうと甘いといわれるかもしれないが、ワシも日本経済が中国に逆転されるとは思ったことがない。であれば「金持ち喧嘩せず」でいいわけだ。

 かんべえ殿の見方の通り、日本は、中国や韓国を本音のところでは相手にしていないのかもしれない。中田英寿や小野伸二が活躍する様子は、ヨーロッパだから褒められるのであって、中国や韓国のリーグで活躍しても誰も褒めないであろう。野球は、今では韓国、台湾、キューバが有名であるけれども、日本人にとっての「夢の舞台」は、どこまで行っても「メジャー・リーグ」である。明治以降、日本が目指した「一等国」の座は、本質的に前の格付けのAAクラス以上を意味していたのだから、そうした価値観は消えないのであろう。


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Comments

韓国において日本と中国の並べ方は日中でも中日でも違和感がないこと、そして戦争の名称の場合は「清日戦争」や「露日戦争」と日本を後のほうに表記することが一般的だと韓国人の友人に聞いたことがあります。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/04/14/20050414000075.html
「中日」の一例です。

Posted by: 七誌 | April 16, 2005 at 09:33 AM

>七誌殿
ご教示、ありがとうございます。
韓国の「世界観」からすれば、日本が先か中国が先かというのは、重要な問題ではないのでかもしれません。ご指摘の趣旨からすると、日本を下位に置く心理は働いているでしょう。
この点、日本では、「韓中関係」、「韓米同盟」という言葉が使われることは、まったくといってよいほどありません。基準は、日本のほうが、きちっとしていると思います。
ところで、こういう表記の仕方が、国によって、どのように異なるかを調べるのは、結構、意義のあることかもしれません。

Posted by: 雪斎 | April 16, 2005 at 10:16 AM

なかなか面白いエントリですね。言い辛い事でもありますが(笑)

この格付け、実際の外交における重視度というのと、その国の政治的成熟度の評価イメージとを分けて考えるといいかもしれません。
例えばフランスは外交的にはAAかもしれませんが成熟度としてはAAAかもしれないし、中国は外交的にAAかもしれませんが成熟度としてはずっと下のほうに見ていると。
この付近の乖離が大きい国ほど、日本の外交上の混乱は大きいようにも思います。

Posted by: カワセミ | April 16, 2005 at 12:39 PM

ドイツとフランスだと「独仏」なんですよね。ドイツはAA+かもしれません。2002年のW杯のときにしみじみ感じましたが、日本人はイギリスとドイツが好きなんですよね。フランスが予選で敗退しても気にしないけど。やっぱり昔の同盟体験が生きているような。

他方、英語で日露戦争はRusso-Japan warですよね。ほかはどうなっているんだろう。

Posted by: かんべえ | April 16, 2005 at 06:53 PM

英米は実利+文化的影響力、仏独は文化的影響力で日本人から見て差がつくのでしょうか。フランスとドイツの差は、個人的な嗜好の問題だと思います。第2外国語の選択ではフランス語=わりと使えそう、ドイツ語=アカデミックな感じ、という違いがあったように思います。人によってとりようには差がありそうですが。私は単純にフランスの過去の植民地が多くて今でも使えそうというのでフランス語は使えそうなのでフランス語をとりました。今ではきれいさっぱり忘れてしまっているのが遺憾ですが。この軽さがドイツびいきの方にはたえられないようです。

Posted by: Hache | April 16, 2005 at 11:49 PM

そのとおりなのですよね。弟が帰国子女なのですが、帰国子女受験シーンでも英米が優遇され、その次がフランス、カナダなどだそうです。

Posted by: mondo | April 17, 2005 at 12:04 PM

>かわせみ殿
外交上の重要度、親近感の度合などを加味して格付けするという話は、後で考えます。
>かんべえ殿
ドイツ 格付AA+は、その通りです。ただし、イタリアはAA- でしょうね、道理で「次はイタリア抜きで…」という話が出てくるわけです。
>hache殿
ファッション、美術の世界の人々にとっては、フランスAAAでしょうね。昔、「フランス語を取る奴は女々しい」という偏見があったとおもいます。

>mondo殿
やはり「一等国」は英米両国なのですな。

Posted by: 雪斎 | April 18, 2005 at 12:23 AM

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