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April 26, 2005

戦後・日本の功労者

■ 『読売新聞』(24日付朝刊)は、「日本の発展、最大の功労者は田中角栄氏…読売世論調査」という見出しで次のような記事を配信した。
 

読売新聞社が実施した「戦後60年」に関する全国世論調査(面接方式)で、政治の地盤沈下が指摘される中、多くの国民が“人間ブルドーザー”“ワンマン”との異名をとった田中角栄、吉田茂両元首相ら力強い指導者を、改めて高く評価していることがわかった。
 その一方で、かつては国政で力が最も強いとみられた「自民党」「財界」が後退し、代わって「官僚」「アメリカ」が1、2位に躍り出るなど、国の“実力者”に対する国民意識の様変わりぶりも明らかになった。
 調査は9、10の両日に実施。戦後日本の発展の功労者を聞いたところ、トップは田中元首相で、ほぼ5人に1人がその名を挙げた。2位は吉田元首相、3位は佐藤栄作元首相で、ベスト3の顔ぶれは1994年調査と同じだった。
 今の日本の政治で最も強い力を持っていると思う組織では、「官僚」が38%で最多。以下、「アメリカ」26%、「首相」23%などの順。70年に行った同様の調査では、1位は「自民党」48%、2位は「財界」27%で、「官僚」は6%、「アメリカ」は11%だった。

 この記事は、誠に興味深い。戦後・日本の基本的な国家路線を打ち立てたのは、吉田茂である。そして、それを完成させたのは、池田勇人であり佐藤栄作である。小泉総理が「バンドン演説」で表明した「経済大国になっても軍事大国にはならず、いかなる問題も、武力に依らず平和的に解決するとの立場を堅持しています」という方針は、実は吉田以来の国家路線が依然として命脈を保っていることを暗示している。というのも、「冷戦の終結」以後、「普通の国」への歩みが加速したとしても、それは決して「軍事大国」への変身を目指したものではないからである。田中角栄の宰相としての最大の功績は、対中関係の打開にあるのかもしれないけれども、それが「戦後・日本政治史上、最大の功績」と呼べるものではない。
 にもかかわらず、『読売新聞』記事が示すように、田中角栄が「最大の功労者」であるかのような印象が残っているのは、多くの日本人にとって、田中が「大鵬・美空ひばり」に並ぶ、戦後・日本の「庶民の成功物語」の象徴であるからであろう。吉田も池田も佐藤も、「帝国大学出身―官僚出身」ということでは「戦前」の価値観を継続させた役割を果たしたのに対して、田中は、そうした価値観とは無縁の「庶民の宰相」であったのである。
 ただし、そのような田中の「遺産」を見事なまでに食い潰しているのが、田中真紀子氏である。一昨日、実施された衆院補選・福岡二区では、民主党候補を田中真紀子氏が応援したけれども、その様子を伝えた『朝日新聞』(福岡県内版)には次のような文面がある。
 

「真紀子さんはテレビで見たとおり面白かった。絶対山崎さんに入れます」。陣営が聴衆の声を聞いて回ると、田中氏が山崎氏の応援に来たと勘違いした反応すら返ってきた。

 この『朝日新聞』記事が伝えた聴衆の声は、本来は、「田中真紀子の話は、『芸人』の話としては面白いが…」と解釈されるべきものであったと思われる。「田中角栄の娘」ということ以外には何ら語るべきものを持たない真紀子氏は、今では一種の「道化」として扱われ、世の「尊敬」を全く得ていないけれども、その現状に自ら全く気付いていない様子でくある。ニコロ・マキアヴェッリが語ったように、政治家の最たる不徳は、「軽蔑されること」にあるけれども、真紀子氏はそうした不徳を犯していることに気付いていない。泉下の田中角栄は、この現状を、どのように見ているのであろうか。
 「民は賢にして愚、愚にして賢」という言葉がある。民衆を小馬鹿にした振る舞いを続けると、それは必ず自分に跳ね返ってくる。「庶民の宰相」の娘が実は「庶民の心理」を全然、判らないというのは、なんという冗談であろうか。

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Comments

たしかに日本の発展を考えた場合、角栄の寄与度は高いのでしょうね。しかし彼の残した「しこり」もまた大きいような気がします。融通の利かないシステム。一部の政治家たちの依る行動様式。袋小路に陥った外交関係。そして彼の残した愛娘・・・

まあ、少しずつ変わりはじめてはいるのでしょうが。

Posted by: むぎを | April 26, 2005 at 12:02 PM

・ むぎを殿
 先刻、TBを有り難うございました。
 美空ひばりと同様、角栄をリアル・タイムで知る世代が減れば、その残像も弱くなっていくのでしょう。今の対中関係も、田中の「残像」の後退と軌を一にしているところがあります。

Posted by: 雪斎 | April 27, 2005 at 01:26 AM

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