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April 13, 2005

マウントバッテン提督の独白

■ 10日付時事通信は、「『東京裁判』は誤り=英提督の批判、公文書で明るみに」という見出しで次の記事を伝えた。
 

【ロンドン10日時事】太平洋戦争の終戦前後に連合国軍の東南アジア最高司令官だった英海軍のマウントバッテン提督が、東条英機元首相ら「A級戦犯」を裁いた1946~48年の極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)の開催を誤りと批判していたことが10日までに判明した。
 東南アジアにおける対日戦の最高指揮官だった英軍首脳による東京裁判批判が終戦60周年の節目に明るみに出たことで、同裁判の正当性をめぐる日本国内の議論に一石を投じそうだ。
 英国立公文書館に保管されている48年の同国政府文書によると、マウントバッテン提督は、当時進行中だった東京裁判を念頭に、「軍は純粋に政治的な性格の裁判にかかわるべきでない」と主張し、日本の戦争指導者を戦犯裁判にかけることに反対を表明した。

 マウントバッテン初代伯爵は、「ビルマのマウントバッテン」と称され、第二次世界大戦中は東南アジア地域連合軍総司令官を務め、戦後はインド総督、地中海艦隊司令長官、海軍軍令部総長の要職を歴任した。伯爵は、ヴィクトリア女王のひ孫、エジンバラ公フィリップ殿下の伯父に当たり、英国王室の一員であった。伯爵が1979年にIRAのテロによって爆殺された折、先頃再婚したチャールズ皇太子殿下は、大伯父である伯爵の落命を深く嘆いたと伝えられている。伯爵は、「貴族にして武官」という英国エリートの典型のような人物であった。
 時事通信が伝えたような伯爵の「東京裁判」認識は、本当に今まで知られていなかった事実なのかは、定かではない。ただし、歴史認識に絡んで我が国周辺情勢が騒がしくなっている時期に、伯爵の見解が明るみに出たことの「政治的な効果」は、今後の注目に値しよう。というのも、このところの我が国周辺の騒々しさは、「東京裁判」で出来上がった歴史認識を前提としているところがあるからである。小泉純一郎総理の靖国神社参拝が紛糾の種になっているのは、そこに「A級戦犯」として断罪された人々が合祀されているからである。しかし、そのような断罪の元にある「東京裁判」それ自体の正当性に疑問符が付くとすれば、靖国参拝批判の前提が揺らぐであろう。伯爵の「独白」は、ダグラス・マッカーサーに加え日本に直接に対峙した二人の将官が「東京裁判」の誤りを認識していたことを示していて興味深い。
 雪斎は、〈英国―米国―日本ーシンガポール―インド〉+〈日本―台湾―ミクロネシア―豪州・NZ〉の海洋国家提携論者である。この提携は、ただ単に「海」や「自由貿易」を介して、我が国が各国と提携するということを意味しているわけではない。それは、大英帝国とその後嗣としての米国が築いた「知」と「情報」のネットワークに連なることである。マウントバッテン伯爵の「独白」が公文書の形で遺されていたという事実を前にすれば、雪斎は、他にも多様な「東京裁判」認識が埋もれているのではないかと予感する。

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Comments

>〈英国―米国―日本ーシンガポール―インド〉+〈日本―台湾―ミクロネシア―豪州・NZ〉の海洋国家提携論者である。

英国は人口は6000万人ですが1000万人
が海外に住んでいます。シンガポールに
至っては人口の4分の1が外国人です。
わたしは上の国々でいくつか会社を経営
していますが日本人でイギリス人のよう
に海洋戦略に立脚したビジネスを展開し
ている人は滅多にいません。これはJetro
の人も言っていました。昔の日本の商社
には多かったそうですが今はいない。
つまり学術面で空理空論を弄び実際に
経営(交渉や資金管理)を司る人を育て
て来なかったということです。提唱自体
は正しいと思いますが果たしてそれを
実現するのは誰なのでしょう。イギリス
人なのでしょうか。それともアメリカ人
なのでしょうか。日本の総人口は1億
2700万人ですが海外居住者は91万
人です。しかも本国の製造業に依存し
金融や純粋商業(他国製品を買い
別の国に売る)を司る海洋型のビジ
ネスマンは本当に少ない状態です。
日韓、日中、中台、日朝、朝米の
対立が激化してきています。これ
を俯瞰してみれば誰に利益がある
かは一目瞭然です。60年の時間
を経ても日本人の本質は変わって
いないと思います。

Posted by: koji | April 14, 2005 at 05:01 PM

koji殿、はじめまして。
>しかも本国の製造業に依存し金融や純粋商業(他国
>製品を買い別の国に売る)を司る海洋型のビジネスマ
>ンは本当に少ない状態です。
確かに。「日本はやっぱし、製造業だ」と思ってる人は多いです。金融、ブローカー業は日本人の性に合わないのかも知れない。ただ、例え日本が製造業一本槍でも、やはり海外との連携は重要視するべきだと思います。例え加工貿易中心(純粋商業の比重低い)でも、海洋国家間の連携は死活問題。

Posted by: やすゆき | April 14, 2005 at 11:28 PM

>例え日本が製造業一本槍でも、やはり海外との連携

海外との連携は大切です。しかし、それを可能とするのは
理論と経験を兼ね備えた人間です。例をあげると日本は、
60年前に石油を絶たれて破れました。日本には88%の
石油をGCC諸国に依存しています。そのトップはUAE
アラブ首長国連邦です。このUAEの人と友達がいる日本
人はどの程度いるのでしょうか。UAEは1950年まで
人口7万人でしたが現在は310万人、一人当たりのGD
Pは国籍保有者に限れば10万US$という事をしる日本
人はどの程度いるのでしょう。中国や韓国が敵に回っても
米国とアラブが味方であれば何とかなります。しかし、そ
の頼みの綱が大喧嘩しています。政治家も学者も中国や韓
国との無意味な論戦に忙しく中東和平など埒外になってい
ます。まるで中国大陸の戦線には大部隊を派遣しても太平
洋やインド洋に関心が無かった旧大本営を彷彿とさせます。
既に脳内麻薬全開の中国憎し右翼日本人と反日左翼日本人
はベクトルが違うだけでやっている事は同じです。残るは
海洋派ですがこれもベクトルが西と東と北に偏っています。
しかし、道があるとすれば南に抜けて西に抜ける道です。
だけどそれを支える人材補充が追いつきません。教育シス
テムが麻痺状態になっているのです。もう少しで日銀バブ
ルが破裂します。そうなれば資金補給も途絶するでしょう。
金融セクター財政構造が硬直化し疲弊し腐敗しています。
製造業を維持するには原材料の確保、熟練工の確保、産業
資本の確保、販売先の確保の4つが必要となります。今の
日本でいえば中東の石油、教育の向上、金融と財政の健全
化、大輸出先である米中との友好となります。中国を封じ
こめるにはこれを有機的に連動してから出なければ経済部
門に齟齬を生じ国内的に失業増大フリーター増加します。製造業は金融や商業に対して補給に過度に依存する構造です。

Posted by: koji | April 15, 2005 at 08:51 AM

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