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April 12, 2005

歴史教科書の一件

■ 日本と中韓両国との「歴史認識紛争」を再燃させる契機になっているのが、扶桑社刊歴史教科書の検定合格の一件である.この一週間、朝日、産経両紙の社説上で、扶桑社刊教科書の扱いを巡って「論争」が繰り広げられている。扶桑社刊教科書に批判を浴びせた朝日社説に対して、産経社説が「グループ企業」の誼で擁護するという構図である。この論争は、雪斎には率直に面白くないものである。

 雪斎は、扶桑社刊歴史教科書を作った「新しい歴史教科書をつくる会」の活動には、当初は同情的であった。とはいえ、雪斎は「つくる会」の会員であったことも賛同人であったこともない。雪斎と「つくる会」の接点は、故・坂本多加雄先生であった。雪斎は、大学院生時代に故・坂本多加雄先生の著書や論稿を読んでいたので、「あの坂本先生が関与されておられのだから・・・」といった眼差しで「つくる会」の活動を観ていたのである。坂本先生の論稿で最も強い衝撃を雪斎に与えたのは、湾岸戦争直後に先生が雑誌『外交フォーラム』に発表した「『万国公法』と『文明世界』」という論稿であった。雪斎にとっては、「つくる会」の学術的な信頼性は、坂本先生と伊藤隆先生の存在によって担保されていたのである。
 坂本先生が世を去った後、雪斎は、「つくる会」の活動の実態が、どのようになっているのかを知らないし、その動向に大した関心も持っていない。漏れ伝わるところによれば、内部で分裂したとか、奇妙な宗教団体の影響力が強くなっているとかという話である。「つくる会」は、少なくとも保守層には納得できる教科書を執筆するという当初の「学術団体」の趣旨から逸脱して、「政治活動団体」としての色彩を強くしているということであろうか。先刻、この会を担う中心人物の人々の一覧を確認してみたら、坂本先生ほどの「学術的な担保」を与えている人物は、ほとんどいないことに気付いた。
 雪斎は、『国史―昭和天皇の歴史教科書』(白鳥庫吉著、講談社刊)という書を手に入れた。こうした書を読んでいる方が、雪斎には楽しい。

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Comments

日本における各種の運動というのは変に“色”がつき過ぎてしまう傾向が強いように思われます。
それと、最近の産経は(というか保守系の出版物全般ですか)どこか悪乗りしているような気がしますが
雪斎さんはどのようにお考えでしょうか。

Posted by: yu_19n | April 12, 2005 at 02:27 PM

中学校のときから歴史教師に「進歩的」な人が多いためか私も「つくる会」に同情的でした。
しかし、このような状況では中国・韓国に対して襤褸を出す可能性もありそうですね。
そういった襤褸を中韓に報告する日本人もまだ多そうですし。

Posted by: ao@株式マーケット | April 12, 2005 at 07:55 PM

あえて恥をさらしましょう。「新しい歴史教科書をつくる会」が発足する前の私の「歴史認識」。

右派の人 「南京事件が問題になってるんで       すよ。」
    私 「ああ、1927年でしたっけ。なんで       今更?」
右派の人 「・・・(絶句)。」
右派の人 「従軍慰安婦も」
    私 「なんで『慰安婦』が従軍する   
       の?」
右派の人「・・・(絶句)。」
天然も度がすぎると、単なるバカですね。

友だちと帰り際、韓国の話題になってそれとなく教科書問題に話題をふると、「体制を批判したら、客観性が保てるような発想は捨てた方がいいと思うんですけど」。彼は、話題の教科書の出版社名も知らないでしょう。

右でも左でも本当のことを語らないと、忘れ去られるだけだと思います。

Posted by: Hache | April 13, 2005 at 02:44 AM

>yu_18n殿
今の御時世、「右」の言論の方が確かに元気です。しかし、自分に順風が吹いていると思った時ほど、本来は慎重に振る舞わなければならないのに、実際は保守層の一部は嵩にかかったような振る舞いをしています。朝日新聞とか岩波書店とかをこき下ろして何かを語ったような気になるのは、不味いと思うのですよ。
)ao殿
教師に「左」が多かったのは、失業の心配がないから、遠慮なく「奇麗事」を言えたという事情によるものと思われます。
)Hache殿
「左」と「右」の相互交流が大事かと思います。

Posted by: 雪斎 | April 13, 2005 at 07:59 PM

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