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March 16, 2005

「馬車船舶の奔逸、覆没を恐れて徒歩する」愚昧

■ 時事通信は、一昨日深夜、「日本に『反動的外国嫌い』=ライブドアへの怒りが外資に-英FT紙」の見出しで次のような記事を配信している、
 

【ロンドン14日時事】14日付の英紙フィナンシャル・タイムズは社説で、榊原英資慶大教授が、ニッポン放送株買収を進めるライブドアの後ろ盾とされているリーマン・ブラザーズのアドバイザーを「金融界の既存権力からの圧力の下」で辞任したと指摘した上で、本来ライブドアに向けられるはずの怒りが外資のリーマンに向けられているのは日本のビジネス界に「反動的な外国嫌い」が存在していることを示唆するものだと批判した。

 FT紙が指摘したように、「ミスター円」先生に日本の「イン」から圧力が掛かったのかは、定かではない。ただし、このFT紙の社説は、現下の日本における「外資排除」とも目される動きが、外国人投資家の離反を招き、日本経済全体の「沈没」を招きかねないことに警鐘を鳴らしている。雪斎は、FT紙社説の懸念は正当であると思う。現下の「外資規制」の動きは、メディア業界に話を限定したものであったはずであるにもかかわらず、何時の間にか、「外資」を総体として規制する話であるかのように、受け止められはじめている。この機に乗じて、「外資」を総体として規制しようという方向に話を曲げようとする層が、うごめいているようである。
 ところで、青淵翁・澁澤栄一の言葉を収録した『澁澤栄一訓言集』には、次のような文面がある。
 「資本に権力の帰するを恐れて、外資の移入を拒むは、あたかも馬車船舶の奔逸、覆没を恐れて徒歩するようなものである」。
 青淵翁がこの言葉を何時、語ったのかは、雪斎には知る由もない。ただし、前後の脈絡から察するに、それは大正期ぐらいであろう。当時、日本経済は、「国際化」の流れの中にあった。当時、明治期の「富国強兵」政策で実力を蓄えた日本企業の中には、支店を海外に開設する動きが加速した。そして、浮上したのが、「外資」を日本国内に導入しようという議論であったのである。
 青淵翁は、少なくとも九十年近く前に、今、懸念されているような「外資規制」が「馬車船舶の奔逸、覆没を恐れて徒歩するようなもの」であると断じているのである。雪斎は、この文面を見たときに率直に驚いた。
 雪斎は、日本の経済社会の有り様が問われる事象を考える折に青淵翁の言葉を参照するという意味では、かなり気合の入った「青淵教徒」かもしれない。それは、もしかしたら、明治の世には傍流の地位に甘んじざるを得なかった一方で、日本の近代化を粛々と支えた「旧幕臣」や「旧佐幕藩士族」への共感の故かもしれない。因みに、雪斎の先祖は、幕末期、奥羽越列藩同盟の主藩であった仙台・伊達藩の「郷士」であったようである。

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Comments

Mr円はクダさん(2チャンネル風)のバーチャルキャビネットの大臣候補(クダさんでしたっけ?)になった時点で、”旬”を過ぎてしまいました。エゲレスの偉い人には、それがわからんのですたい。
失礼しました。私はInner circleにいませんので断定はできませんが、たいした問題じゃない気がします。

Posted by: 小規模投資家 | March 16, 2005 at 08:31 PM

この事実をもって日本の金融界にゼノフォアが生じているとするのは違和感があります。榊原氏は大蔵省時代の為替に関する実績から「ミスター¥」と呼ばれていました。しかし、金融の中でも証券に関することは専門家ではありませんし、権力があるようにも思いません。あるのは日本の官僚へのパイプ程度だと思います。

あまり、たとえになって無いかもしれませんが、中国共産党が日本における認知度向上のために土井たかこさんを顧問としたようなものです。(「微妙にピントがずれている過去の人」という感じを表したいのですが、、。)

そんな彼に真面目に圧力をかけるような人間が金融界にいるとは思えません。精々、同じような官僚OBから「みっともないからお辞めなさい」といわれる程度では無いでしょうか。

外資の買収に関しては、株式市場は歓迎です。今回のフジテレビのように増配に積極的になる企業が多く出現すると期待されるからです。規制をかけようとしているのは官僚と政治家ではないですか?

Posted by: ao@株式マーケット | March 17, 2005 at 12:21 AM

>小規模投資家殿
>ao殿
今日は忙しくなりますので手短に。
問題は、「ゼノフォビアが生じている」というよりは、「ゼノフォビアが生じているように見える」ということだろうと思います。

Posted by: 雪斎 | March 17, 2005 at 04:47 AM

こんにちは
ジョージ・F・ケナンの死、日米、日韓関係の変化等があり、いまさら「ホリエモン」という雰囲気でもなさそうです。
日系金融機関は外資を無視して仕事は出来ませんからということでゼノフォビアはおきそうに無いでしょう。
では

Posted by: ao@株式マーケット | March 21, 2005 at 01:09 AM

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