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March 15, 2005

戯言050315

■ 本日、確定申告締切。雪斎は、本職は私立学校教員であるけれども、原稿料その他の別ルートからの「資金流入」があったりするから、この時期は、書類の作成などに付き合う羽目になる。どうも、面倒なのだな。これが…。


■ 只今、午前七時時点でNHKのニュースは、「マラッカ海峡で海賊に襲われ、日本人ら三人が拉致」、「中国全人代で採択された反国家分裂法に、米国政府が遺憾の意を表明」という報道を流している。どちらも、日本の安全保障の今後を占う上で、重大な意味を持つテーマである。
 雪斎は、「沖縄―台湾―ミクロネシア」、「沖縄―台湾―シンガポール―インド」という二つの「海上の道」が、今後の日本の「生命線」になるであろうと論じてきた。地政学というのは、学問体系としては既に破綻しているという評が専らであるけれども、そうした発想の説得性は、古より変わっていない。「海賊」にせよ「反国家分裂法」にせよ、日本にとって大事な「海上の道」の安定を脅かすものとなる。今後、色々と考えを深めるべきテーマであるのは、間違いない。

■ 村田晃嗣先生の新著『アメリカ外交』に雪斎が寄せた書評が、一昨日付の『産経新聞』書評欄に掲載された。以下、その全文を紹介する。

 ● 書評原稿 村田晃嗣著『アメリカ外交』(講談社新書)

 米国は誠に多様な国家である。昨今、「帝国」や「一極支配」という言葉は、米国を語る際には最も使い勝手の良いものとして用いられる。けれども、そのような米国論議の多くは、それぞれの論者が自らの価値観というフィルターを通した「米国」像を前提としていることがある。ところで、米国外交の性格は、どのように理解されるべきであろうか。本書では、そのための手掛かりとして、W・R・ミードが示した米国外交思潮の四つの類型が紹介さされる。ミードは、歴代の政権下における米国外交の性格は、A・ハミルトン、T・ジェファーソン、W・ウィルソン、A・ジャクソンといった四有力政治家に象徴される思潮の絡み合いであると説明する。また、これに加え、J・ナイの「ハード・パワー」と「ソフト・パワー」の概念、さらにはE・H ・カー以来の「国力の三要素(力・富・価値)」からの視点が提示される。本書は、ミードの思潮四類型を「縦軸」、カーの「国力の三要素」を横軸にしつつ、第二次世界大戦以降の歴代政権に主眼を置いた説明が行われる。この説明は、「米国は○○である」といった単純な米国理解の幣を一蹴するものであろう。率直にいえば、米国は日本人にとっては「最も身近な異国」である。けれども、米国に対する「身近さ」の感覚は、実は米国を熟知しているという錯覚に結び付きやすいが故に、それに溺れれば却って米国事情の正確な理解を妨げる虞れがある。目下、我が国の幾多の人々に要請されるのは、その「身近さ」の感覚の故にこそ、政治上、思潮上の立場はともかくとして、広く共有されるべき米国理解の「常識」を形成していくことである。本書は、そのような「米国理解の『常識』」を世に定着させていく際には、誠に手堅い「教科書」としての役割を果たすことになるであろう。米国という我が国の最も重要な同盟国に関しては、核心をはずした論の多い現状には、一段落が付けられるべきであろうからである。
   『産経新聞』〈二〇〇五年三月十三日付〉掲載

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Comments

村田さんの本は、月刊自由民主では不肖かんべえが書評をすることになっております。
ここで雪斎殿の正統派書評を読んでしまうと、「自分は普通じゃないものを」などと考えてしまうなあ。

Posted by: | March 15, 2005 at 09:43 AM

雪斎さま:村田先生の教科書、読んでいます。
米国を単純化する議論はあたらないのですね。人間の性格が単純ではないように、国家と言う法人格?も単純ではなくて、そしてまた、本質は変わらなくても時代によって移りろうものなのだと思います。

かんべえ様:かんべえ流書評、たのしみにしてまーす♪

Posted by: さくら | March 15, 2005 at 01:34 PM

>かんべえ殿
いえいえ、かんべえ殿ならではの書評は、読むのが楽しみです。
>さくら殿
米国は、多様な国ですから、ウォッチングしていると、こんなに楽しいところはないでしょうね。

Posted by: 雪斎 | March 16, 2005 at 07:01 AM

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