イラク復興支援とサッカー
雪斎は、昨年十月、 『中央公論』(2004年11月号)に「自衛隊は『共感を呼ぶ軍隊』である―海外活動で培った住民との信頼関係」 と題された論稿を発表した。「イラクに派遣された自衛隊部隊の役割は、イラクの人々の『共感』の獲得に他ならないと」いうのが、論稿の趣旨であった。
イラク復興支援の文脈では、面白い動きがあった。昨年十月二十二日に、外務省は陸上自衛隊が展開するイラク南部ムサンナ州水道局に対して、 無償資金協力で給水車二十六台を贈呈していたのであるけれども、その給水車には、サッカー・アニメーション『キャプテン翼』のステッカーが貼られていたのだそうである。『キャプテン翼』は、中東地域では アラビア語の吹き替えで放送され、子供たちには「キャプテン・マジード」として人気を博しているのだそうである。こういう仕掛けを作ったことによって、復興支援は、イラクの人々の「共感」の下で進めることができる。雪斎は、このアイディアを思いついた外務官僚は「いい仕事」をしたと思う。この件の顛末は、外務省サイト上に公開されている「在サマーワ連絡事務所より サマーワ『キャプテン翼』大作戦-給水車が配る夢と希望-」という手記が、詳しく教えている。雪斎は、つくづく「現場の人々」の努力は、大したものだと思う。
ところで、 「イラク」、「サッカー」と来れば、雪斎は、どうしても1994年ワールドカップ、アジア最終予選対イラク戦の際の「ドーハの悲劇」を思い出す。当時の日本代表チームは、雪斎と同世代のJリーグ草創期のプレーヤーが中心であり、彼らの「世界舞台」への挑戦を応援しただけに、あのロスタイムでの「イラクの同点ゴール」には思いっきり脱力した。失点の瞬間に、ピッチにへたり込んだ面々の表情は、名状し難いものがあった。そして、今、その「日本のサッカー」を表現したアニメーションが、イラクの子供たちに受け容れられている。日本の「ソフト・パワー」の質は、なかかなか高いものがあるといえよう。
もっとも、雪斎は、『キャプテン翼』を見たことがない。雪斎にとってのサッカー・アニメーションとは、何時までも『赤き血のイレブン』である。「男が目指す 敵ゴール~~♪ 」という主題歌の一節は、どうも耳にこびりついて離れない。雪斎は、この作品の結末がどうなっていたのかを長い間、知らなかったけれども、「主人公が日本初のプロ・サッカーチ-ムの結成を目指す」という結末なのだそうである。このアニメーションからJ・リーグ創設まで二十年の歳月が経っていたのか・・・。
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Comments
はじめまして。
遅ればせながら、正論を読ませて頂きました。
有り難うございます。
夏は50度を超える灼熱、冬は氷点下。
何れにしても過酷な環境の中、みんな頑張っております。誰かが何処かで背中を押してくれている。それだけでもっと頑張れる。そう思います。
これからも人々の「共感」を基調としつつ、頑張ってまいります。
サマーワより 江端康行
Posted by: 江端康行 | February 10, 2005 08:13 PM
〉江端康行様
はじめまして。御多用中の折、御来訪頂き恐縮です。貴官を初めとするサマーワ駐在の方々の活動の意義は、できるだけ日本の人々に紹介されるべきであろうと思い、論稿一編を書くことに致しました。ありがとうございました。
Posted by: 雪斎 | February 10, 2005 09:26 PM