政治の「圧力」とはなにか。
■ この数日、政界とメディアの世界を巻き込んだ騒動になっているのが、「NHK番組改変問題」である。事の真偽に対する判断は保留するとしても、一時期は「永田町」の住人だった雪斎の立場から、次のような話は書きとめておく必要がある。こういう「脚本」を考えてみよう。
□ 永田町の午後
場所 / 永田町・議員会館内○代議士事務所、NHK局内
登場人物/ 【雪】=雪斎、【代】=〇代議士、【幹】=NHK幹部、【総】=NHK教養系番組総括プロデューサー、【番】=NHK番組『歴史法廷』担当ププロデューサー
〇 第一幕/ 永田町・議員会館内○代議士事務所
【幹】 こんにちは。本日は、私どもNHKの予算と事業計画についてご説明に上がりました。
【代】 やぁ、ご苦労さん。早速、始めてくれ給え。
… NHK側の説明が続く。
【幹】 …ということでございます。〇先生には、ご理解を賜りたく…。
【代】 判った。ところで、今度の「大河」は、評判が良いみたいだね。
【幹】 おかげさまで、主演の〇〇さんの演技が評判です。
【代】 〇〇か。親父さんの演技も凄かった。いい役者になったのだな。ところで、「変な番組」もあったそうだね。
【幹】 「変な番組」…ですか。何でしょう。
【代】 そこに居る雪斎が話していたのだよ…。雪斎君、説明し給え。
【雪】 ご苦労さまです。雪斎です。三日前の夜に放映された『歴史法廷』という番組ですが、かなり公平中立を旨とするNHKにはそぐわない内容であったのではないでしょうか。あの番組を放映する折に、局内で揉めませんでしたか…。あれは、うっかりすると、特定の政治的主張のプロパガンダですよ…。
【幹】 雪斎さんのご意見は、担当の者にも伝えることにしましょう。
【雪】 いやいや。これは一視聴者としての感想ですよ。
〇 第二幕/ NHK某所
【幹】 自民党〇先生のところに行ってきたよ。予算も事業計画も問題ないし、今度の「大河」の評判もご存知のようだった。
【総】 それは、良かったですね、
【幹】 ただね…。
【総】 ただ…?
【幹】 『歴史法廷』は、〇先生のところでも話に出てきたよ。あそこの雪斎さんという秘書が、結構、厳しいことを言っていたよ。「特定の政治的主張のプロパガンダじゃないのか」とか何とかってね。
【総】 そうですか・・・。
…そして、別の部屋。
【総】 【幹】から聞いたのだけど、『歴史法廷』は不味かったかな。自民党の〇議員のところからは、「プロパガンダだ」とクレームが付いたみたいだし…。次は、この手のものは止めた方がいいのではないかな…。
【番】 何を言っているのですか。これは、「政治」の圧力ではないのですか…。
もちろん、これは、フィクションである。ただし、ただし、雪斎は、これに近いことは、永田町では日常的に行われていることを知っている。永田町での政治家の仕事の中身は、結局のところは、他人に対する「働き掛け」に他ならない。その「働き掛け」は、職務権限に基づく「命令」ならばともかくとして、それ以外の場合には、「圧力」なのか「要望」なのか「意見表明」なのかが、曖昧であることが多い。総ては、「働きかけ」を受けた人々の感じ方次第なのである。「圧力」を告白したNHKプロデューサーにしても、問題は、彼が「圧力」と感じたが故に「圧力」だったということに過ぎないかもしれないのである。
今回の一件では、安倍晋三、中川昭一、中川秀直の各氏が、ドキュメンタリー番組の改変に「圧力」を加えたと伝えられている。雪斎にとって腑に落ちないのは、これらの各氏は問題となった番組を見ていたのかということである。連日、夜十時過ぎまで会合に加わったりしているのが政治家の日常であれば、これらの各氏が件の番組を見るほどに暇であったとは思われない。雪斎が前に示した「脚本」のように、、誰かから番組についての話を聞き、何かの話の序でに触れてみたというのが、実相なのではなかろうか。
このように「伝聞」と「伝聞」で始まった話が大事(おおごと)になって、我が国の政治家の時間と精力が浪費される。おかしな話である。
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Comments
今の時代、録画を見ることも出来ます。
Posted by: ロム | January 16, 2005 08:30 AM
>ロム殿
確かに、録画で確認することもあるでしょう。
ただし、このケースの場合、わざわざチェックして手間を掛けるというところまで、やるのかなという疑問が、あるものですから…。
Posted by: 雪斎 | January 17, 2005 08:08 AM