« 「物書き」の現実 | Main | 政治の「圧力」とはなにか。 »

January 14, 2005

『アメリカ太平記』

■ 昨日、記した「48時間耐久レース」は、午前二時頃に襲ってきた睡魔には勝てず、遂に「リタイア」と相成る。起床後、寝間着に綿入れを羽織っただけの姿で、執筆を再開し、午前十時頃、原稿を提出する。担当のM氏からは、一部の加筆を要請された他は、問題なしとの連絡が入る。それにしても、雪斎も、確かに年を取っている。「72時間耐久レース」などをやっていたのも、今となっては昔のことか…。

■ 『溜池通信』最新号では、「ペリー来航後、19世紀後半の米国史については、日本人にはあまり詳しくない」という記述がある、名うてのアメリカ・ウォッチャーである「かんべえ」氏の見方は、正しい。さらにいえば、日本人は、独立戦争以後、南北戦争に至るまでの米国のことには、まるで知識がない。日本人にとっての米国とは、結局のところは、フランス革命との関連で語られることの多い独立戦争期の米国であり、自ら対峙することの多かった二十世紀以降の米国である。日本人の米国像は、独立戦争期の「自由の国」と二十世紀の「傲慢な大国」との間で分裂しているのである。
 しかし、米国にも「弱かった時代」があったという事実は、日本人も理解しなければなるまい。1812年6月に始まる米英戦争では、米国は、英軍に攻め込まれ大統領官邸をも焼失させている。現在の米国国歌は、その戦争の最中、英軍の猛攻に晒された要塞が持ち堪えたのを見た作者が、その感激を詠じたものである。要するに、これは、「守りきった」ことに対する感慨の歌である。逆にいえば、「守りきった」ことに感慨を抱くほど、この時期の米国は、弱小の国であったのである。
 『アメリカ太平記―歴史の転回点への旅1845』(佐伯泰樹著、中公叢書)という書がある。この書は、独立戦争から南北戦争に至る時期の米国の諸相を教えてくれる。こうした書に触れられていることは、米国を語る際には、きちんと踏まえられるべきかもしれない。日本の「反米」論客の多くは、実は思いつきで物事を語っているのである。因みに、雪斎が学生時代に課されたレポートの課題には、「19世紀のアメリカ外交を論ぜよ」というのがあった。今にして思えば、「19世紀の米国」に関心を向けさせてくれたという意味で、それは「いい課題」だったと思う。

|

« 「物書き」の現実 | Main | 政治の「圧力」とはなにか。 »

「日々の戯言」カテゴリの記事

Comments

「アメリカ太平記」は面白そうですね。
ただ今、「アリステア・クックのアメリカ史(上・下)」NHKブックスを読んでおります。古い本ですが、お手軽な通史としてお薦めです。歴史を描くには、やはりイギリス人にしくはなし、といった感じ。

Posted by: かんべえ | January 15, 2005 at 09:14 AM

>かんべえ殿
「米国には、たかだか二百数十年の歴史しかない」と論ずる人々がいますが、雪斎は、米国人が一つ一つの歴史事象に向き合う密度は、かなり濃いものがあると思います。米国史は、結構、面白いものがあると思います。
英国人の歴史叙述は、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』に待つまでもなく、手堅いものがありますね。

Posted by: 雪斎 | January 15, 2005 at 03:47 PM

雪斎さま
アメリカ史をもっと勉強せよとのお話、まったく同感.どうも日本人はアメリカ史に暗すぎますなあ.19世紀前半のアメリカ史を読んだら、アメリカが孤立主義と対外膨張を揺れ動くことや、党派色が極めて強いこと、今と同じであることがよう判ります.イギリス人の書いたアメリカ史はひねりが効いていいですなあ.ポール.ジョンソン「アメリカ人の歴史」.彼も英国の歴史家だったと思いましたけど.お薦め.

Posted by: M.N生 | January 17, 2005 at 05:08 PM

>M.N生殿
こんばんは。ポール・ジョンソンですか。彼は、面白いものをかいていますね。

Posted by: 雪斎 | January 18, 2005 at 02:21 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/2571213

Listed below are links to weblogs that reference 『アメリカ太平記』:

« 「物書き」の現実 | Main | 政治の「圧力」とはなにか。 »